9月6日、文科省で柴山昌彦文部科学大臣が定例記者会見を行った。
公文書等における日本人の名前について、ローマ字表記する際は、姓名の順で記すことが閣僚懇談会にて決定された。日本の伝統に即した、姓名の順番で表記することが良いと説明し、今回の決定に至った。
質疑が名前のローマ字表記方法に集中する中、IWJは東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が旭日旗の持ち込みを許可したことについて質問した。
IWJはこれに関して日刊ガイドに記事を書いたので、こちらもご覧いただきたい。
- サッカーではAFC(アジアサッカー連盟)が「国家の起源や政治的意見を表明する差別的なシンボル」として禁止する旭日旗を東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が許容!? 菅官房長官も「承知している」!? 他方、経産省は韓国が日本をホワイト国から除外したことを「恣意的報復措置」と公式非難!(日刊IWJガイド、2019年9月6日)
IWJは柴山大臣に次のように質問した。
「韓国国会の文化体育観光委員会が旭日旗の競技会場への持ち込み禁止措置を大会組織委に求める決議を採択したことに対して、組織員会は『旭日旗は日本国内で広く使用されており、旗の掲示そのものが政治的宣伝とはならないと考えており、持ち込み禁止品とすることは想定していない』と表明しました。また、菅官房長官も『持ち込み禁止品とすることは想定していないと承知している』と答えています。
しかし、国際サッカー連盟の下部組織であるAFCは旭日旗を『国家の起源や政治的意見を表明する差別的なシンボル』として禁止しています。
2点、おうかがいします。
国際的に差別的なシンボルと認定されたものをオリンピック・パラリンピックで許容するのは、外交上の問題が生じるのではないでしょうか?
また、『旭日旗は日本国内で広く使用されており』とのことですが、自衛隊と右翼団体の街宣以外の、どのような場所で『広く』使用されているのでしょうか?」
これに対する柴山大臣の回答は次のようなものだった。
「菅官房長官からも昨日コメントがあった通り、組織委員会の判断としては、旭日旗はですね、特に政治的な特定のメッセージを持つものではないという理解だということであります。確かにそれについて、政治的なメッセージを持って利用されているというですね、そのような指摘があることは承知していますけども、例えば、今話しがあった通り、自衛隊には旭日旗が通常の通り訓練などにおいて、例えば、他の軍隊との共同の訓練などに活用されているということであります。ということで、これを持ち込み禁止するということは、想定をされていないというのが官房長官の答弁の趣旨だと思いますし、私もそれについては同じ意見であります」。
柴山氏は、質問に対して直接答えるような回答はせず、旭日旗は政治的なメッセージを持っていないということだけを強調した。しかし、これは到底受け入れがたい。先に記したAFCが定めた旭日旗(とそれに類する旗)の持ち込み禁止決定の理由を真摯に受け止めた回答であるともいえない。
旭日旗は戦前、日本の陸海軍旗として使用され、韓国はもちろん、他のアジア諸国でも旭日旗が帝国日本の「軍国主義」や「侵略の象徴」であるとみなされ、批判されてきた。
実際に、アジアサッカー連盟は旭日旗の持ち込みを禁止しているのにも関わらず、東京オリンピック・パラリンピックという国際的な一大イベントで旭日旗の持ち込みを許可することは、今の日韓関係の対立の深化も考慮すると大きなトラブルが生じたり、国際的な非難を招きかねない。もっと慎重な決定がなされるべきではないだろうか。