「一人の人間があっという間に問題を解決してくれる、という考えは捨てなければならない」~佐高信講演会「いま、日本を撃つ」 2012.12.15

記事公開日:2012.12.15取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2012年12月15日(土)16時、大阪市西区のクレオ大阪西(大阪市男女共同参画センター西部館)において、作家の佐高信(さたかまこと)氏による「いま、日本を撃つ」と題する講演会が開かれた。講演で、佐高氏は、いわゆる「原子力村」やマスコミ、著名人などを、ユーモアを交えた辛口のトークで批判したほか、道州制や小選挙区制、検察や警察など、さまざま分野について持論を展開した。

■全編動画

  • 日時 2012年12月15日(土)16時
  • 場所 クレオ大阪西(大阪市男女共同参画センター西部館)(大阪府大阪府)
  • 主催 「12・15」実行委員会

 講演の冒頭、佐高氏は、日本の貿易に占めるアメリカとの貿易比率が、かつては3割だったのが現在は1割にまで減っていることや、香港や台湾を含む中国との貿易比率が3割にまで拡大していることに触れた。その上で、「(前東京都知事の)石原慎太郎氏が、尖閣問題で中国を挑発したことで貿易が揺らいでいる。石原氏は算数ができない人だ」と指摘した。また、元首相の小泉純一郎氏について、「格差社会や新自由主義を拡大し、日本経済をおかしくした」と批判し、「外交の基本は八方美人である。中国ともアメリカとも仲良くするという二次方程式を、小泉氏は解けなかった。小泉単純一郎だ」と皮肉った。

 佐高氏自身が経験した「圧力」についても言及した。コメンテーターとして出演した情報番組の生放送中に、ある銀行幹部を実名批判したことによって民事訴訟を起こされ、番組を降板した話を引き合いに出し、「バシッと言いすぎると、『出場停止』になる」と述べた。また、銀行幹部が逮捕されたことで訴訟が取り下げられ、情報番組に1年ぶりに出演した際、司会者から「おつとめ、ご苦労さん」と言われたと語り、会場の笑いを誘った。

 また、「政治的なもので『出場停止』になることは、ほとんどない。あるのは、会社、スポンサーの力だ。この力が、『原発震災』でも大きく働いている」と指摘した。特に、かつて、青森県知事選挙で、原発建設の一時凍結を主張する候補者の応援演説を引き受けることが決まっていた著名人が、建設推進派の候補者側から破格の条件を提示されたことによって、推進側にあっさりと鞍替えしたとされる事例を紹介したほか、電力会社の原発推進CMに出演していた複数の著名人を、皮肉たっぷりに批判した。

 そして、講演の終盤に佐高氏は、「情報はタダではない。タダの情報は怪しい。マイナスの情報を含まないものは情報ではない。宣伝である」と述べ、「皆さんで(正しい情報を伝えるメディアを)育てていかないと、情報を取れなくなる」と問題提起した。

 最後に、中国の作家・魯迅(ろじん)が記した、「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」という言葉を紹介し、「一人の人間があっという間に問題を解決してくれる、という考えは捨てなければならない。目の前の問題と格闘しながら、自分たちで灯火(ともしび)をつくっていくしかない」と聴衆に訴えた。

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