藤岡信勝氏らが言う「商業公開を知らなかった」は事実ではない!制作過程で慰安婦問題への「ゆらぎ」を経た監督自身の結論とは?~『主戦場』ミキ・デザキ監督と配給会社「東風」が記者会見 2019.6.3

記事公開日:2019.6.4取材地: テキスト動画
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(取材・文:上杉英世)

 6月3日午後1時より、霞が関の弁護士会館において、ドキュメンタリー映画『主戦場』のデザキ・ミキ監督、配給会社「東風」代表の木下繁貴氏、岩井信弁護士が記者会見を行なった。

 この会見は、映画に出演した日本会議の加瀬英明氏、櫻井よしこ氏、弁護士のケント・ギルバート氏、「新しい歴史教科書を作る会」の藤岡信勝氏、テキサス親父の名で知られるユーチューバーのトニー・マラーノ氏、テキサス親父日本事務局の藤木俊一氏、なでしこアクションの山本優美子氏の7名が連盟で、5月30日に発表した「映画『主戦場』の上映差し止めを求める~上智大学修士課程卒業制作を偽装し商業映画を制作した出崎幹根の違法行為について~」なる抗議声明と、同日に藤岡信勝氏、山本優美子氏、藤木俊一氏がおこなった抗議記者会見に応えるため、開かれた。

■ハイライト

  • 日時 2019年6月3日(月)14:00~15:00
  • 場所 弁護士会館(東京都千代田区)

 会見では最初に、デザキ監督が、藤岡氏らの抗議声明に対する反論を行なった。

 抗議声明では取材対象者である藤岡氏や山本優美子氏らが、「卒業制作だから協力した。商業映画として公開するとわかっていたら、取材を受けることはなかった」と、デザキ監督に「だまされた」ことを強調した。これに対し、デザキ監督は「まず最初に前提として理解していただきたいのは、(取材対象者と交わした)出演に関しての合意書というのは、卒業プロジェクトに関するものではなく、ドキュメンタリー映画についての合意書です。合意書には、学術プロジェクトであること、卒業プロジェクトであることは一言も書かれていない」と述べた。

 商業的公開の可能性があることは明記していること、一般公開の可能性があるからこそ、取材対象者全員が、リリースフォーム(合意書)にサインすることが重要であったことを、デザキ監督は強調した。

 また、2018年の釜山国際映画祭での上映に先立ち、藤木氏、藤岡氏に対しては、本人たちの要請により、本人出演部分の映像を送り、「意図に反して映像が使用されていたり、発言の解釈が間違って使用されていたら2週間以内に返事をいただきたい」と伝えたものの、返事はなかったので、「不満はないだろうと判断した」とのことである。「映像が(取材対象者の)意図に反して使われていた場合は『本映画に不服である』旨を、エンディングクレジットに表示するということも合意書に明記している。しかし、映画公開に先立って彼らが、異議を申し立てることはなかった」として、デザキ監督は「課せられた合意書の義務は果たしたと考えている」と述べた。

 また、共同声明が『主戦場』を「グロテスクなプロパガンダ映画である」と批判している点については、「グロテスクというからには、これは史上初のホラードキュメンタリーかもしれませんね」とした上で、以下のように反論した。

 「彼らは映画の中で、『歴史修正主義者のレッテルを張られた』と憤慨しています。私はあえて『いわゆる歴史修正主義者』という言葉を使いました。彼らは単なる右派でもネオナショナリストでもありません。なぜなら彼らは積極的に、書籍や記事を書き、ウェブサイトを作り、動画を作り、トークイベントを開催し、国連においても、世界的なコンセンサスの取れている慰安婦問題の歴史を塗り替えようと、積極的に活動しているからです」

 そして、この映画の制作過程を通じて監督自身の、慰安婦問題についての考えにも「ゆらぎ」があったことを率直に認めた。そして、その過程は映画の中で描いており、監督が最終的にどのような結論に至ったかという透明性があるがゆえに、「プロパガンダ映画とは言えないと思う」と述べた。

 「慰安婦問題に関して、世界的なコンセンサスは固まっていない」という立場のフリーの記者からは、「デザキ監督の言う、慰安婦問題の世界的コンセンサスとは何ですか。定義を教えてください」という質問があった。デザキ監督は「私の理解では、彼女たちが性奴隷であったこと、20万人いたということ、そして強制連行されたということです。人数の問題に関しては、具体的な数字を出すべきではなく、ある種の目安となる数字でよいのではないかと考えています」と、簡潔に答えた。

 午後1時に始まった会見は午後2時までの1時間の予定だったが、開始後も続々と人が詰めかけた。質問のため挙手する記者が後を絶たず、開始から1時間半後には、1記者につき質問は1問に限定された。

 実際に映画『主戦場』を観たIWJ記者は、「取材対象者が、非常に率直に、ある意味のびのびと差別的な発言や、中国や韓国に対する根拠のないヘイト発言をしていることに驚いたのですが、インタビューの現場で、監督の方から『ちょっと、それは違うんじゃないか?』と言ったり、インタビューが中断するようなことはあったのでしょうか?」と質問した。その質問に対するデザキ監督の答えは、彼の映画制作に対する基本的な姿勢を示すものだった。

 「私の選んでいる取材手法は、取材対象者の言われることに反駁を加えたりせず、言いたいことを十分に言っていただくという姿勢です。編集の段階になってから、私自身が証言を分析して、自分なりの結論を持つようになりました。その段階で、彼らの人種差別主義や性差別に対して批判を表明しています」と答えた。

 5月30日の、「共同声明」に対しては、デザキ監督自らが「いくつかの批判に応えるため」、同日に簡潔なユーチューブ動画を公表している。

 本日の記者会見に対して、もしも再び抗議の動きがあった場合、「やはりそれに対しても、反論のアクションを行うのか?」との質問に対しては、デザキ監督は一呼吸置いて「うーん。こんなことは続けたくないですね。一人でも多くの人に、映画を観てもらうことに、集中したいです」と答えた。また、「藤岡氏らが法的手段に出た場合、日本において裁判を受けて立つのか?」との質問には、岩井信弁護士が「抗議会見で『法的措置』という言葉が出たことは聞いている。もし、具体的な動きがあれば、その時点で考えることになる」と答えた。

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