練馬区・宮城県女川町の災害廃棄物の受入にかかる住民説明会 2012.2.23

記事公開日:2012.2.23取材地: テキスト動画
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(文字起こし chicly)

 2012年2月23日(木)、光が丘区民センター2階にて行われた、「練馬区・宮城県女川町の災害廃棄物の受入にかかる住民説明会」の模様。受入れる災害廃棄物の選別処理、運搬の流れ、放射線測定結果や安全対策について説明が行われた。

■イントロ

  • 日時 2012年2月23日(木)
  • 場所 光が丘区民センター2階(東京都練馬区)

【以下、質疑全文テキスト】

Q:ごみを焼却する煙が、特に夜間、私の家の方に流れているのが見える。換気扇を通しての匂いもすさまじい。これからの時期は窓も開けるし、完全に除去できないものもあるという話を聞くと子供を持つ身として不安を感じるのだが、どう思うか。

A:煙突は150メートルあり、周囲には迷惑がかからないシステムになっている。煙の様に見えるものは、煙ではなく水蒸気。夜間は温度が下がるので、水蒸気が白煙という形で見えているのではないか。有害物質や煤塵(ばいじん)は集塵機等で十分除去できている。

 最低でも10万倍の拡散を行っているので全く問題ない。臭気についても、焼却炉で熱分解させているので出ていないと考えている。

Q:東京のごみ自体がかなり汚染されているという印象がある。去年の秋からセシウムの値も高くなっており、一組(一部事務組合)のHPを見ると、杉並、光が丘、有明工場等で去年12月頃から半減期8日間の放射性ヨウ素131が出ている。福島第一原発からフレッシュなものがまだ飛んできているとは考えにくいのだが、なぜヨウ素131が検出されているのか?

 二点目はバグフィルターについて。水銀等は93%位除去できるという話を聞いたことがあるが、現に一昨年、光が丘工場は水銀が出て一カ月止まった。1年間という長い期間焼却する中で、バグフィルターが破損する等の事故も想定される。どの位の頻度で測定、モニタリングをする予定なのか?現在一組では、排ガスの測定は一カ月に一回程度のはず。月に一度の測定で「実は出ていた」ということになれば、もうその時点で環境中にかなり出てしまったということになる。当該の清掃工場の周辺ではほぼ毎日モニタリングを行い、検出されたらすぐにストップするという態勢は考えられないのか?

 それに関連して。確か墨田工場では、焼却系ではなくごみバンカの脱臭系フィルターから基準値を超える値の放射性セシウムが出たという話を読んだ。焼却系以外の、燃やす以前の所で出て来る可能性もある。周辺の空間線量も含め、毎日に近い形でのモニタリング、公表、何かあった時には止める、という対策を取ってほしい。

 三点目は運搬経路について。トラックだと往復の片道は空身で行くことになるので、貨物で輸送するという話。将来的には船も考えられるようだが、今は東北本線でJR貨物で来て、武蔵浦和辺りから武蔵野線に入り、鶴見に行って大井の貨物ターミナルへ、というルートかと思う。この先、大井の貨物ターミナルから光が丘や杉並へ運ぶのではなく、効率を考えて、新座の貨物ターミナルから直接光が丘や板橋へ搬入したり、それによって光が丘や板橋での焼却頻度が上がる可能性はあるか?

A:一点目。光が丘工場での飛灰処理汚泥測定結果、放射能濃度セシウム合計は、7月の第2週で約2,000Bq/kg。1月の第2週では当初に比べ3分の1ぐらいに下がっている。

 ヨウ素131については半減期が8日間と短いので、福島原発からのものは出ていないと思う。仮にまだ飛んでいるのであれば全工場で測定されるはずだが、現在それはない。推定の話になるが、先日東京新聞に出ていたように医療用の薬に使用されているヨウ素が出たのではないか?絶対ではないが、その可能性も考えられる。

 (質問者)(それでは、女川の災害廃棄物からも出る可能性があるということか?)

 それはない。今回持ち込むものは現地で手選別を行い厳重な管理をしているので安心してほしい。

 二点目。バグフィルターに関しては全工場で常時監視している。バグフィルターは簡単に言うと「ろ布(ろふ)」という布。その詰まりを知るために、入り口側と出口側の差圧を計測している。フィルターが破損すると煤塵が出ることになる。煤塵の数字が出た場合は必要に応じて焼却を止める等の対応を取れるよう、常時監視を行っている。

 (質問者)(モニタリングの頻度は?)

 基本的に排ガスについては月に一回。放射能の連続測定は不可能なので、それに代わるものとして煤塵の連続測定をしている。

 三点目、輸送方法に関して。鉄道貨物は時間が正確で計画的に運搬ができるという利点から、今回は気密性の高いコンテナでJR貨物を使って運搬することに決めた。阪神淡路大震災の際にも、首都圏の神奈川や埼玉でコンテナ輸送で引き受けた実績がある。輸送量の面からは船舶輸送が一番良いという意見も聞くが、鉄道輸送のような気密性の高いコンテナが船舶にはないので、地元の護岸の整備状況やそのあたりの条件が整備されれば選択肢としては考えられる。現時点では東京貨物ターミナルを起点としているが、ご意見にあったように効率的な輸送という面で他のターミナルについても今後調整しながら進めたい。

 (質問者)(可能性としてはあるのか?それによって光が丘で燃やす量が増えることはあるのか?)

 それは清掃一組の方から答えを。

 先ほど画面にあったように10%以下ということで入れるので、光が丘工場では300トンの10%=一日に搬入する量は30トン。これを毎日入れるわけではなく、平均150トンを19工場で3~4つに分けて入れて燃やす。量的にどれだけになるかは現段階では決められないが、区収集になるべく迷惑をかけない形で各工場のゴミの量を見ながら搬入する。コンテナの数などもあるのでそれを勘案しながら搬入計画を作っていく。

 先ほどの質問に答えていなかった部分があった。墨田工場で高い放射能物質が出たのではないかという質問があったが、どういう経過だったのか誤解を招かないよう説明しておきたい。

 清掃工場は基本的には連続運転しているが、その際の空気の流れについて。ごみバンカにたまった空気は臭気を含んでいるが、通常はこの空気を焼却炉内に燃焼用空気として送り込み熱分解させることで臭気を消している。ごみバンカには外気を取り込んでいる。

 年一回の定期点検で焼却炉を停止させるが、その際臭気が外部に漏れないようごみバンカ内の空気を脱臭装置の方に送る。今回高い放射性濃度が発見されたのは、この脱臭装置の前についているフィルターから。墨田工場は昨年3月補修工事中だったので、外気から取り込んだ粉塵によりフィルターに放射性物質が付着したものと考えられる。

Q:プロジェクト全体に関して。他にも被災地域はたくさんあるのに、なぜ女川町だけが選ばれたのか。女川町からのごみを10万トン受け入れるとのことだが、これは全体から見てどの程度復興に寄与しているのか、貢献度について具体的なデータが知りたい。

 また今回東京都として総額どのくらいの費用負担が発生しているのかも知りたい。受け入れに難色を示している自治体も多いと聞くが、受け入れた自治体だけが住民負担が増えるということはないのか?

A:女川町からの受け入れが決定された経緯について。女川町の平地面積は14%しかなく、その大部分が民有地である。そこに災害廃棄物が仮置き場として置かれている状況。この撤去なくして復興はありえない。また先ほどのDVDにもあったように女川町ではいち早く分別作業に取り組んでいる。木くずが80%、廃プラが14%、紙くず等が6%なので都の清掃工場の受け入れ基準を充分満たしている。このような条件が早々と整ったため、宮城県を通じ要請等もあり受け入れの決定になった。女川町全体の災害廃棄物は推定44万4,000トンある。そのうち15万トンの可燃性廃棄物の処理に困っているという町長の話だった。

 5万トンは町の中で再利用資源化をするので、残った10万トンをお願いしたいとのこと。

 また他地域からの要請に関しては、現在東京都がすすめている広域処理の一環として岩手県宮古市の災害廃棄物がある。これは選別されているだけで都内の清掃工場では燃やせない建設混合廃棄物なので、専用施設を持った一定の処理能力のある民間の産廃業者に依頼し、昨年11月から処理をすすめているところ。計画量としては昨年11月から今年3月までで1万1,000トンを予定している。

 最期に予算の関係だが、東京都は平成23、24、25年の三カ年で50万トンを処理するという基本方針を昨年5月に出した。それに基づき昨年6月の都議会で災害廃棄物受け入れの23年度補正予算(70億)を提出し、全会一致で承認され進めている。基本的に経費については環境省から被災地に補助金が100%近く下りるスキームになっているので、東京都は全体の連絡調整をしていく。資金面では民間業者を含む処理業者への処理費用の迅速な支払いを可能にするため、国の補助金を待たずに都が一時的に負担し、最終的には都に戻ってくる、というスキームになっている。

 清掃一組の清掃工場では民間事業者がごみを搬入する際1キロ当たり14.5円の手数料をもらっている。災害廃棄物についても同額の手数料をもらうので処理費用はこれで賄えると考えている。

Q:女川のがれき受け入れに反対するわけではなく、受け入れるからには安全にやってほしいと思っている。だから先ほどのDVDのように女川の方々の辛さをこの場で見せ、情に訴えかけるという方向は不快に感じた。
燃やすからにはモニタリングをきちんとして安心させてほしい。清掃一組では月に一回行うとのことだが、練馬区としてはどうなのか?光が丘清掃工場の近くで、区として空間線量のモニタリングを毎日リアルタイムで行う等の予定はないのか。

A:区としても、光が丘に女川町の災害廃棄物が搬入されている時期の倫理的な立ち入り検査の実施を検討中である。現時点ではいつになるか分からないが、光が丘については4月以降8月までの間に2週間、災害廃棄物が入る時期に合わせて行いたい。工場入口等の放射線量、敷地境界線量等の測定を、どのような頻度でできるかも含め検討したいと思う。

Q:8ページに出ている現地での試験焼却の結果について、どのくらいの回数行って出た値なのかを知りたい。

 もう一点。焼却灰を埋め立てるわけだが、東京湾で先日のような液状化現象が起きた場合に危険ではないのか?東京都と国の考えを知りたい。

A:8ページ「試験焼却における放射能の測定結果」、これは現地で3回測定したもの。DVDにもあったように、処理施設の選別エリア内3地点で試験焼却に搬出する際、毎日1時間ごとに空間放射線量率を測った下限値と上限値。次にストックヤードでは、遮蔽放射線量率を計測。これはコンテナに積み込む前に木くず等の災害廃棄物をサンプルで10カ所ほど取り、鉛の遮蔽体の中に入れて遮蔽線量率を測ったもの。一コンテナ単位で箱ごとに計測している。次にコンテナに災害廃棄物を入れ、運搬前のふたをした状態でコンテナの左右両側面の空間放射線量率を測っている。

(…会員ページにつづく)

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