参考値の実質賃金の伸び率はマイナス0.5%!?『アベノミクスによろしく』著者・明石順平氏が正しい算出方法を提示~1.30勤労統計不正「賃金偽装」野党合同ヒアリング 2019.1.30

記事公開日:2019.1.30取材地: テキスト動画
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(取材:八重樫拓也 文:奥松由利子)

 「実質賃金伸び率を算定するのは簡単。私は2分でできた。惨憺たる結果だから(厚労省は)公表したくないのかな」

 毎月勤労統計の不正問題について、連日、野党の院内集会や合同ヒアリングに出席し、厚労省による統計の不審点を指摘している弁護士の明石順平氏は、厚労省が公表を渋る実質賃金伸び率について、自身が試算した結果を示して上記のように述べた。

 2019年1月30日、東京都千代田区の衆議院本館にて、勤労統計不正「賃金偽装」野党合同ヒアリングが行われ、野党議員らが、特別監察委員会の調査結果、基幹統計の再点検、平成29年度国民経済計算年次推計(フロー編)再推計結果などの説明を受けた。

 野党側は再三にわたり、2018年1月から11月の各月の実質賃金伸び率を参考値で出すように要求していたが、厚労省の大臣官房参事官(情報化担当)の屋敷次郎氏は、この日も「時間軸と物価上昇率の軸が異なっていて複雑な状況。検討が必要で、今日は出せない」と応じた。

 しかし明石氏は、「実質賃金の上昇率は、名目賃金上昇率÷消費者物価指数の上昇率×100」だと説明し、参考値についても、国の統計資料から数字を拾って簡単に算出できると明言。その方法で試算したところ、昨年1月から11月までの各月で、実質賃金の上昇率がプラスになったのは1回だけで、平均はマイナス0.5%だったという。

 屋敷氏は、「そういう計算は可能であると思うが……。引き続き検討させていただく」と答えたが、野党議員から「この試算は正しいの?」と重ねて問いただされると、「おそらく(役所が計算しても)同じような数字が出ると予想されます」と述べ、場内にどよめきが広がった。

 立憲民主党の長妻昭議員は、2015年に厚労省が毎月勤労統計の調査方法の変更を有識者会議で検討した結果、「(変更は)過去に遡って補正をする」「事業所は総入れ替え方式」という最終報告を9月に出していることに言及した。

 「ところが、10月の経済財政諮問会議で、『総入れ替え方式は改善しろ』という内容の資料が、麻生財務大臣の名前で配布された。本来、厚労省は『統計の専門家が検討して結論が出ているので変えません』と言うべきだが、急遽、変えた。それで賃金が高めに出る。麻生大臣の鶴の一声で変わったイメージだ。この意思決定はどういうプロセスだったのか?」と疑問をぶつけた。

■ハイライト

  • 日時 2019年1月30日(水)10:30~
  • 場所 衆議院本館(東京都千代田区)

厚労省が頑なに公表しない参考値の実質賃金伸び率。明石氏「2分で計算できた。各月平均はマイナス0.5%」の衝撃!

 冒頭で、国民民主党の山井和則衆議院議員は、「正しい賃金統計を出してもらうことが国会の予算委員会の前提だ」とし、確認する2つの点を挙げた。

 「ひとつは、政府が『21年ぶりの賃上げ率』とうたった昨年6月の名目賃金の伸び率。2.8%となっているが、昨日、厚労省から『景気指標の賃金変化率として重視するのは1.4%』という回答を得た。それならば、統計を書き換えいけない。2つ目は、共通事業所の実態に近い参考値で、実質賃金の伸び率を発表してほしいということ」

 さらに新たな疑惑として、2015年10月16日の経済財政諮問会議で、麻生財務相が毎月勤労統計について「早急に改善策を」と指示したことが、今回の賃金水増し、アベノミクス偽装のきっかけになったのではないか、と述べた。

 厚労省の屋敷氏は、2018年1月から11月までの各月それぞれの実質賃金伸び率を参考値で出すことについて、「単純に対前年比較とはいかない。時間軸と物価上昇率の軸が違うので複雑な状況だ。また。参考値を実質化するにあたり、その考え方について厚労省として検討が必要」などと繰り返した。

 それに対して明石氏が、「実質賃金の伸び率は簡単に計算できる」と述べ、自身が試算した数字とグラフを示して、次のように説明した。

 「実質賃金の上昇率は、名目賃金上昇率÷消費者物価指数の上昇率×100。これは、公表されている資料から数字を拾って簡単に算出できる。前年同月を100とする実質賃金指数を計算すれば、参考値についても伸び率の計算は簡単だ。私は2分でできた」

 それによると、2018年1月から11月までの間で、実質賃金の上昇率がプラスになったのは6月の1回だけ。11月がプラスマイナスゼロ。あとの9回はすべてマイナスで、平均はマイナス0.5%だったという。明石氏は、「惨憺たる結果だから、2分で計算できるのに(厚労省は)公表したくないのかな」と話した。

 屋敷氏は、「そういう計算は可能であると思うが……。それがどのような意味合いを持つのか、引き続き検討させていただく」とした。しかし、野党議員から「この試算は正しいの?」と重ねて問いただされると、「おそらく(役所が計算しても)同じような数字が出ると予想されます」と認め、場内には「おお~」というどよめきが広がった。

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