MIRAI EXPO 2012 in KYOTO ~100年後、どうなるといいだろう~ 2012.12.2

記事公開日:2012.12.2取材地: 動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2012年12月2日(日)13時から、京都市左京区北白川の京都造形芸術大学で「MIRAI EXPO 2012 in KYOTO ~100年後、どうなるといいだろう~」が行われた。学生主体によって開催された今回のEXPOでは、「皆さんが100年後の地球のこと、人間のことを考えて行動すれば、地球環境はしっかりと守られて、未来は明るいと思う。共に頑張りたい」という京都市長の挨拶から始まり、さまざまな分野の出演者が未来をテーマに講演を行った。

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    出演者( )内はテーマ

  • 岩上安身(MIRAI×福島) 梶妙壽氏(MIRAI×宗教) マエキタミヤコ氏(MIRAI×ジャーナリズム) 森孝之氏(MIRAI×Fashion) 対談:佐々木俊尚氏×高木新平氏(MIRAI×生活) 秋山豊寛氏(MIRAI×農業) ビデオ出演 田中優氏(MIRAI×音楽) ビデオ出演 田中光敏氏(MIRAI×映画)
  • 日時 2012年12月2日(日)13:00〜
  • 場所 京都造形芸術大学(京都府京都市)

 最初に「MIRAI×福島」をテーマに講演を行った岩上は、「100年後の福島を語るのは、大変難しい。時間軸では捉えられない影響を与えた原発事故が、今後の社会に、どのように影響を及ぼしていくのかを考えなければいけない」と述べた。続けて、100年のうちの1/4は、チェルノブイリの事故を参照することで、未来を考える手がかりがつかめると説明し、健康被害への影響、使用済み核燃料の処理方法に対する問題点を指摘した。

 また、若い世代に向けて、「100年後の未来は、突然やってくるわけではない。日々、直面する岐路と、それに対する選択の積み重ねによって未来は作られる」と語った岩上は、原発を抱え込んでしまった日本の社会体制、米国に対する従属的な日本の姿勢を問題点として挙げ、「福島を含めた日本の未来への責任は、すべての国民に課せられている。社会の運命を、主権者として決められる社会にしていけるかが問われている」と述べた。

 次に、梶妙壽氏は、「社会のために役立つ学問を一生懸命学び、いろいろな方に対して御恩を感じながら生きていくことによって、素晴らしい未来が自ずと見えてくる」と語った。

 続いて、「MIRAI×ジャーナリズム」をテーマに講演を行ったマエキタミヤコ氏は、「自由な社会が脅かされることへの、想像力を持つことが大事である」と述べ、自由が保たれているかを知る鏡がジャーナリズムである、と説明した。その上で、生物多様性も戦争回避も自動操縦ではなく、薄氷を踏むようにして、この社会は保たれていると指摘し、国民の意思に反して、原発が再稼働される日本において、民主主義が正常に機能していない点を問題視した。

 また、横への情報伝達の必要性を説くマエキタ氏は、「原発などの問題だけでなく、外交も、専門家に依存していれば良い、という時代ではなくなってきた。どうやって他国と付き合っていくかを一人ひとりが考えて判断しなければいけない。そのためには、あえて、考え方が合わない人とも話す技術を身につけ、脱コンフォーミズムを進めなければいけない」と述べた。最後に「社会は可変である」とし、いわゆる「大手第1マスコミ」と、国民の知る権利を守っている「第2マスコミ」を使い分けることで、日本は良くなっていくと訴えた。

 森孝之氏は、「現状を認識し、必然の未来に立ち向かわなければいけない。そのためには、企業と消費者が共に、人と地球に優しい社会を目指す必要がある」と述べた。また、高木新平氏との対談の中で、佐々木俊尚氏は、「現代思想的に、戦後の典型的な家族モデルのような、その物語の中で生きていれば安心、というシステムが崩壊している時期にある。われわれ自身が、新しい社会システムを作っていけるかを考える時期にきている」と指摘した。

 秋山豊寛氏は「MIRAI×農業」という視点から、原発事故によって、莫大な面積の国土が失われてしまった事実を語り、「政治家は、尖閣や竹島を守ると騒いでいるが、何よりもまず、原発事故によって失われたものに向き合わないといけない。今までに失われてきたものを取り戻し、明日の事から孫たちの代までを考えることは、皆さんの課題である」と述べ、失われたものを取り戻す現場として、「農」があることを説明した。最後に、秋山氏は「命を育む現場を取り戻すことが必要である。経済成長がなければ幸せになれない、というドグマを打ち砕くような考え方を、若い世代に組み立てていただきたい」と訴えた。

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