第4回 市民ジャーナリズム学校「日隅一雄さんの志を受け継いで ~市民メディアを実践していくために必要なこと」 2012.11.13

記事公開日:2012.11.13取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2012年11月13日(火)19時から、東京都港区麻布十番にて「第4回 市民ジャーナリズム学校『日隅一雄さんの志を受け継いで ~市民メディアを実践していくために必要なこと』」が開催された。第4回は、この学校の校長であり講師も務めた、故日隅一雄氏(弁護士、ジャーナリスト)が、編集長として最後まで奮励努力してきたNPJ(News for the People in Japan)から、現編集長の中川亮氏を講師に招いた。中川氏は、マスメディアの問題点、市民メディアや記者としてのあり方などを語った。

  • 出演 中川亮氏(弁護士、NPJ編集長、元朝日新聞経済部記者)、木野龍逸氏(ジャーナリスト)、岩上安身
  • 主催 IWJ

 はじめに、中川氏は、自身がサラリーマンから朝日新聞の記者に転職後、水俣問題を取材する中で出会った弁護士の姿に触発され、弁護士を志した経緯を語った。また、常に市民の側に付いて情報発信をした日隅氏の遺志を継ぎ、NPJの活動にも力を入れている中川氏は、マスメディアと市民メディアの両方に身を置いてきた経験から、マスメディアの長所、短所、問題点を解説した。その中で、人事異動の激しい新聞社において、専門家に伍していけるほどの知見を持った、プロフェッショナルな記者が育ちにくい環境を問題視し、マスメディアの司法に対する不案内さ、十分な報道がなされていない点を指摘した。

 中川氏は、IPS細胞の誤報問題を例に挙げ、メディアが、情報のクロスチェックと裏取りという、取材の基本的な作業を怠っている点を批判し、スクープ性を求めて、他社よりも早く書くことを重視する新聞社の旧態依然なあり方を問題視した。

 記者として「在野精神」と「ミーハーであること」を信条に掲げる中川氏は、記者の定義を「独自の切り口による事実の掘り下げなど、情報に付加価値を付け、受け手に伝えることができる人」であるとし、「ひとつの事実から、どのような見方ができるのか、見る目を養うのが記者として重要である」と述べた。取材については、「現場にいかに早く着くか、そして、記者会見は、事前準備がすべて。相手方にどのような発言をさせたいか、その答えを引き出すために、どのような質問をすればよいのかを考えなければいけない」と話した。

 質疑応答の中で、岩上は「マスコミが発達しすぎてしまった近代においては、社会にはひとつの視点しかないかのような状況があり、政府やスポンサーの思惑が、報道の裏側にある。その中で、パーソナルな市民メディアによる、百人百様の視点が重要だ」と述べた。

 木野氏は「自分自身で発信する、しないにかかわらず、どういう形で情報を発信していったらよいのかを考えると、マスメディアがどのように情報を出しているか、その勘所がつかめる。メディアリテラシーを持つという意味でも、それは大事なことである」と話した。

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