2012年11月21日(水)19時より、新潟県新潟市江南区の亀田清掃センターで「第五回 市民主催 災害廃棄物受け入れ説明会@亀田」が行われた。「高濃度水銀を排出する欠陥施設をいかに停めるか。今、市民がするべき事」というテーマで、環境ジャーナリストの山本節子氏が講演した。山本氏は「脱原発は政治運動、がれき処理反対運動は市民活動。市民活動は勝てる」と話した。また、チェルノブイリ原発事故で実証されたPM微粒子の危険性などを解説した。
(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)
2012年11月21日(水)19時より、新潟県新潟市江南区の亀田清掃センターで「第五回 市民主催 災害廃棄物受け入れ説明会@亀田」が行われた。「高濃度水銀を排出する欠陥施設をいかに停めるか。今、市民がするべき事」というテーマで、環境ジャーナリストの山本節子氏が講演した。山本氏は「脱原発は政治運動、がれき処理反対運動は市民活動。市民活動は勝てる」と話した。また、チェルノブイリ原発事故で実証されたPM微粒子の危険性などを解説した。
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冒頭、主催者側から開会のスピーチと参加者の紹介があった。講師の山本氏のほか、行政側からは、新潟市廃棄物施設課の平石課長補佐、亀田清掃センターの軽部所長、新田清掃センターの小林所長が出席した。
はじめに、山本氏が「福島第一原発事故は未曾有の事件。ここまで市民が立ち上がった運動は、日本で今までなかった。現在、行われている反原発活動は政治運動、がれき処理反対運動は市民運動。この差は大きい。なぜなら市民運動は勝てる見込みが高い、と経験から学んでいる。先日、新潟市の担当者に取材したが、とても丁寧に真面目に対応してくれた。今までに一番、対応がひどかったのは北九州市だ。担当部署のある5階の表示を消してしまうほど」と話し、講演が始まった。
山本氏は、まずチェルノブイリ事故についてヤブロコフ、ネステレンコ夫妻の著書『チェルノブイリ』を紹介。この本の中では、チェルノブイリ事故での死者数56人について、実際にマスコミ記事、医学論文などを精査したら100万人いた、と掲載している、という。また、消防士の呼吸器系疾病死亡率、子どもの病死率の急激な増加を指摘した。さらに、2009年に『チェルノブイリ立入禁止区域における、森林火災、煙の排出と放射性物質の拡散』(Developments in Environmental Science, Vol.18)で述べている森林火災(メガファイア)による大気中の微粒子(PM=Particulate Matter)の危険性を説明した。
続けて山本氏は「放射性核種は土壌表面に集中しやすい。大気中の核種の排出源は、煙のPMとミネラルダストだ。建設工事の土壌ダストは2~100マイクロメートルと大きくて、落下しやすく、吸収しても体外に排出されやすい。しかし、森林・農地火災のPM微粒子は、0.04~0.07マイクロメートルと、とても小さい。肺の奧まで到達する。チェルノブイリでは森林火災で放射線を帯びた微粒子(PM)が発生し、また実験でも証明されている。土壌や植生に降下した核種は、長期的な環境影響を及ぼす。森林や農地火災は、蓄積されていた放射性物質を新たに排出し、広範囲に汚染物質を拡散させる。福島では、がれきやごみ焼却によって人為的に放射能が拡散されている」と指摘した。
次に、一般的なごみ焼却に関する知識、危険性に言及した。日本における法律、PRTR法(1999年制定「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」化管法)の紹介。PM(浮遊粒子状物質)の説明。焼却で出る底灰と飛灰の特徴と危険性などをレクチャーした。続いて、三条市での試験焼却の汚染数値の報告、震災がれき処理を日本で一番早く実施した山形県から避難してきた住民の、健康被害の報告もあった。
続いて、福島から自主避難してきている母親からの訴え、主催者からの大槌町のがれき処理に関する現状説明、行政と住民の間にある温度差、巻原発での住民反対運動の成功例などに話は及んだ。そして、行政の出席者との質疑応答に移った。新田清掃センターでは2000トンの鉛、90トンの水銀が検出されたことから、「これは新田地区の公害防止協定で書かれている協定内容に反する」「セシウム値が高いこともあった」「速やかに操業を止めるべき」との意見が出た。また、亀田清掃センターでの鉛、水銀問題に対しても、糾弾する数々の声が参加者より発せられた。