2012年11月10日(土)、福島県いわき市のいわき市総合保健福祉センターにて、いわき市議会創世会の主催による「原発事故子ども被災者支援法いわきフォーラム」が行われた。原発事故子ども被災者支援法について、真に被害者のためになる支援策の実現を目指して、海渡雄一弁護士による概要説明や、市民が要望を伝える場が設けられた。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2012年11月10日(土)、福島県いわき市のいわき市総合保健福祉センターにて、いわき市議会創世会の主催による「原発事故子ども被災者支援法いわきフォーラム」が行われた。原発事故子ども被災者支援法について、真に被害者のためになる支援策の実現を目指して、海渡雄一弁護士による概要説明や、市民が要望を伝える場が設けられた。
■全編動画
原発事故子ども被災者支援法とは、被災者の生活支援と健康被害の未然の防止を目的に、放射線が人の健康に及ぼす危険について、科学的に十分な解明がされていないという立場に立ち、市民の自己決定権を認め、避難すること、残ること、どちらを選んだ場合でも、生活の安全、安心を始め、医療や就業、住宅確保等の支援を、国が保障することを定めるための法律である。
フォーラムの冒頭、海渡弁護士は「最初に、われわれ弁護士は、被災者のため、東京電力に損害賠償を求めていくべきであると考えた。しかし、これだけ生活が丸ごと破壊されてしまうような被害が起こった時に、対応として、損害賠償だけでは、元の生活を取り戻すことはできないということが、当初、わからなかった。現在も、強制避難されている人々の生活再建は、ほぼ手付かずである。損害賠償のお金は払われているかもしれないが、どのように生活を取り戻すのか、別の場所で住居を取得するという事も、まだ程遠い状況であるということを確認する必要がある」と述べた。
また、文部科学省が、学校における被曝の限度を、年間20ミリシーベルトに設定した問題を挙げ、「政府は、原発を推進する際に、一般人に対して、年間1ミリシーベルト以上の被曝はさせないという約束をした。現在の年間20ミリシーベルトはあまりに高すぎる」と指摘した。
原発事故子ども被災者支援法について、海渡氏は「この法律の最も大切な部分は、放射線が人の健康に影響を及ぼす危険については、科学的に十分な解明がされていないのだから、被曝は極力少なくしなければいけない、という思想である。この法律は、市民の声をよく聞きながら実施されないと成功しないだろう。市民の声をフィードバックして、ブラッシュアップできるような仕組みを作り、上手く機能していくようにしていきたい」と述べた。
続いて、いわき市議会創世会の佐藤和良氏は「この地で暮らしていくためには、広島、 長崎の教訓を生かした新しい立法措置が必要である。常に実施状況をチェックして、具体的に進められるよう、きめ細やかな支援体制を築いていくべき」と述べた。
最後に復興庁の水野靖久氏が、フォーラムの中で出た市民の、支援対象地域の拡大、一生涯に渡る健康診断の実施、雇用の充実やNPOに対する支援等の要望を受けて、「被災者の方々の意見を反映して、関係省庁と協力しながら進めていきたい」と述べた。