2017年7月1日、「7・2都議選」の選挙戦最終盤の日に、各地で候補者が最後の訴えをした。
新宿駅西口には、小池百合子都知事率いる「都民ファーストの会」から出馬する森口つかさ候補が、演説のマイクを握った。小池代表が登壇するとあって、開始前からNHK、民放各社の報道陣が詰めかけた。ヘリコプターも数機飛び、TBSはカメラ2、3台を用意。NHKは4台あり、取材陣を含めると20人体制という熱の入れようだ。
いかにNHKを筆頭にテレビ各局が「小池劇場」の盛り上げのため、力を入れているか、その偏向報道姿勢がよくわかる。
報道陣のスペースは明確に区切られカメラがひしめき合っていたが、NHKのカメラのみ、そのスペースから外れることを許された。街宣車の側まで自由に行き来ができ、街宣車から乗り降りする小池代表の姿もNHKだけが撮影することができた。NHKと都民ファーストの飛び抜けた「距離」の近さが、取材現場であからさまとなる。
肝心の聴衆は、街宣車の後ろの安全地帯に都民ファーストの会のスタッフ含め支持者50~60名と、報道陣スペースの横に40名ほど。森口候補の演説に反応し声援を送った支援者は数名だった。
小池百合子代表の演説が始まると報道陣の後ろにも聴衆が集まったが、有名人見たさのためのように感じられた。支持者からも「そうだ!」などのリアクションが起こらなかった。
これに対して、日本共産党の街頭演説の熱気には、よほど熱いものがあった。志位委員長は、「安倍退陣のための都議選。そのための1票だ」と明確なメッセージを打ち出している。安倍総理も稲田朋美防衛大臣も退陣してもらおう、というメッセージに、聴衆から「そうだ!」という合いの手が入る。
都民ファーストと共産党、どちらも支援者らが現場に動員されていたであろう。条件は同じである。その上で、現場に足を運び、取材した者としてはっきり言えることは、都ファの方が冷ややかであり、共産党の方が熱気があったという事実である。
これは正直、意外な事実だった。
両党とも、加計学園問題で追及され不人気な自民党から票が逃げ、その受け皿となる可能性がある、と言われているが、日々、テレビを観ていれば、小池氏の人気、都ファの勢いが他党を圧倒しているように思うのが当然である。共産党のことなど、ほとんど報じられることはない。現場に足を運んで、初めて見えてきた、そして実感できた現実だった。
「自民党大敗・都ファが圧勝」というのが、大方のマスコミの予想だが、都議選の投票結果は、ふたを開けてみるまで、わからないのではないか。