「小池知事、週内に豊洲移転表明 『築地ブランド守る』」「小池知事、豊洲移転固める 築地跡地は貸し出し 都議選前に表明へ」「豊洲移転で決着へ 築地跡地も活用」――。
2017年6月17日に小池百合子都知事が築地市場を訪問した直後、マスコミ各社が一斉に報じた。土壌汚染問題や施設設計の問題、物流の問題など、数多の問題が何一つ解決されないままでの豊洲への移転決定は、誰がどう見ても不可解である。
(取材・文:城石エマ)
特集 築地市場移転問題
「小池知事、週内に豊洲移転表明 『築地ブランド守る』」「小池知事、豊洲移転固める 築地跡地は貸し出し 都議選前に表明へ」「豊洲移転で決着へ 築地跡地も活用」――。
2017年6月17日に小池百合子都知事が築地市場を訪問した直後、マスコミ各社が一斉に報じた。土壌汚染問題や施設設計の問題、物流の問題など、数多の問題が何一つ解決されないままでの豊洲への移転決定は、誰がどう見ても不可解である。
記事目次
築地を訪れた17日、小池知事は集まった市場関係者の前で、深刻な土壌汚染の残る豊洲の土地を「無害化」できていないことについて、「みなさまとの約束を守れていないことにつきましては、改めて都知事としてお詫びを申し上げたく存じます」と述べ、深々と頭を下げた。
その場で市場関係者からの意見に耳を傾けた小池知事は、知事の母親がエジプトで日本料理店を開いた話をしながら次のように語った。
「母から『たらこを何箱買ってこい』とかですね、カイロから注文が来るんです。生鮮食料品を運ぶっていうのはなかなか簡単なことでございませんで…私はこの辺(築地)をウロウロして、良いかまぼこがどこで売っているかとか、たぬきうどんとかおそばのたぬきの部分はどこで買ったら良いとか、実は結構詳しいものでございます。本当にちっちゃな店でしたけど、世界に『これは築地からです』と言うと、本当にお客様が喜んでくださる。そんなことで、私自身、築地には大変お世話になったということでございます」
そう述べてから、次のように締めくくった。
「今日私は来てよかったと思います。今、メディア書き放題というところでございましょうけれども、私は総合的に、AかBかとかそういう観点だけでなくてですね、『鳥の目』で決めたい」
御覧の通り、小池知事は、市場訪問のスピーチの際に、「豊洲移転に決定する」との言葉は一言も発していない。移転決定を報じた各社の報道のほとんどが、「関係者への取材でわかった」としている。「関係者」とは誰なのか?
市場関係者はこの動きをどのように見ているのだろうか? 東京中央市場労働組合執行委員長の中澤誠氏はIWJの取材にこたえ、次のように語った。
「(報道の意図は)全然わからない。築地の問題は誰かがニュース書いてますよ。みんな右へならえで同じ言葉で書いている。プロパガンダですよ。小池さんは何も言ってないんだもん。築地のみんなは『小池さんが決意したんだ』って考えている。選挙の絡みで困ったなということがあるんでしょう」
参考として、前日6月16日時点での小池都知事の定例会見をここに示しておく。
また中澤誠氏はIWJでも何度もご登場いただいており、インタビューもさせていただいている。下記のインタビューでは一級建築士の水谷和子氏、また今回都議選に立候補した建築エコノミストの森山高至氏にも、一緒にお話をうかがっており、そこでは汚染問題だけではない豊洲の問題点が指摘されている。
都議選(7月2日投開票)は6月23日に告示日を迎える。小池都知事率いる「都民ファーストの会」は、政策の中で築地市場移転問題について言及していないが、今回の選挙では、以前から「移転推進」の立場を表明してきた公明党と選挙協力し、相互推薦することを明らかにしている。
報道によれば、都議選の告示日である6月23日よりも前に、小池都知事が移転をめぐる判断を表明という。6月18日現在、都は都知事の記者会見について「未定」としているが、目が離せない。
なお築地市場移転問題については、IWJはかねてより取材を続けており、様々な角度から問題点を指摘している。ぜひこちらもあわせてご覧いただきたい。
また今回の小池都知事の動向に関しては、「マスコミに載らない海外記事」が、IWJのインタビューを見てくださった上で非常に示唆的な一文を載せておられるので、岩上安身のツィートと共に、ここにご紹介させていただく。
いつもながら、「マスコミに載らない海外記事さん」は、鋭いチョイスで我々に海外記事を紹介してくれる。同時にそのあとがきも秀逸。以下のあとがきも今のタイミングでぜひ。IWJの番組を見て築地問題は東京版モリ・カケと喝破。小池氏の正体やいかに。東京は第2の夕張と化した銚子のあとを追うか。 https://t.co/HUazZkdieJ
— 岩上安身 (@iwakamiyasumi) 2017年6月18日
IWJの築地問題インタビューに驚いて、インタビューに出演しておられる方々の著書『築地移転の闇をひらく』を早速拝読した。
まるで東京都版モリ・カケ共謀。
国も都も劣化の極み。大企業ファースト、間もなく、移転を発表するだろう。
『築地移転の闇をひらく』99ページの二行が目をひいた。
水谷:しかし、仮にですが、小池都知事が新しい「村」をつくったとしたら恐いことになりそうですね。
中澤:それは恐い村になりそうだ。都民の信任を得ているからよけい恐いことになりそうです。
100%そうなる。国からも都からも逃げられない奴隷。共謀罪強行で、不評になった自民党、公明党に対する、真正の新自由主義ネオコン、第二自民党の受け皿を用意しておいて、東京を第二の大阪にするという長年仕組んだ壮大な計画だろう。