2012年10月31日(水)18時15分から、東京都八王子市のクリエイトホールで、「2012年秋冬連続講座『めざせ!八王子市民発電』第3回」が行われた。「八王子市で自然エネルギーをどう普及するか」をテーマに、法政大学教授でサスティナビリティ研究教育機構長の舩橋晴俊氏が、市民による自然エネルギーの具体的事業モデルの作り方について、講演を行った。
(IWJテキストスタッフ・荒瀬/奥松)
2012年10月31日(水)18時15分から、東京都八王子市のクリエイトホールで、「2012年秋冬連続講座『めざせ!八王子市民発電』第3回」が行われた。「八王子市で自然エネルギーをどう普及するか」をテーマに、法政大学教授でサスティナビリティ研究教育機構長の舩橋晴俊氏が、市民による自然エネルギーの具体的事業モデルの作り方について、講演を行った。
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舩橋氏は、市民による自然エネルギー事業について、「多様な自然エネルギーの中から、地域の個性に即したエネルギーを選択することが大事だ。地域の特性を見極めずに、特定の自然エネルギーに固執すると失敗することがある。太陽光は安価に使用できる。広い面積を必要とするが、八王子市は都会なので、公共施設の屋根を利用した太陽光エネルギー事業は、比較的有効な選択だと考えられる。」と述べた。
また、「市民が作る事業体は、大手企業が行う事業規模のように最初から大規模なものではなく、多段階の展開を意識して、少しずつ規模を拡大して行くことが重要だ」と指摘した。舩橋氏は「ひとつの事業サイクルを『企画や設計』『土地や業者の選択』『資金を集めて建設』『稼働とキャッシュフローの獲得』という一連の流れを経験することで、事業主体がはっきりし、ノウハウを得ることができる。サイクルの一周ごとに、規模を少しずつ拡大していくのが望ましい」と話した。
運営組織としての事業体の形成については、「事業計画と資金計画を立てることで、組織としての責任をはっきりさせることが必要だ。事業体だけでなく、行政や金融機関、市民のサポートといった協力ネットワークも必要になる。事業性と社会性・公益性の両方の軸がなければならず、理念だけでも、利潤追求だけでもうまくいかない。二つの軸が、事業主体の中で経営理念として共有されていることが必要である」と述べた。
また、自然エネルギーへの投資がされやすいドイツと、日本の金融機関を比較して、「ドイツでは、プロジェクトファイナンスという、事業の公益性を評価するような融資があるが、日本はコーポレイトファイナンスであり、信頼性のある大企業には出資するが、実績のない市民団体やNPOなどが資金を調達するのは難しい。日本型環境金融モデルとしては、事業計画の当初段階から金融機関が参加することで、事業者とともに成功体験やノウハウを共有することが考えられる。環境事業と親和性の高い金融機関を選ぶことで、資金を得やすくなるだろう」と語った。