2012年10月23日(火)、東京都千代田区の経済産業省<で、枝野幸男経済産業大臣の定例会見が行われた。枝野大臣は、コジェネの導入促進に向けた電気事業制度の運用改善に関する報告をした。その後、大間原発の建設再開や、原発の40年廃炉原則などについて、質疑応答が行なわれた。
(安斎さや香)
2012年10月23日(火)、東京都千代田区の経済産業省<で、枝野幸男経済産業大臣の定例会見が行われた。枝野大臣は、コジェネの導入促進に向けた電気事業制度の運用改善に関する報告をした。その後、大間原発の建設再開や、原発の40年廃炉原則などについて、質疑応答が行なわれた。
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冒頭、枝野大臣は「革新的エネルギー・環境戦略において、再生可能エネルギーと省エネに並び、コジェネの導入促進が大きな柱のひとつとされている」との見解を示し、「これまでも補助金などによる支援を行ってきたが、今回コジェネ導入のハードルを下げる観点から、電気事業制度の運用改善を行う」とした。
具体的には、「工業団地などでコジェネによる電気を供給する場合、電気事業法上の特定供給の許可を受ける必要があり、その基準として、現状では供給者の発電設備、自家発電の設備が、需要の100%を満たすことを求められる。これを見直して、コジェネによる自家発電で発電される電力量が、需要の50%まで電力会社などからバックアップを受ける場合であっても、許可を行う方針を固めた。このため、電気事業法の審査基準を改正し、本日23日に施行する予定である」と述べた。
質疑応答では、田中法務大臣の辞任について、「特に野田政権になってから、大臣が辞めるケースが相次いでいるが、どう受け止めているか」との質問があった。枝野大臣は「解散と大臣の任免は、総理の専権事項である」として、コメントを避けた。
次に、22日に発表された貿易統計で、上期の貿易赤字が3兆円超と過去最大の赤字となったことに関連し、今後の貿易収支の動向について聞かれると、「赤字要因のひとつは、原油や天然ガスの需要増加で輸入量が増えていることが一因。一方で輸出が減っているということもあり、その背景には、中国の景気減速、より広く言えば、ヨーロッパの金融不安というものの影響が、世界経済にさまざまな影響を与えていることが大きい」とした。また、「9月の反日デモや、(日本製品の)不買運動も影響したことは否定できない」と述べ、いずれも対外的かつ国際的な要因であるため、状況を注視し、国内的にできる対応をしていく姿勢を示した。
エネルギー基本計画に関する質問には、「まず、エネルギー調査会を開き、エネルギー・環境会議から、それぞれのテーマ、エネルギー基本計画と関連するテーマについての進捗状況の報告を受け、それを踏まえて、どのタイミングで総合エネ調で基本計画を取りまとめるか、議論する」とした。
フルMOX式の原子炉を導入する大間原発の建設再開について、対岸の北海道函館市が、建設の無期限凍結を求める要望をしたことに関連し、枝野大臣は「MOX燃料を使うことの安全性の判断は、規制委員会に委ねる」とした上で、「どういう手順で行うのか、周辺住民や自治体の皆さんの理解を得られるかどうか、(函館市の要望は)大きく影響するだろう」との見方を示した。また、「原発の40年廃炉」の原則に関しても、「この原則の運用自体が規制委員会に委ねられている。法に基づいて、規制委員会において判断される」と述べた。
最後に、風力発電の買取りで、原子力の運転状況を通常より多く見積もって積算していた件について、「風力発電の連系可能量について、今年の4月に再試算を行い、一般的事業者全体で1.5倍程度に拡大をしている」とした。風力発電の実際の連系量は、連系可能量を下回っていることから、「風力発電が順調に拡大しても、当面は限界に達しない。むしろ、北海道や東北の一部の電力線、電線について、早くキャパシティを高めなければならない。そうしたことが、風力発電の障害になることを危惧している」と述べた。