米紙ワシントン・ポストは8月15日、オバマ政権が導入を検討している核兵器の先制不使用政策について、安倍総理がハリス米太平洋軍司令官に、「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」として反対の意向を伝えたと報じた。
「核兵器のない世界」を目指すオバマ大統領は、任期満了まで残り5ヶ月となる中、核実験の全面禁止や核兵器予算の削減、そして核兵器の先制不使用といった複数の政策を準備中であると言われる。本来ならば、唯一の被爆国として、「核なき世界」に向けてリーダーシップを発揮する立場にある日本だが、今回、安倍総理がその流れに「待った」をかけるかっこうとなった。
8月18日に定例会見に臨んだ民進党の岡田克也代表は、発言の冒頭でこの報道に触れ、「オバマ大統領が『核なき世界をめざしてさらに努力する』のなら、協力していくのが日本政府のとるべき態度だ。オバマ大統領が広島に来たことの意義を、日本自らがつぶしてしまうことになる」と、安倍総理を批判した。
- 日時 2016年8月18日(木) 14:00~
- 場所 民進党本部(東京都千代田区)
「核の傘」はありえるのか?~岡田代表「核抑止に関する議論について、安倍総理に意見を聞かせていただきたい」
安倍総理は依然として、米国による「核の傘」に頼ろうとしている。しかしそもそも、「核の傘」などありうるのか。
日本が攻撃された場合、米国が確実に核報復攻撃を行うという「確証」があることが「核の傘」の意味するところである。しかし、米国自身が後ろ向きの姿勢を示している時点で、この「確証」は崩れる。北朝鮮や中国などが、米国は日本のために核報復を行うとは思えないと感じた時点で、抑止力として機能しないことになってしまう。
にもかかわらず、依然として米国の「核の傘」への依存をやめようとしない安倍政権。安倍総理は今年の広島と長崎の平和記念式典で「『核兵器のない世界』に向け、努力を積み重ねてまいります」と述べたが、この言葉は嘘だったのだろうか。
岡田代表は「核の先制使用ができるということが、かえって核兵器使用の可能性を大きくする、という議論が考えられる。核抑止に関する議論について、安倍総理に意見を聞かせていただきたい」と安倍総理に呼びかけた。
SEALDs解散に言及、「学生たちの思いで自主的に、自然発生的に活動が始まり、全国的なうねりになった」
7月10日に投開票が行われた参院選で、民進党は「3分の2阻止」を掲げて選挙戦を展開したものの、結果は、自民・公明・おおさか維新・日本のこころの「改憲勢力」が、衆議院だけでなく参議院でも3分の2議席を占めることになった。
しかし、今回の参院選では、民進、共産、社民、生活による野党共闘が成立し、32ある「一人区」のすべてで野党統一候補の擁立が成功した。もし、こうした野党共闘が成立していなければ、民進党はさらなる大敗を喫していたことが予想される。
8月15日、この野党共闘の立役者となったSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が解散した。この日の会見で岡田代表はSEALDsの解散について以下のように述べた。
「8月15日にシールズが解散したが、果たした役割は非常に大きい。何か組織に属しているわけではなく、学生たちの思いで自主的に、自然発生的に活動が始まり、全国的なうねりになった。今回、解散するのも、彼ららしいなと思う。
台湾や香港で先に『ひまわり学生運動』や『雨傘運動』などが起きたが、若い世代が政治に声をあげていくのは、非常に健全な民主主義の表れだ」
▲8月15日に解散したSEALDsのメンバー