なぜ保育士は、低待遇で働いているのか?認可保育園の賃金は、事業者が決めることはできない!?各党の政策内容に注目!与党のペテン「規制緩和策」にだまされてはいけない! 2016.3.28

記事公開日:2016.3.29取材地: テキスト
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(山本愛穂、記事構成:佐々木隼也・岩上安身)

 2016年2月15日に書かれた匿名のブログ記事、「保育園落ちた日本死ね!!!」が大きな反響と共感を呼んだことをきっかけに、待機児童の問題に注目が集まるようになってから、約1カ月以上が過ぎようとしている。

 2月29日の衆議院予算委員会でこのブログを取り上げた民主党の山尾志桜里・衆院議員に対し、当初、安倍首相は「匿名なんだから確かめようがない」と、この問題を突き放すかのような答弁をした。しかし、例えブログが匿名だったとしても、日本における待機児童数が、2015年の4月時点で2万3167人を突破していることは事実だ。安倍首相による、こうした現状を無視した発言は多くの人々の怒りを呼び、3月4日には、国会前での抗議のスタンディングデモが開かれた。

 民主、維新、共産、社民、生活の野党5党は3月24日、こうした市民の声、うねりを受けて待機児童の解消に向けて、独自案を衆議院に提出しており、保育士の給与を月額5万円増額することを盛り込んでいる。

 本日(3月28日)、IWJではCh5で、10時半から開催される民主党「待機児童緊急対策本部」第5回会合について、この問題を追い続けている、一児の母、ぎぎまき記者が中継する。

 また16時よりCh.6では、保育所や高齢者施設など、民間の福祉施設で勤務する労働者組合の、全国福祉保育労働組合による「思い切った『処遇改善』で保育士を増やそう緊急集会」の様子を安道幹(あんみちまさ)記者が中継する。ぜひ、ご覧いただきたい。

 ※野党5党による、独自案提出については下記の動画をご覧ください。

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記事目次

「保育士の給与1万円増」を打ち出した与党、しかし保育士待遇改善にはまったく不十分!

 こうした野党の動きや7月に迫る参院選のことも考え、「これ以上、子育て世代、特に女性票が離れるのはさすがにマズい」と思ったのだろうか、3月25日、与党の自民党・公明党は、待機児童解消に向けた緊急対策の原案をまとめた。

 この緊急対策案では、保育士の給与1万円増とともに、小規模保育所の枠の拡大や子どもの一時預かりを定期的に利用できるようにし、利用料の負担減も試みるといった規制緩和策。

 しかし野党5党の案に比べると、給与増分ははるかに低い。与党は、この程度で今の保育所不足や保育士の待遇改善につながると考えているのだろうか。これは、とても十分な案とは言えない。保育士の処遇改善に関する点で、決定的に不十分なのだ。

与党の「規制緩和」は小泉税制改革の「米百俵の精神」の焼き直し! ペテン案にだまされるな!

 小泉内閣は、米という見積を次世代の教育のために使うべし、と説いて「米百俵の精神」を掲げながら、やったことはといえば、育英会をガタガタに改組して、無償奨学金を減らし、有利子の奨学金、要するに教育版サラ金を拡充して、若い学生とその親を借金づけにするという人でなしの詐欺師のような所業だった。だます方が悪いに決まっているが、二度も三度も四度もだまされ続けている方も問題である。

(…会員ページにつづく)

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