子どもが保育園に入園できず、仕事に復帰できない母親の怒りを綴った「保育園に落ちた日本死ね」のブログが公開されてから一ヶ月が経った。この間、ブログに共感する母親たちが国会前に駆け付け抗議を行い、保育制度の充実を求めるネット署名運動には2万8千人近い賛同者が集まるなど、待ったなしの事態に追い込まれた母親たちの切実な声は、国会をも動かす力に発展している。
2016年3月14日、民主党は「待機児童緊急対策本部」を設置。今後、待機児童問題の当事者からヒアリングを行い、法案にまとめ国会に提出する。15日に開かれた第一回の会合には、都内在住の母親たち6人が招かれた。
▲「保育園落ちた日本死ね」ブログを国会で取り上げた山尾志桜里議員(左)
月24万円の保育園に泣く泣く通わせる!?
渋谷区に住む一児の母親は特に深刻な事態に直面していた。
「『認証』『認可』ともに16の園を申し込み、全滅しました。4月に復職予定なので後2週間で決まらないと職場に戻れません。明日、今まで候補に入れていなかった月額24万円の認可外保育園の施設を見学する予定です」
この母親はすでに1年間休職し、4月からの復職が後2週間に迫っている。しかし、3月半ばの今も、子どもの預け先が決まっていない。高額な保育料の支出は考えていなかったというが、職場に迷惑をかけたくないという思いから、月24万円の保育園通園を泣く泣く検討せざるを得ない状況だと訴えた。
「企業が努力して『育休制度』を整備しても、母親が復帰できない。企業を馬鹿にしていませんか」
中央区在住で5ヵ月の子どもを持つ母親は、3月9日、山尾議員に2万7千通を超える署名を提出した一人。子どもの4月入園が決まったといい、自身も職場への復帰が決まっている。しかし、仕事で忙しくなれば、こうした活動は今後難しくなる。最後に、当事者の生の声を届けたいと、再び足を運んだ。母親は、待機児童問題は「経済」の問題でもあると指摘した。
「子育ての問題は『福祉』の面で見られることが多いですが、お母さんたちの後ろには、職を提供している企業があります」
育児中の労働者が仕事と家庭の両立を図ることを支援するのが、育児休業制度だが、国の経済や社会の発展も目的とされている。国も企業に対し、育休制度の整備を求めてきたが、いくら企業が努力しても、子どもを預ける保育施設が不足していれば、母親は仕事に復帰することができない。育休制度を整えた各企業の努力を「馬鹿にしていないか」と訴えたこの母親の視点は、貴重である。さらに、出産を終えた女性たちが復職できないのは経済的な意味からもマイナスだと、これもまた当然の指摘をし、「福祉」の視点だけに留まらない広い視野で取り組んで欲しいと訴えた。
民主・維新の「保育士賃金1万円アップ」にショック!「そんな低賃金では戻ってこない」
▲母親たちは、直接、声を届けることができない当事者たちの声を代弁した
民主と維新は3月10日、保育士の賃金を引き上げる法案を提出する方針を固めた。想定するのは、月額1万円の賃金アップだ。しかし、保育士の賃金は全産業平均より月10万円以上低いというデータもある。たった1万円の上昇が保育士の確保に繋がるのか。東京郊外から駆けつけたという母親が疑問を投げかけた。
「『1万円』という提案はショックでした。そんな低賃金で(職場に)戻ってくる保育士がいるでしょうか。ぜひ、4~5万円のアップを実施してほしい。消費税増税分を未来を担う子どもたちに使う気があるのか。一番の問題は国家予算が子どもたちについていないことです」
ヒアリング後、岡田克也代表が「頭では理解しているが、直接、話を聞いて深刻さが伝わってきた。結果を出すために本部を立ち上げた。法案を国会に出し、与党にも働きかけて、いい方向で協力ができればと考えている」とコメントした。
「待機児童緊急対策本部」第二回は3月17日(木)に実施する。次回は保育士からヒアリングを行なう予定だという。
IWJさま
保育、子育てに対する民主党の積極的な基本姿勢、支持します。
しかし、保育士給料を1万円プラスというのは、現実離れ過ぎる。そんな感覚では自民党政策に対抗できないし、やっぱり民進党もダメかな~と言われるだけ。
記事内であるとおり、有資格者リターンへ向けて、4~5万円プラスを提案して下さい。
すぐさまそれができなければ、参議院選挙の際には、政権をとったらその1万円からさらに3~4万円プラスと公約して下さい。 以上