今中哲二氏講演「福島原発事故とわたしたちの未来~原子力の過去、現在、未来?~」 2012.9.1

記事公開日:2012.9.1取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/澤邉)

 2012年9月1日(土)、アクロス福岡2階セミナー室で「2012平和のための戦争展ふくおか」と反核医師の会のジョイント企画として、講演「福島原発事故とわたしたちの未来~原子力の過去、現在、未来?~」が行われた。

 講師の京都大学原子炉実験所・今中哲二助教が、30年あまり原子力に携わってきた経験をもとに、福島第一原発事故について、チェルノブイリとの比較を織り交ぜながら、科学者としての見解を語った。

■全編動画 1/2

■全編動画 2/2

  • 日時 2012年9月1日(土)
  • 場所 アクロス福岡2階セミナー室(福岡県福岡市)
  • 主催「平和のための戦争展ふくおか」を成功させる会

 冒頭で今中氏は「原子力を研究するうちに、原子力発電というのは、いったん事故を起こしたら、とんでもなく危険なものだと認識した」と語った。そして、チェルノブイリを調査して「原発事故によって、まわりの村や町があっという間になくなって、地域社会がまるごと消えてしまうということ」を知り、さらに「チェルノブイリでは気づかなかったが、福島では原発事故によって、地域社会が消失されたのみならず、家族そのものも分断され、破壊されている」と述べた。

 次に、原子力発電の仕組みとその技術的課題について具体的に説明した。「原発事故は、原子力発電開発の段階から、2種類想定されていた。一つは福島の事故のように、原子炉の冷却に失敗する事故であり、もう一つはチェルノブイリのように、原子炉制御に失敗する事故である」とし、チェルノブイリと福島を比較しながら、原発事故について詳細に解説した。福島では、地震による外部電源喪失、津波による非常用電源の喪失により、すべての電源を失い、原子炉の緊急事態において行わなければならない「核分裂を止める、原子炉を冷やす、放射能を閉じ込める」の3つの措置のうち「原子炉を冷やす」を失敗したことが水素爆発につながったと説明した。

 後半では、事故発生後の対応について、日本の防災対策体制が完全に崩壊したと指摘した。その様子を「当時、福島の原子炉と同じく、日本国の中枢もメルトダウンしていたと思う」と表現した。さらに「原発事故発生時には、すぐに原子炉の近くにオフサイトセンターを機能させ、現場の指揮、判断を全部そこに任せる仕組みのはずが、特に3月14日から15日にかけてオフサイトセンター周辺の放射線量が上がったために、事故対応従事者が福島市に避難してしまい、まったく機能しなかった」と指摘した。「それが、飯舘村とその周辺など、深刻な放射能汚染がある地域の人々が放っておかれる一つの要因になった」と、事故後の対応を厳しく批判した。

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