「委員長のポストが減るから」――民主党執行部が野党共闘に鈍い「理由」を同党の異端児・尾立源幸議員が暴露!小林節氏、白井聡氏は「新党」結成の可能性に言及! 2016.2.12

記事公開日:2016.2.21取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田充 記事構成・原佑介)

 民主党の岡田克也代表、日本共産党の志位和夫委員長、維新の党の松野頼久代表、社民党の吉田忠智党首、生活の党の小沢一郎代表の野党5党首が2月19日に会談し、ようやく「対安倍政権」の選挙協力をすることで合意に至ったが、この時点で、すでに安保法制の強行成立からちょうど5カ月の月日が経っており、「あまりに時間がかかり過ぎている」との批判も根強い。我々IWJも、ずっと「オール野党共闘」の切迫した必要性を訴えてきた。野党共闘ができず参院選で3分の2の議席をとられてしまえば、緊急事態条項が成立してしまうからである。

 参院選へ向けた「腹案」があるわけでもなく、ただただいたずらに時間を浪費する。そんな民主党の重い腰を厳しく批判する集会が、選挙協力で合意する直前の2016年2月12日、大阪市内で開かれた。講演したのは小林節氏(慶應義塾大学名誉教授)と白井聡氏(京都精華大学専任講師)で、異口同音に「今は、民主党が共産党を毛嫌いしていい状況ではない」と訴えた。

 2人によるスピーチの後には、民主党の尾立源幸(おだち・もとゆき)参議院議員が急遽登壇。自身は党内で異端児扱いされている、と苦笑する尾立議員は、この日、同党の参院議員有志6人 で執行部に緊急の申し入れを行ったと報告。民主党執行部が野党共闘に慎重姿勢を示す、呆れた「理由」を暴露した。

記事目次

■全編動画

  • 主催挨拶 辻恵氏(オール関西 平和と共生 代表、元衆議院議員)
  • 司会 大川一夫氏(弁護士)
  • 講演 小林節氏(慶應義塾大学名誉教授)/白井聡氏(京都精華大学専任講師)
  • 発言 尾立源幸氏(参議院議員、民主党大阪府連代表)
  • 質疑応答/まとめ 辻恵氏/発言 中村哲治氏(元参議院議員・元衆議院議員)
  • タイトル 改憲と戦争を許さない!〜市民の総力で参院選に勝利しよう〜
  • 日時 2016年2月12日(金)18:00〜
  • 場所 大阪駅前第3ビル(大阪市北区)
  • 主催 オール関西 平和と共生 (AKPnC)詳細、Facebook)

小林節氏が痛烈批判「民主党の幹部は自分の居心地がいい場所をいかに確保するかが大事なのだろう」

この日の集会でマイクを握った元衆院議員の辻恵氏は、民主党の現状について、こう指摘した。

▲元衆院議員の辻恵氏

 「昨年来、(安保法に反対する複数の市民団体が結集した)市民連合が野党勢に対し、『(参院選は)1人区での候補者を統一してほしい』と呼びかけている。共産党は民主党に対し『野党連携』を要請しているが、選挙協力の体制づくりは遅々として進んでいない」――。

 そして辻氏は、「(共産党と民主党が)団結しなければ、衆参の両方で憲法改正発議ができる3分の2を改憲勢力が確保し、日本の政治は(安倍晋三政権によって)完全に牛耳られてしまう」と訴える。急ぐべきは、大勢の市民が民主党の議員に対し、「今は非常事態だから、共産党と手を組め」と圧力をかけることだとし、こう語るのだった。

 「参院選で、野党勢の統一候補者が当選した暁には、無所属クラブ的な団体をつくり、そこに5人以上が入れば、自公や維新の党に対抗する団結型勢力の象徴になる。それにより(衆院選が参院選の後になれば)衆院選では統一候補が立てやすくなる」

 続いて登壇した小林氏は、のっけから、民主党幹部への渾身の批判を展開した。

▲慶應義塾大学名誉教授の小林節氏

 「共産党が手を差し出しているのに、『共産党は嫌いだ』などと言って、どうする気か。今は、そんなことを言っていられる状況ではない。民主党の幹部は自分が生き残ることと、(国会の中で)居心地がいい場所をいかに確保するかが大事なのだろう」

安倍政権が国民から反発を買いつつ「高支持率」を誇るのは「野党勢の責任」

 民主党にとって共産党は、宿敵的存在であり続けてきたことは十分承知している、と小林氏。その上で、「それよりも『その宿敵同士が手を組んだ方が、独裁色が強い安倍政権をそのままにしておくより、よほどいい』というのが、今は客観的にも言えることだ」と力説した。

 小林氏は、「日本を取り戻す」を掲げて一昨年の衆院選に勝った安倍・自民党を、「戦争法も、環太平洋経済連携協定(TPP)も、日本を米国に捧げ渡すことを意味する」と揶揄。安倍政権の対米追随路線を批判する有識者らに「反日」のレッテル貼りをする動きがあることに対し、「失礼極まりない話だ。われわれこそ、日本を守っている」と怒りを込めると、次のように言い放った。

 「(安保法案の審議で)安倍首相は野党の追求に対し、『まったく問題ない』という台詞で応じてきたが、それを言ってしまえば勝ちだと考えているのか。審議の時、私は計3回国会に呼ばれたが、野党との議論はまるでかみ合っていなかった。あれが『審議する場・国会』なのか。意味のない答弁を繰り返した揚げ句、採決へと押し切るやり方は、国会がまったく機能していないことを物語っている」

 小林氏は、安倍政権が国民から反発を買う政策を推進しているにもかかわらず、世論調査で高い支持率を維持しているのは、野党勢が「魅力的な旗」を立てていないからだ、と口調を強める。参院選で、選挙区は1人区が1増えて32になった点を踏まえ、「共産党が民主党に『(無所属の)同じ候補者を支持してもいい』と呼びかけていることに対し、民主党は『それで当選したら、その候補者は民主党に入れる。共産党は票だけ自分たちに回してほしい』という姿勢なのだ。これでは、共産党は民主党を元気に支持できない」と強調した。

民主党に業を煮やす小林氏「『第3の旗』を立てるしかない」と新党に意欲

 小林氏は、そういった姿勢の民主党幹部を、「ふざけている。人間としてのマナーに欠ける」と非難。そして、「民主党幹部は、今の民主党の看板でも票が集まると思っている。それは言ってみれば、全然いい男ではないのに『自分は女性にもてる』と勘違いしているようなものだ」と重ねると、煮え切らない民主党幹部に業を煮やしたのか、「こうなったら、しょうがない、『第3の旗』を(自分たちで)立てるしかない」と、新党結成の意思を表明した。

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