安保法が通過してから国民の関心が選挙に向き始めて、意識、行動が変わり、今では市民連合が動き、野党共闘を支援しようという機運が盛り上がってきた。
「全国の選挙で結果を出すには、応援だけでなく、作戦を考えなければならない」──。ブロガーの座間宮ガレイ氏は、選挙戦では、市民が戦略的に動く必要があると力説した
2016年1月14日、山口県岩国市の岩国市民会館で、岩国市長選挙(1月17日告示、1月24日投開票)に向けて、「座間宮ガレイ×姫野敦子 トークイベント」が開催された。インターネット上で選挙情勢番組「選挙ジョッキー」を配信し、選挙勉強会の講師として全国を回っている座間宮氏が講演した。後半は、米軍基地を抱える岩国で市議会議員を4期務め、「岩国は自立できる」として岩国市長選挙に立候補を表明した姫野敦子氏と対談を行った。
「政治家や政党は、国民のレベルを反映している。国民が外交や軍事のことを知らなければ、バカが国のトップになる。逆に私たちが勉強したら、ちゃんとした人がトップになる」と座間宮氏は言う。
「昨年の安保関連法の審議の間、国民は安全保障や憲法について必死に勉強した。そして国民が騒ぎ始めたから、野党もがんばって国民の期待に応えようとしている」
そして、選挙の重要な鍵を握るのが「調整」だと説明し、「国政選挙なら、与党候補に勝つためには、野党各党(民主、共産、維新、社民、生活)がどうやって仲良くするのか。各党は、それぞれの立場でいろいろなことを考えている。私たち市民は、その仲を取り持っていく。放っておいたら、政党間は仲良くできない」と述べた。
座間宮氏は山口の選挙データを示すと、「2014年衆院選、岩国での得票は、自民が3万5000、その他が2万9000。『4000人が動けば勝てる』となれば具体的な目標が見える。今回の市長選も、この数字を念頭に置いて行動していかなければならない」と、集まった市民を鼓舞した。
姫野氏は、米軍の再編交付金をあてにした政策が優先される基地の街、岩国のありかたを変えたいと訴えて、「人に優しい」政策を掲げて市長選に出馬した。
「生きていくのに国保も払えず、医療も受けられない人たちが出てきている。そうした人たちに、給付型の奨学金でチャンスをあげたい。たとえば、向学心はあるが家庭の都合で進学できない子たちが、奨学金で医療や介護や福祉を学び、将来、岩国で働いてもらえるようにしたい。人に優しく、人を育てられる町でなければ、これからの岩国はない」と訴えた。
- 日時 2016年1月14日(木) 19:00~
- 場所 岩国市民会館(山口県岩国市)
- 主催 岩国の自立を進める会
2015年夏、国民の意識に変化──「野党共闘への機運が盛り上がってきた」
座間宮氏が選挙について真剣に考えるきっかけは、2014年4月27日だったという。
それは、沖縄市長選挙と鹿児島2区補選があった日で、「両方、応援に行きたかったが、結果は2敗。呆然と夜空を見上げることになった。沖縄市長選は2000票差の敗戦。戦い方としては、最初から1勝1敗を目指すべきだったのかもしれない。そう考えて部屋にひきこもり、選挙データを分析し、結果をインターネットで配信するようになった」。
その後、座間宮氏は各地で選挙勉強会を始める。「最初は2人しか集まらなかったのが、安保法が通過してから10人、20人と増えてきた。何かおかしいぞ、とうすうす気づいていた国民の関心が選挙に向き始めて、意識や行動が変わった。今では市民連合が動き、野党共闘して(与党に対抗する候補者を)勝たせようという機運が盛り上がってきた。これは、昨年の春にはなかったこと。全国の選挙で結果を出すには、これまでのように応援するだけでなく、作戦を考えなければならない」と力説した。
政治家を動かす“コツ”は自民党と日本会議にあり~選挙で重要な鍵「調整」
「選挙での重要な鍵を握るのが『調整』だ。この言葉の重要性をわかってもらわないといけない」と座間宮氏は強調する。
国政選挙なら、政府与党に対して、野党の共産、社民、民主、維新がどうやって仲良くするのかを、市民が考えよう、と呼びかける。「野党各党は、それぞれの立場で、いろいろなことを考えているから、うまくやれそうで、うまくいってない。市民が間に入って、仲を取り持たなければならない。放っておいては、政党同士は仲良くできない。私たちが声を上げて調整をしっかりやることで、選挙結果は変わる」。
2016年1月24日には、3つの野党共闘選挙がある。八王子市長選挙、岩国市長選挙、宜野湾市長選挙である。「3つとも、野党が仲良く共闘できているかといえば、そんなはずはない。お互いに不信感があったり、思うことがある。それをどうやってうまく進めるか。市民が声をあげて仲介するしかない」と重ねた座間宮氏は、政治家を味方につける「コツ」について、次のように続けた。
「寄付をする、選挙ボランティアをする、党員になる。市民もこれくらいのことをしなければならない。政治家から見れば、単なる無党派層は『油断もすきもない人』だ。ここをわかっておかないと、市民と政治家の間に信頼は生まれない」
座間宮氏は、日本会議と自民党の関係を例に挙げる。
「日本会議の人たちは草の根でずっと活動して、自民党が下野して弱っている時に、お金も人も送り込んで選挙に勝たせて、政権の中枢に潜り込んだ。市民が票しか与えないなら、政権の中には入っていけない。市民も『受益者負担』の原則に則って、『市民側の政策をのむなら寄付しよう』というくらい、みんなで動くべきだ。これが、市民の声を政治家を通じて国政に反映させる、具体的な手段です」
自民党が文句を言われて、市民の声に耳を傾けたことは一度もない、と座間宮氏は断言する。「自民党が話を聞く相手は、自民党支持者だけ。他党も同じ。票をくれて、お金をくれる人の言うことしか聞かない」と分析し、市民が目覚める必要性を訴えた。
中国脅威論の一方で、「日本を脅威と思わない東アジアの国はない」という視点を
安保関連法に関連する話題として上がる中国脅威論について、座間宮氏は、「中国は軍事力を増強している。これは中国自身も、世界各国も認めている事実。それを分析して、中国に脅威があるかないかは、人それぞれ考えが違う。安全だと言い過ぎても、危険だと言い過ぎても、中国につけこまれる。難しいバランスの中に中国脅威論があることを、日本の保守もリベラルも頭に入れておくべきだ」と話す。
そして、日本に中国脅威論があるように、東アジアには日本脅威論もあると説いた。
「東アジアでは、日本は脅威だと思われている。第一次、第二次世界大戦で、日本が何をしたかという歴史的視点を元に国際情勢は動いている。だから、中国も韓国も日本は脅威だと思っているのだ。日本には自衛隊という軍隊があり、そこはアメリカ軍とリンクしている。これを脅威と思わない東アジアの国はない。われわれ日本人は、このことをわかっておかなければならない」。
さらに、日本と似たような歴史をたどってきたドイツと日本を比較して、「日本は憲法9条があるから平和だ、という考えにも一理ある。一方、ドイツには憲法9条はないが、EUに属し、国境に軍事力を置かない世界を作っている。憲法9条は大事だが、それだけで絶対的な平和が作れるとは思わない。やはり、国境に軍事力を置かない世界をどう作るのかは、大きな課題だ」と提起した。
そのうえで、「自民党時代から『東アジア共同体』という考え方があり、鳩山由紀夫元首相も提唱した。日本が脅威だと思われないようにすることを、私たちも考えなければならないし、政府レベルの外交でも考えなければならない。そうしないと、本当の平和は訪れない」と力説した。
「国民が外交や軍事のことを知らなければ、バカが国のトップになる」政治家や政党は、国民のレベルを反映する
座間宮氏の活躍が結構凄いよね!今や東京新聞という表の報道にまで出るようになってきたんだからさ!
日本を脅威に感じている東アジアの国々という考え方には、チョット目を覚まされた感が有るな。唯それは韓国と北朝鮮でしょう。中国は何だかんだいっても核兵器を所持している訳ですしね。北朝鮮はアメリカを目標にしているような喚き方をしていますが、本音は日本かも知れません。その辺は安倍も「北からの核攻撃の脅威が一番有るのは日本だ。」言ってるんだよね。これの意味は韓国は何処までも同族だということ。アメリカは本当に対峙したら消されてしまう相手。虐めた国で近いのは日本だという事を理解している発言だと思うんだな。