2012年8月25日(土)、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」前代表の中手聖一氏による、成立したばかりの「原発事故子ども・被災者支援法」を詳しく解説する講演会が、札幌エルプラザで、市民自治を創る会主催で開催された。被災者の自己決定が尊重されるために必要な権利について語ったほか、福島県が行っている健康被害調査、放射線量調査の実態も紹介した。
(IWJテキストスタッフ・角田/澤邉)
2012年8月25日(土)、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」前代表の中手聖一氏による、成立したばかりの「原発事故子ども・被災者支援法」を詳しく解説する講演会が、札幌エルプラザで、市民自治を創る会主催で開催された。被災者の自己決定が尊重されるために必要な権利について語ったほか、福島県が行っている健康被害調査、放射線量調査の実態も紹介した。
■全編動画
震災に見舞われるまで、福島県内の障害者自立生活センターに相談員として勤務していた中手氏は、「20年以上前から、福島県の原発を止めたいと思っていた」と語った。以前から原発への危機感を持っていたこともあり、原発事故後の2011年3月末から「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の活動を開始した。
中手氏は、このネットワークの代表となった経緯を説明するとともに、飯舘村でプルトニウムが検知されたことや、福島県全域の学校で行われた放射線量調査で、76%の地点が管理区域の基準(0.6ミリシーベルト)を超えたことなど、放射能汚染の実態を紹介した。1~19歳までの死亡者数推移が2011年7月から増えていることを挙げた場面では、「原発事故の影響なのかはわからないが、充分な健康被害調査が行われなければ、どんな病気が発症しても、真実は闇に葬られてしまう」と危機感を示した。
また、「原発事故子ども・被災者支援法」は、強制避難政策が取られている、年間放射線量20ミリシーベルトの地域以外の移住避難者に対する被災者の支援を求めた法案で、低線量被曝への配慮を受けながら「住み続ける権利」、被曝を避けるため「避難する権利」、リスクを受容し「故郷に戻る権利」、健康被害を未然防止する「健康管理と医療を受ける権利」の4つの権利が保障される必要性を盛り込んでいる。
中手氏は、「被災者の権利が尊重されるこの支援法が成立したことを根拠に、次のステップにつなげたいと思う」と、法案の成立を前向きに受け止めながらも、「実際に支援の手が福島の子どもたちに届くには、まだまだ時間がかかる」とも語った。