「大阪都構想」の住民投票に続き、再び「維新」対「反維新」の「オール大阪」がぶつかる。

　2015年11月5日、大阪府知事選の火蓋が切って落とされた。8日には大阪市長選が告示日をむかえ、いよいよ「大阪ダブル選挙」が始まる。

　自民党推薦の栗原貴子候補は5日、大阪市北区の栗原貴子事務所前で出陣式にのぞんだ。栗原候補は、「西日本のリーダーとして、喧嘩ばかりではだめ」と述べ、対立候補である現職・松井一郎大阪府知事を牽制。「すべての都道府県と協調しながら、東西二極の一極をになう『大（だい）・大阪をつくっていこう」と呼びかけた。

　今回の選挙では、「反維新」の旗のもと、民主党、共産党もそれぞれ栗原候補を「自主的に支援」する。他にも、無所属の新人で元高校教諭の美馬幸則氏が立候補している。

• 日時 2015年11月5日（木） 9：00～
• 場所 栗原貴子事務所（大阪市北区）

「二重行政解消」を掲げる大阪維新を牽制「まずは今の疲弊しきっている大阪に、しっかりとお金を回す」

　マイクをとった栗原候補は、「大阪のために何が必要なのか、暮らしをよくするために何が必要なのか、それが問われる選挙で、大阪の未来をかけた闘いだ」と意気込んだ。

　「『まっとうな大阪府』を取り戻すためには、仕組みではなく中身。役所の仕組みを変えれば大阪がよくなるという制度論には終止符を打たなければならない。今の大阪府に仕組みを変える議論をしている暇はない」

　栗原候補は「二重行政の解消」を掲げる大阪維新を牽制し、その前に「まずは今の疲弊しきっている大阪に、しっかりとお金を回す」と経済再生を訴える。

　「新産業創出の陰で蔑ろにされてきた中小企業の支援が必要。大阪は、他府県に比べて、びっくりするくらい高い税率が法人税で課せられている。これを戻さなければ、出ていった企業が戻ってこない。これが雇用をなくし、経済を縮小させているなによりの原因だ」

　栗原候補は「まずは中小企業を元気にする」とし、財源については、「公認会計士、税理士として数字をみるのは誰よりも強い。数えきれないくらいの会社を立て直してきた」とアピール。経済立て直しに自信をみせた。

　さらに、「教育現場の混乱」の解消にも力を入れると訴える。

　「大阪は不登校児童数はワースト6位。残念ながら暴力行為件数は日本1位で、全国平均の2.5倍にまで激増した」と具体的な数字を挙げ、「これは、子どもに寄り添う教育ができなかったから。学校現場での人材育成を怠っていたからではないか」と批判。「トップだけを引き上げる偏った教育でなく、みんなを引き上げる、ひとりひとりに目の行き届く教育が必要だ」と語った。

　最後に、「西日本のリーダーとして、喧嘩ばかりではダメ。すべての都道府県と協調しながら、東西二極の一極をになう『大・大阪』をつくっていこうではないか」と呼びかけた。

「大阪都構想の時計の針を戻そうなんて支離滅裂だ」

　応援演説にかけつけた大阪府連のダブル選挙対策本部長・中山泰秀衆議院議員は「経済で結果を出す」と豪語。「大阪だけでミクロなものの見方をしている今の維新の人たち。言葉の勢いはいいが、何一つやっていないのが真実ではないか」と切り込んだ。

　「私が知っている数字は、例えば犯罪認知率ワースト1。性犯罪の認知率もワースト1。児童相談所の対応件数もワースト1。経済でも、GDPが下落しているのが実態。この状況を、現職の市長や知事が府民、市民にどう説明できるのか」

　大阪維新が掲げる「都構想」への再挑戦について、「同じ過ちを繰り返すのか。37億円にものぼる税金を無駄に使いながらも時計の針を戻そうなんて、言っていることとやっていることが支離滅裂だ」と非難した。

　大阪市長選に立候補する自民党推薦の柳本顕 （やなぎもとあきら）氏も応援に駆け、今回の選挙について、「今回の闘いはまっとうな大阪を『取り戻す』闘いだ」と位置づけた。

　「（大阪維新は）この『取り戻す』という言葉をあげつらって『過去に戻すのか』と言うが、『正常に戻す』ということ。大阪の民主主義を取り戻し、まっとうな大阪の議論ができる状態に戻す。大阪市民の民意を得たにも関わらず、またぞろ都構想の話をすることこそ『過去に戻す』ことではないか」