2012年1月23日(月)永田町にある村上正邦議員の事務所にて、一般社団法人「日本駆け込み寺」代表・玄秀盛氏を招き、第42回「司法を正す会」が開催された。
玄秀盛氏は、自身が、白血病を起こす可能性のあゆウイルス感染者と判明したことを機に、2002年、悩み苦しむ人々を救済するこおとを目的としたNPO法人・日本ソーシャルマイノリティ協会を設立した。公的機関による介入の難しい家庭内暴力、DV、金銭トラブル、引きこもり、そして刑務所出所者の社会復帰支援等の幅広い問題に取り組み、以来、9年間で二万人弱の人々の問題を解決してきた。2011年7月からは、一般社団法人「駆け込み寺」として運営し、今に至る。
玄氏の元には月300~500件の相談が全国から持ち込まれ、玄氏のように、幅広く相談者を受け入れる団体が他にはないため、「駆け込み寺」ならではの相談が多い。育った環境から、暴力団とは自然に接する機会が多く、その経験を活かし、積極的に活動しているという。
5回殺されかけ、5回生き延びているという。
暴力団絡みの相談は近年、多くなっており、家庭内暴力は、警察が立ち入らない場所で起こるため、暴力団の準構成員等となった息子が、家庭内で暴力を働いている、というケースは表に出にくく、そういった子を持つ親が相談に来ることが増えているという。
そういった背景には、社会に受け皿がないことが挙げられる。
玄氏は、「暴力団の業界も、食べていけなくなっている。力の無い人間は、暴対法で締め付けられ、口座も開けない人も多い。そのため、女に頼り、ヒモのような生活をさらに深めなければならないような状況に陥っていく」と語る。
真面目な人間になろうにも、締め付けが厳しく、末端の人間はさらに転がっていく。組から破門状を出してもらい、警察に持ち込んでも「偽装ではないか?(暴力団を辞めたという)真偽は、1~2年経たないとわからない」と突き返され、八方塞がり。家族や、ぶら下がっている女性にいく皺寄せ。真面目に働こうにも受け皿がない。
玄氏の経験によると、刑務所から出所した男性が社会復帰し、真面目に働いていた矢先、社員旅行中に入墨を見られたことから過去がバレ、クビになったという事例もあったという。その男性の漏らした言葉、「出所以来、交通法すら破ってない。明日から強盗にでもなれと?」。
社会が、出所後の人間を受け入れてくれる環境になければ、自然と身元を明かさず生活していく人が増え、偽名を使うが、そんなことでは世の中を渡ることは不可能である。違法薬物、違法博打、そういった世界に集まるようになる。暴力団の内部でも約束・規律がある。そういった繋がりが切れ、地下に潜んだ人間は、夜に動く。盗品売買、店舗ごと襲撃する等、暴力団時代には行わなかった犯罪を行うようになり、手に負えない状態に陥るという。組織から抜け、規律もないが、しかし、受け皿もない。
これらの現実が、さらなる非行の連鎖に繋がっているといえるだろう。
ちなみに、俳優・渡辺謙氏が演じた「愛 命」というドラマの主人公が、この玄秀盛氏である。