日本人は遺伝子組み換え食品を「知らずに食べている」! 〜映画『遺伝子組み換えルーレット』上映会後のトークセッションで明かされた日本の「食品表示」の抜け道 2015.10.31

記事公開日:2015.11.24取材地: テキスト動画
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(取材:佐々木隼也、記事:IWJテキストスタッフ・花山格章、記事構成:佐々木隼也)

※11月24日テキストを追加しました!

 米国では自閉症やアレルギー、その他様々な疾患の原因として指摘されはじめた「遺伝子組み換え食品」。専門家によると、表示義務のある日本でも、消費者はそれを「知らずに食べている」という。

 「日本にも大量の遺伝子組み換え食物が輸入されているが、見かけるのは『遺伝子組み換えでない』という表示ばかり。(規制は)非常に食品業界に甘く、私たちは『遺伝子組み換え』とは書いていないから大丈夫と思って、気づかずに食べてしまう。この表示制度を変えて、遺伝子組み換え食品を食べないようにすることが重要だ」

 こう訴えた安田美絵氏(自然食研究家)はさらに、「たとえば遺伝子組み換えの餌を食べて育った家畜の肉や牛乳には、一切、表示義務がない。したがって、私たちが間接的に食べているパターンが非常に多い」と指摘。さらに、油や醤油、清涼飲料水に入っている果糖ブドウ糖液、水飴、みりん風調味料、醸造酢や醸造用アルコール、コーンフレークにも表示義務がないという。

 「私たちは気がつかないうちに大量に食べている。スーパーで安いサラダ油、ナタネ油、キャノーラ油、綿実油を買えば、何も書いてなくても、ほとんどが遺伝子組み換えの原料を使っていると推測される」

 この日本人にとっては「寝耳に水」の衝撃的な安田氏の報告に、聴衆は息をのんだ。

 2015年10月31日、東京都渋谷区の東京ウィメンズプラザで、ドキュメンタリー映画『遺伝子組み換えルーレット―私たちの生命のギャンブル』の上映と完成記念トークが行われ、映画の日本語版作成にも関わった安田氏のほか、同作品の日本公開を企画したオルター・トレード・ジャパンの印鑰智哉(いんやく・ともや)氏、内田聖子氏(アジア太平洋資料センター)が登壇した。

■ハイライト

  • ドキュメンタリー映画『遺伝子組み換えルーレット―私たちの生命のギャンブル』上映(※録画には含まれません)
  • 完成記念トーク「遺伝子組み換えによる健康被害の実態と私たちにできること」
    安田美絵氏(自然食研究家、社会活動家)/印鑰智哉(いんやく・ともや)氏(オルター・トレード・ジャパン〔ATJ〕)/内田聖子氏(アジア太平洋資料センター〔PARC〕)

マスコミ内部に「サポーター」を作るモンサントの手口

 この映画は、2012年にアメリカで制作されたもの。遺伝子組み換え作物のリスクを医療関係者らの証言も含めて明らかにし、米国内で大きな反響を呼んだ。印鑰氏は、今年、WHOの外部研究機関が、(遺伝子組み換えの種と農薬をセットで販売する)モンサント社の農薬グリホサートの人間に対する危険性を認めたことを紹介し、「この映画の意義は大きい。日本にも関わりがあることだから、皆さんでこの事実を広げてほしい」と強調した。

 遺伝子組み換え作物の危険性について、海外では様々な研究結果が出ているが、「日本のマスコミで『遺伝子組み換えには、こんな害がある』と報道されることは、まずない」と印鑰氏は語る。数年前、毎日新聞が、南米の遺伝子組み換え作物の問題を記事にした時も、直後にモンサント社への謝罪記事を出している。

 モンサントは直接メディアに圧力をかけるのではなく、記者を招待して、自分たちの側に取り込んでしまうのだ、と印鑰氏は言う。「モンサントのサポーターたちが、それぞれのメディアで、不都合な動きに圧力をかけていく。そのため、日本ではマスコミから情報が手に入らない。そんな中で、この映画が日本語になったことの意味は大きい」と力説した。

遺伝子組み換え食品が人間に与えるリスクを明らかにした映画

 上映されたドキュメンタリー映画『遺伝子ルーレット―私たちの生命のギャンブル』は2012年の米国作品。監督は「Institute for Responsible Technology(IRT)」主宰のジェフリー・M・スミス氏。この映画は、遺伝子組み換え食品が人間に与える健康面でのリスクを明らかにした上で、その解決策まで示している点で画期的といえる。

 アメリカでは、この約20年間で疾患が急激に増加。大人だけでなく、子どもたちにも大きな影響が出ていることが問題となっている。それが、1996年に商業的大規模栽培が始まった遺伝子組み換え作物と無関係ではないことを、映画は伝える。さらに、現役の医学者、医療関係者による多くの証言も含まれており、それだけ衝撃的な内容となっている。

 この映画が伝える現実を日本にも広めるために、日本語版の作成をオルター・トレード・ジャパン(ATJ)が企画。日本語版製作プロジェクトが開始された。クラウドファンディングによって資金を募集し、目標を達成。日本語版完成上映会の開催に至った。

人に対する発がん性リスクが認められた、モンサントの農薬グリホサート

 ATJの印鑰氏が、作品の背景を語った。

 「ジェフリー・M・スミス氏は、アメリカで遺伝子組み換えの問題を告発して、この問題をずっと先頭に立って批判してきた。彼がこの映画を作ったのは2012年9月。この映画のコンセプトは今も色あせず、むしろ、時代がこの映画に追いついてきている」。

 今年の3月20日にWHOの外部研究機関である国際がん研究機関が、モンサントの農薬グリホサートは、人に対して、おそらく発がん性物質だろうと断定した。印鑰氏は、「この『おそらく』という意味は、動物実験からは確実であるものの、人に対してはデータが十分でない、ということだろう。危険性については認めている」と話す。

 そのうえで、グリホサートの危険は発がん性だけではない、とし、「映画にも出てくるが、悪い作用は数え切れないほどある。それらが映画でまとめられたことの意義は大きい。これは日本にとっても関わりがあることなので、皆さんによって情報を広げてもらうことが重要だ」と語った。

米国でも、遺伝子組み換え表示運動が広がっている

 司会の内田聖子氏(アジア太平洋資料センター)が質問する形でトークは進んだ。

 「米国で、この映画はどういう反響や影響を引き起こしているのか?」との内田氏の問いに印鑰氏は、「米国は数年前まで『遺伝子組み換え、それが何?』というくらい、遺伝子組み換え食品が一番作られている国でありながら、それがほとんど知られていなかった。スーパーマーケットで売っている食品の7割以上に、遺伝子組み換えが含まれているにもかかわらず、である」と述べ、このように続けた。

 「しかし、この映画が出て、『子どものアレルギーや自閉症は遺伝子組み換え食品のせいではないか』とピンときたお母さんたちが、SNSでつながっていった。インターネットのビデオ会議で、お母さんたちが経験を共有し始めた。この動きが大きな意味を持ち、米国では親たちの運動が爆発的に広がった。今、米国では、20州で遺伝子組み換えの食品表示義務を要求する運動が起きていると聞く。それぐらい、米国では人々の意識が変わってきた。医師の協力によって作られたこの映画は、大きな役割を果たしている」

遺伝子組み換え食品を世の中に放置してはいけない

 内田氏は、以前から遺伝子組み換えの問題に警鐘を鳴らしている安田氏に、「映画から読み取れるメッセージは、どのようなものか?」と問いかけた。

 安田氏は、「遺伝子組み換え作物が、健康に問題を与えるだろうと、動物実験などの結果から考えていた。しかし、ここまではっきりと人間に結果が現れ、(危険性の)証拠と言えるものがあると知り、かなり衝撃を受けた。映画を観れば観るほど、なぜ、こんな代物が食品として世の中に出回っているのか、本当に不思議だ。憤りももちろんあるが、この世の中は一体どうなってるんだろうという、えもいわれぬ感覚に襲われた。こんなものを世の中に放置してはいけない。私たちは、もっと声を上げていくべきだ」と語った。

 内田氏は、科学というエビデンスのもと、事実を事実として提出して、共通の土台で議論することがもっと必要だとし、さらに因果関係をきちんと紐解くことを提言して、このように続けた。

 「今、米国では、いろいろな論文が出ているようだが、日本の状況とは、すごくかけ離れているように思う。そこで、科学研究者の論争や、日本と米国の違いを教えていただきたい」

 これに対し印鑰氏は、世界中で遺伝子組み換え食品への反対が強まっていることを紹介した。

 「まず、(遺伝子組み換えのリスクを調べるような)研究はないだろうと思っていた。映画にも出てきたが、予算を握るのがバイオテクノロジー企業であり、その顔色をうかがいながらやっているため、研究がなかなかできないという問題がある。ところが、遺伝子組み換えに反対の国が増えている。フランスやオーストリアはしっかりしたポリシーを持っているし、エクアドルに至っては、遺伝子組み換えを憲法で禁止している。こうした国では研究が進む。研究の数としても非常に増えている」。

遺伝子組み換えの危険性を、日本の大手メディアは報道しない

 印輪氏によれば、遺伝子組み換えの本場といわれる米国でも、様々な研究が出てきているという。「ただし、それは日本のマスコミには、まず出ない。たとえば、間違って実験の遺伝子組み換えのものが漏れてしまった、という事故は報道される。しかし、『遺伝子組み換えは、こんなに害を与えている』と報道されることはない」——そう指摘した印鑰氏は、次のような例を示した。

 「数年前、毎日新聞が『南米で何が起きているか』という、遺伝子組み換え作物の問題を指摘した特集記事を組んだ。しかし、すぐに『モンサント様、すみませんでした』という謝罪記事が出される始末。なぜ、そうなのか。私が知ってる範囲では、モンサントは直接メディアに圧力をかけるのではなく、記者を招待するという。そして、自分たちのサポーターを作ってしまう。

 モンサントのサポーターたちが、それぞれのメディアの中にいて、不都合な動きには圧力をかけていく。だから、日本ではマスコミから情報が手に入らない。日本の市民に、直接、情報が伝わる状況ではない」

 そのうえで印鑰氏は、「しかし、今はインターネットがあって、海外の研究機関の情報が手に入る時代だ。それを日本語に少しずつ翻訳していく。その中で、この映画が日本語になったことはスタートである」と力を込めた。

『遺伝子組み換え』表示にはからくりがある

 内田氏から、「今、日本の遺伝子組み換え食品の状況はどうなのか?」と尋ねられた安田氏は、「日本にも大量の遺伝子組み換え食物が輸入されている。日本人の食べる米の量が毎年800万トンぐらい。トウモロコシはその倍近くの1500万トンが輸入され、その8割以上は遺伝子組み換えという状況だ。トウモロコシ、大豆、菜種、綿実。輸入されているものは、ほぼこの4種類。商業的な栽培は、幸いなことに日本では、まだ行われていない」と応じた。

 その上で、「こんなに入ってきているのに、見かけるのは『遺伝子組み換えでない』という表示ばかり。『遺伝子組み換え』の表示を見たことがある人は、ほとんどいないと思う。基本的に、日本で遺伝子組み換え作物を加工食品に使った場合は、それを表示しなければならないが、表示しなくていいものもある。複雑な仕組みのため、消費者に誤解を招いており、自分が何を食べているのかわからない状況になっている。これが日本の最大の問題だ」と語った。

 遺伝子組み換えの表示を免れているのは、組み換えられたDNAや、それによって生成したタンパク質の種類によって、検査をしても検出できないものだという。

 「しかし、それは言い訳だ。たとえば、遺伝子組み換えの餌を食べて育った家畜の肉や牛乳には、一切、表示義務がない。したがって、私たちが間接的に食べているパターンが非常に多い」。

 その次に多いのは油だと安田氏は言う。油は、油100%でタンパク質は含まれないので、やはり表示義務がない。醤油にも、清涼飲料水に入っている果糖ブドウ糖液糖にも表示義務がない。果糖ブドウ糖液糖は、遺伝子組み換えトウモロコシから作られたコーンシロップが原料である。

 「他にも、水飴、みりん風調味料、醸造酢や醸造用アルコール、なぜかコーンフレークにも表示義務がない。だから、私たちは気がつかないうちに大量に食べている。スーパーで安いサラダ油、ナタネ油、キャノーラ油、綿実油を買えば、何も書いてなくても、ほとんどが遺伝子組み換えの原料を使っていると推測される」

日本で横行する遺伝子組み換え「表示回避」の抜け道

 安田氏は、「そのほかにも抜け道が2つほどある」と話す。

(…会員ページにつづく)

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「日本人は遺伝子組み換え食品を「知らずに食べている」! 〜映画『遺伝子組み換えルーレット』上映会後のトークセッションで明かされた日本の「食品表示」の抜け道」への3件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    日本人は遺伝子組み換え食品を「知らずに食べている」! 〜映画『遺伝子組み換えルーレット』上映会後のトークセッションで明かされた日本の「食品表示」の抜け道 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/272919 … @iwakamiyasumi
    日本は壮大な人体実験の真っ最中。必読記事!
    https://twitter.com/55kurosuke/status/669395339493957632

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    印鑰智哉氏「モンサントのサポーターたちが、それぞれのメディアの中にいて、不都合な動きには圧力をかけていく。だから、日本ではマスコミから情報が手に入らない。日本の市民に、直接、情報が伝わる状況ではない」
    https://iwj.co.jp/wj/open/archives/272919 … @iwakamiyasumiさんから
    https://twitter.com/55kurosuke/status/961005787584741376

  3. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    印鑰智哉氏「モンサントのサポーターたちが、それぞれのメディアの中にいて、不都合な動きには圧力をかけていく。だから、日本ではマスコミから情報が手に入らない。日本の市民に、直接、情報が伝わる状況ではない」
    https://iwj.co.jp/wj/open/archives/272919 … @iwakamiyasumiさんから
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1007389411972038656

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