今日、インタビューした安田好弘弁護士の話を、好き嫌いは別にして、ぜひ、聞いてほしい。これだけ数々の、時代を彩る事件を見つめ、関わってきた弁護士はそうそういない。今日は彼の弁護士としての原点となった山谷争議団の一連の事件についてお聞きした。
この時代の山谷の労働者への激しい搾取の有様を、今こそ、振り返る必要がある。そう感じるのは、山谷のような寄せ場とそれ以外の世界がコントラストをもっていた時代と違い、今は社会全体がマイルドな「山谷」と化してしまっているからだ。
かつて手配師が日雇い労働者の賃金をピンハネをしていたように、人材派遣業が非正規労働者の賃金をピンハネし、ブラック企業という名の「半タコ部屋」企業が大手を振って表通りに社屋を構えている。かつては、ピンハネされ、食い物にされていることへの自覚があったが、今はそれすらない。
山谷は、ずっと静かになり、規模も小さくなった。『山谷 やられたらやりかえせ』というドキュメンタリー映画が撮られた80年代前半に比べると、街は小綺麗にもなった。だが、山谷が異形の街ではなくなった分、それ以外の社会が不安定化しつつある。
正社員と非正規との格差が拡大している、という批判に対して、それならば「正社員をなくしましょう」と言ってのけたのが、竹中平蔵氏である。日本の勤労者全てが寄せ場の日雇い労働者のような不安定な身分に陥り、疑問すら持たなくなる。https://www.facebook.com/iwakamiyasumi/posts/999114923462555
山谷で、労働者と、暴力団と警察が激しく対峙してきた時代を描いたドキュメンタリー映画『山谷 やられたらやりかえせ』を、今、見たい。あるいは見せたい、と思う。そして、その次に安田弁護士が手がけた事件として話した新宿西口バス放火事件も、映画化されているので、それも。
安田弁護士は、大変お忙しいが、時間の許す限り、手がけてきた事件史を聞き続けたいと思う。一連の連合赤軍の事件。オウム真理教の麻原の弁護人もつとめた。和歌山カレー事件、光市母子殺害事件、そして陸山会事件。安田好弘という人の視座から見るとき、各事件が別の相貌を見せ始める。
いいインタビューでした。
「安田弁護士は悪者の弁護をするけしからん奴」と言う人にぜひ視聴して欲しいと思いました。犯罪者には厳罰を、ではより良い社会は築けないと思います。弱者に思いを馳せ、共に歩む。みんながそういう気持ちを共有しない限り、社会は破滅へと向かうはず。安田さんの、「強者は犯罪者にも被害者にもならない」という言葉に深く頷きました。99%を占める弱者は、もっと賢くならねばなりませんね。
そして、『山谷 やられたらやりかえせ』、IWJで上映会を企画して下さい! DVDになっていないようですが、私もぜひ見たいです。