中東は、未曾有の大乱の中にある。この大乱は、アラビラ半島だけの狭い範囲だけに留まらない。イエメンへの国際法を無視した武力侵攻は、サウジをはじめとするスンニ派10ヶ国が米国抜きで有志国連合を組み、これにはエジプトからパキスタンまでも加わっている。
(岩上安身)
2015年5月11日18時開始の臼杵教授インタビューはこちらのURLでご視聴できます。→http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
中東は、未曾有の大乱の中にある。この大乱は、アラビラ半島だけの狭い範囲だけに留まらない。イエメンへの国際法を無視した武力侵攻は、サウジをはじめとするスンニ派10ヶ国が米国抜きで有志国連合を組み、これにはエジプトからパキスタンまでも加わっている。
ここにイスラエルが加勢し、それとシーア派のイランが対峙する。まるでスンニ派+イスラエル連合対シーア派のイランの構図のようである。他方、そのイランは、米国との間で核疑惑問題で合意を見て制裁が緩和され、世界の「悪役」の座から解放されそうな気配。それにイスラエルは反発。
イスラエルと米国は永遠の結託・同盟と思われたが、オバマ政権とネタニヤフ政権の間には、イランに対する対応を巡って大きな亀裂が。イスラエル国内には、イスラエルに従わない米国の登場に衝撃。「新しい米国」とすら呼ぶ声が。でも、共和党と軍産複合体とは変わらず密接な関係。
イランはトルコとの関係を模索。シリアの反体制派を支援するトルコと、シリアのアサド政権を支援するイランは原油取引で結びつき、ISを叩くことでは一致する。また、この2国とイラクを含めて、クルド人の独立に警戒する声がある。
エジプトはイスラエルとサウジに従属する傭兵国家化し、他方、トルコはNATOの一員ながら、イスラエルや米国に唯々諾々と従わない。サウジは、米国に背中を押されて原油の無謀な増産を行い、原油安を招いて、ロシアを追い詰めようとしてきたが、ロシアが粘り切って、暴落したルーブルも反騰した。
そのサウジ、中東から撤退中(リバランス)の米軍の空白を埋めるように、アラブのスンニ派諸国中心に軍事化し、今回のイエメン侵攻で、米軍撤退後の世界の姿を模索し始めている。今やサウジは、世界最大の武器輸入国に。米欧の武器輸出国は笑いが止まらないが、不安定化は増すばかり。
とにかく大混乱なのである。ここに当然、欧米、ロシア、中国などの関与が加わる。これまで通りの、単純なものの見方をしていたら、この中東の情勢は到底、理解できない。そこへ集団的自衛権だから、なんでもアメリカの言う通り自動参戦だ、などとやったら、頭の空っぽの傭兵と変わらない。
傭兵ならば、金がもらえる。自分の損得づくの計算で、雇い主との交渉もできる。日本はどうか。金を出し、外国軍に基地を提供し、その上世界中に米軍の行動へ追随させられ、何のメリットがあるのか?
複雑怪奇な中東に、目隠しをして、耳を塞いで、米国とイスラエルに手を引いてもらって、連れて行かれ、右往左往しながら、ただひたすら国力を消耗してゆくだけではないか。「町内のお付き合い」という限度をはるかに超えている。
エイブ総理の対米隷従政策で、我が自衛隊が放り込まれる先はどんな状況に今、あるのか、中東政治研究の第一人者の臼杵陽先生に、これからインタビュー!18時から!ch1で!
■臼杵教授へのインタビュー第一弾