脅迫が横行する現状でもなお、「捏造記者」という虚偽のレッテルを張って誹謗中傷を繰り返す櫻井よしこ氏に対し提訴! ~元朝日新聞記者・植村隆氏インタビューを再配信! 2015.2.15

記事公開日:2015.2.15取材地: テキスト
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 第二弾の反撃相手は、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏だった。

 元朝日新聞記者の植村隆は2月10日、植村氏が過去に書いた記事を「捏造」だと報じた櫻井氏と新潮社ら出版3社に対し、慰謝料計1650万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求め、札幌地裁に提訴した。1ヶ月前の1月9日、西岡力・東京基督大学教授と文藝春秋を同様の内容で訴えてから、今回で2度目となる。

 弁護団から入手した訴状によれば、櫻井よしこ氏は、植村氏や植村氏の家族、現在の勤務先である北星学園大学が、脅迫や暴力の恐怖に晒されている事実を知りながら、今なお、植村氏の記事が「捏造」であるという虚偽の誹謗中傷を繰り返し、さらには、植村氏が教員の適格性がないという人格非難まで続けているという。

 櫻井氏は、早速、今回の提訴について、次のようにコメントしている。

 「言論人はいかなる批判に対しても言論で応じるべきだ。論評に不満があるなら、言論の場で説明し、反論すればよい」

エスカレートする脅迫や嫌がらせ

 「不満があるなら言論の場で反論すればよい」と主張する櫻井氏だが、植村氏はこれまで、いわれなき「捏造記者」という虚偽のレッテルに対し、現に「言論の場で反論」してきている。昨年2014年12月には、文藝春秋の新年号で「私は捏造記者ではない」と題した、25ページにわたる手記を発表。23年間にもおよぶ、植村氏への根拠のない誹謗中傷を、一つ一つ反証した。

 1月10日に行われた岩上安身によるインタビューの中でも同様に、櫻井氏の言う「女子挺身隊」という表現が「捏造」だとする指摘や、植村氏が、義母の運動を支援する目的で慰安婦記事を書いたという認識が、いかに的外れなものであるか、説明している。

 誤認やデマが拡散されたことにより生じた、植村氏に対するバッシングは、植村氏の家族にまで及び、家族の写真がネットで公開され「自殺まで追い込むしかない」という、卑劣な攻撃にまで発展した。

 また、植村氏が現在、非常勤講師をつとめる北星学園大学も、昨年5月から、植村氏を即解雇しなければ「学生を痛めつけてやる」などという脅迫に晒されている。今月2月2日にも、新たに同大学の学長あてに、「一般入試で教員や受験生らに危害を加える」という脅迫状が送りつけられていた。

 そもそも、吉田証言についての記事を一本も書いていない植村氏に対し、「吉田証言の記事をたくさん書いた植村は、反日機運を煽った」とする事実無根のデマが、いまだに拡散され、植村氏へのバッシングに拍車をかけている。植村氏がいくら事実を掲げ、言論の場で反論したとしても、醜悪な脅しや嫌がらせが止む気配はないのだ。

 それは、なぜか。そこには、植村氏を槍玉に挙げることで、朝日新聞の従軍慰安婦報道全般を批判し、軍による強制性そのものを否定しようとする、歴史修正主義の存在がある。これについては、1月9日の提訴後に開かれた報告集会で、植村氏を支援する識者らが指摘している。

言論の力だけで保障することはもはや不可能

 訴状には、提訴という手段に踏み切った理由が、次のように述べられている。

 「被告櫻井良子は、著名なジャーナリストであり、強い発信力を有するが、原告やその家族、北星学園大学が、このように脅迫や暴力の恐怖に晒されていることを知りながら、今なお雑誌やインターネット上で原告の記事が『捏造』であるという誹謗中傷を繰り返し、原告には教員の適格性がないという人格非難まで続けている。

 そして、被告櫻井良子のこれらの発信に煽られるかのように、北星学園大学や原告、家族に対する攻撃はエスカレートの一途を辿っているのである。

 このような状況においては、原告のジャーナリストとしての名誉、人としての尊厳を言論の力のみによって保障することはもはや不可能であり、原告とその家族をいわれのない人権侵害から救済し保護するためには、被告らによって流布された『捏造』というレッテルを、司法手続を通して取り除くほかはない」

「ネット上での暴言や中傷についても対応を検討中」

 植村氏の裁判を支援する170人からなる弁護団で、事務局長を務める神原元弁護士にIWJは話を聞いた。神原弁護士は、1月の提訴後、「流れが変わった点もある」と話す。

 「提訴してから、文春や新潮からは『捏造』という言葉は消えました。今までいい加減に書いていたものが、書けなくなったのでしょう。しかし、一方ではまだ、北星学園大学に脅迫状が届いている。すでに、バラまかれた悪評による影響は大きい」

 今後も、提訴し得る案件があるかを問うと、神原弁護士は「まだまだある」と話した。植村氏への「捏造」バッシングがいかに広く、根深いのかがよく分かる表現だ。神原弁護士は、誌面だけに及ばず、個人によるネット上での中傷行為や脅迫、暴言、デマの拡散についても、「今後の対応を検討している」ことを明かした。

 インタビュアーとして、植村隆氏の単独インタビューを行った岩上安身のもとには、ツィッターなどで、植村氏への度を越した誹謗中傷が数々寄せられた。

 ネット上の匿名の暴言も強迫行為や名誉毀損になりうることを岩上安身は注意し続けており、聞き入れて大人しくなった者もいるが、「名誉毀損をいうとは脅迫だ」などという者もいる。ネットの誹謗中傷に対しても、対応を検討している、という神原弁護士の発言には注目しておきたい。

 1月10日に行われた、岩上安身による植村氏へのインタビューの中で、植村氏は、事実無根のデマがなぜ根強く残るのか、その背景に言及し、デマを流布してきた張本人として、具体的に池田信夫氏と「別冊宝島」の名前を挙げている。今後、両者が提訴の対象になるのかは分からないが、植村氏が過去23年間浴び続けてきた、「捏造記者」のレッテル問題の全貌が詳しく解説されている植村氏のインタビューほか、全3本の映像を、ぜひ、この機会に、再配信でご視聴いただきたい。

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「脅迫が横行する現状でもなお、「捏造記者」という虚偽のレッテルを張って誹謗中傷を繰り返す櫻井よしこ氏に対し提訴! ~元朝日新聞記者・植村隆氏インタビューを再配信!」への2件のフィードバック

  1. 清沢満之 より:

    櫻井よしこ、池田信夫、新潮、文芸春秋・・・                             文芸春秋は、戦中も御用記事掲載しまくって、戦後批判されたね。ドキュメンタリ番組で観た。

  2. 信州の村上シンパ より:

    ご指摘の通り新潮、春秋、櫻井某など著名なマスゴミ人と、御用学者らが、日本の世論を操作する構図は戦中も今も変わらない。言論の暴力に対しては、庶民が団結し、相手がもう勘弁と言うまで徹底して行動を続ける必要が有る。
    親が仮に間違ったとしても、家族を恨むのは人として間違っている。しかし、親が間違って人道に外れた事をしたら、被害者が「もうこれで結構です」と許すまで、子は素直に謝るしか無い。それが子の宿命であり自分の親に対する人としての振る舞いだ。

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