「新自由主義の申し子」と呼ばれる竹中平蔵氏の発言が注目を集めている。
問題の発言は、年が明けた2015年1月1日、テレビ朝日系の「朝まで生テレビ!元旦スペシャル」で発せられた。「激論!戦後70年日本はどんな国を目指すのか!」をテーマに討論が繰り広げられた番組で、「改正派遣法の是非」を議論していた際、竹中氏は「正社員をなくしましょう」と発言。Twitterなどを中心に、この竹中氏の発言をめぐって賛否両論の意見が飛び交った。
番組で竹中氏は、「同一労働同一賃金」を主張する民主党の辻元清美衆院議員らに対し、こう言い放った。
「同一労働同一賃金と言うんだったら、『正社員をなくしましょう』って、やっぱり、あなた、言わなきゃいけない」
竹中氏はさらに、この発言の前提として、派遣労働をめぐるアンケート調査を例に出し、次のように語った。
「協会がやったアンケート調査によると、派遣でやっている人の7割は『当面派遣でやりたい』と言っています。厚労省が派遣についてやった調査では、『正社員に変わりたい』と言う人と『今の非正規のままのほうがいい』と言う人を比べると、実は『非正規』と答える人が多いんです。
多様な働き方があるから、派遣でいるのが『なんか悪い』とか『かわいそうだ』とか、その前提はやっぱり捨ててほしい。それはケース・バイ・ケースだということ。正社員で雇われたい人もいますよ。でも、そうじゃない人も多いんだということをまず大前提にしてほしい」
「非正規で働きたい」という声があることを強調する竹中氏は、派遣労働が増えた原因を「日本の正規労働は世界の中で見て、異常に保護されているからなんです」と主張する。
国家戦略特区では、医療や教育など様々な公共政策・セーフティネットを「岩盤規制」を呼び、それを諸悪の根源かのように喧伝している竹中氏らしい言いぶりである。
しかしこうした竹中氏の発言の裏には、明らかな利益誘導がある。
竹中氏は、人材派遣会社パソナグループの取締役会長に就任している。政府の産業競争力会議の民間委員も務めている竹中氏は、2013年3月に開かれた第4回会合の場で、「今は、雇用調整助成金と労働移動への助成金の予算額が1000対5くらいだが、これを一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じている」と発言。これを受けて安倍政権は、労働移動支援助成金を2012年度の2億7000万円から、2014年度には一気に300億円に増額した。そして、そのほとんどがパソナに流れた。
自身の「欲望」のために国民の生活を崩壊させる竹中平蔵氏とは何者か
▲竹中平蔵氏
こうした竹中氏の主張は、今に始まったことではない。派遣の自由化をはじめとする労働力の流動化を繰り返し主張してきた彼の考えは、安倍政権の政策にもしっかりと息づいている。
「朝生」で議論された「改正労働者派遣法案」とは、企業の派遣労働者受け入れ期間の制限をなくすことなどが盛り込まれている。企業はあらゆる業務について同じ派遣労働者は3年までしか使えないが、派遣労働者を入れ替えれば3年を超えても派遣を利用し続けることができることになる、というものだ。企業にとっては、派遣社員の方が圧倒的に安上がりなので、これからは正社員ではなく派遣社員の求人が増えていくことが予想される。
法案は昨年の通常国会と臨時国会に提出されたが、2度とも廃案になり、修正項目を反映した改正案を今期の通常国会に再々提出する見込みだ。
派遣法がこのまま改正されれば、正社員の数は激減し、その分多くの人々が派遣労働者として働くことを余儀なくされる。労働環境が不安定化し、過労死・過労自殺、ブラック企業のさらなる横行も懸念される。そして、パソナが儲かる。
国民の生活を困窮させ、悪びれもせずに堂々と自身が会長を務める派遣会社へ利益誘導する。この「欲望」の根源は一体何なのか。
竹中平蔵氏をはじめとして、現在まで推進されてきた新自由主義政策――。彼らが目論むものは何か。それを明らかにしているのが、『市場と権力』(講談社、2013.05)の著者でジャーナリストの佐々木実氏だ。
8年にもおよぶ取材期間を通して、佐々木氏は、新自由主義的傾向が勢いを増す1980年代以降、竹中平蔵という存在がいかにして産み落とされたかを説く。さらに、岩上安身によるインタビューでは、いまだに新自由主義路線を歩む経済政策と、集団的自衛権の行使を可能にする「国体の変更」とを同時に押し進める安倍政権のあり方についても話がおよんだ。
【Ch1はこちら→】http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
正社員を無くしましょうというなら、まず日本から会社を無くさないとね。そうすれば法人税は無くなります。正社員を無くすというのは、会社が責任を一切とりませんという事。その前に、非正規労働者を水増しして補助金を取り税金ごまかしてる会社を調査するほうが先だろうよ。
『そりゃ多様な考えの人がいるから、TVに出てくると「専門家の意見だから」とか「なんか最もらしい事言うから」とか、その前提はやっぱり捨ててほしい。それはケース・バイ・ケースだと言う事。「慶応大学教授だ」って言う人もいますよ。でも、「そうじゃない。パソナ会長だ」と言う人も多いんだと言う事をまず大前提にしてほしい。』
竹中平蔵は、心を売った人ですね〜
お気の毒に。
心の世界になるのにお金にしがみついていてはあなたの未来はありませんね。