2014年11月の沖縄県知事選で敗退し、12月9日に任期が切れる仲井真弘多沖縄県知事が、名護市辺野古の埋め立てに関して、沖縄防衛局から出されている変更申請3件のうち2件を、12月5日に承認した。
2014年12月5日、沖縄県那覇市の沖縄県庁前および沖縄県知事公舎前にて、沖縄平和市民連絡会など市民有志による「辺野古新基地建設に向けた、埋め立て工事の変更申請の先行承認に対する仲井真知事への要請行動/知事公舎前抗議行動」が行なわれた。
この承認の可能性を知った沖縄平和市民連絡会のメンバーらは、5日の午前中、沖縄県庁を訪れて判断を見送るように要請した。また、知事公舎に通じる道路では、多数の警察官に威圧されながらも、市民による抗議行動が行われた。
しかし、14時過ぎ、工事用仮設道路の追加と、埋立地の中仕切護岸の追加の申請を、仲井真知事が承認したことが伝えられた。
- 日時 2014年12月5日(金)10:30頃~(沖縄県庁)/15:00〜(知事公舎前)
- 場所 沖縄県庁/沖縄県知事公舎前(沖縄県那覇市)
任期「残り3日」で辺野古の工事追加を承認した仲井真知事
12月5日10時過ぎ、沖縄平和市民連絡会の城間勝氏、真喜志好一氏などの市民グループが、沖縄県庁総務部秘書課の窓口を訪れて、辺野古新基地建設に向けた埋め立て工事の、変更申請に対する承認について、仲井真知事への要請書を手渡そうとした。
しかし、この申し立ては土木建築部へ回されると説明され、直接、土木建築部の担当部長へ手渡すことにした。土木建築部では、工事部長、統括官、参事ら幹部は会議で不在といい、土木総務課の担当職員が対応にあたった。
城間氏は、「名護市辺野古の埋め立てに関して、沖縄防衛局から出されている変更申請の3件中2件を、今日、仲井真知事が承認する可能性があることを、今朝のマスコミ報道で知った。急いで知事宛に要請書を渡したいがために駆けつけた」と職員に伝えた。
さらに、「翁長氏が新知事に当選したにもかかわらず、任期が残り3日しかない仲井真知事が、工事変更申請を急いで駆け込みで承認することはあってはならない。地方公務員法では、工事部長も県民に奉仕する立場だ。県民の審判も出ている。民意を遵守してほしい」と訴えた。
沖縄県庁に「琉球新報」、「沖縄タイムス」が置いていない理由
「要請書を渡すだけでなく、短時間でも担当部署の責任者と話がしたい」と求める城間氏らと、「会議中なので出て来られない」と言う担当職員との押し問答が続いた。市民側は「会議の部屋に行って、部長の判断を仰いでください」と再三にわたって求め、部長に会えるまで廊下で待つことを決めた。
廊下で待っている間、市民グループのメンバーが庁舎内の新聞ラックに沖縄県の地元紙2紙(琉球新報、沖縄タイムス)がないことに気づいた。「仲井真知事は『琉球新報と沖縄タイムスは偏っているから、読まない』と表明していた。それが裏づけられている」と市民らは苦笑した。
県側が「代表者3名と取材のメディアだけなら、面談に応じる」と申し出たが、城間氏らは市民グループ全員での面会を要求。部長との面談を廊下で待ち続けた。
「食い逃げ承認」した仲井真知事