亀井金融大臣会見 2010.2.26

記事公開日:2010.2.26取材地: テキスト動画
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■全編動画

亀井静香金融担当大臣(以下、敬称略)「今日の閣議は、別に、皆さん方に報告をするようなことはありませんから、皆さん方のほうから何か聞きたいことがあったら聞いてください」

岩上「フリーランスの岩上です。よろしくお願いします。

記者クラブ問題と言いますか、記者会見のありようのことなのですけれども、こういうふうに二つに分けてやっていただいているのですが、何か、『記者クラブ側は一つにまとめたいというような動きがある』という情報を聞きまして、今後どうなっていくのか。

大臣のおかげ様で、我々がこういう形で非常に自由に取材できる、例えば、撮影とか、インターネットの動画配信とか、こういうものの制約を受けないかどうか、大変、ちょっと心配しています。この点はどうなるのでしょうか」

亀井「私は、あなた方次第だわ。今も、下(記者クラブの記者会見)でちょっと言ったのですけれども、『私は、一緒でもいいし、ただ、今のほうが、後の(雑誌・フリー等記者の)会見のほうがざっくばらんな話をして良いけれども、お前たち(記者クラブ)と話をしたら嫌がらせが待ち構えているみたいだから嫌だ』と言ってきたけれども、『一緒でも構わないよ』と。

ただ、一つ困っているのはね、(国会)開会中、院内で閣議をやる場合が多いでしょう。その場合、(今日のように)こうやってすぐ来れる場合もあるけれども、来れなくなる場合が多いんだよね。すぐ委員会が始まったり。

その場合、下の(記者クラブの)人たちとは、(国会の)中でぶら下がりみたいな形で(短時間で)やれるんだけれども、皆さんの場合はそれができなくなってしまう。(国会内に)入れる人は良いけれどもね。だから、そこが問題なんだよ。

そういう場合どうするかという、毎回(火・金)(金融庁に戻ってきて会見をするのが)無理なら、改めて、週に一回ぐらいここ(金融庁大臣室)で特別に(会見を)やるかという、そういう問題だな。

これは、皆さん次第の話ですから、皆さん方の要望次第です。(でも、)もう、あまり会ったってしようがないでしょう。見飽きたろう、俺の顔だって(笑)」

岩上「そんなことないです」

園田「保険毎日新聞の園田です。

共済事業で、個別の新法を作るというのはどれぐらい真実味があるというか、もう8割方……」

亀井「えっ? 」

園田「昨日の大塚副大臣の発言の中にそういうのがあったという報道が……」

亀井「共済の関係? 」

園田「ええ、共済です」

亀井「これは今、この前、私が厳命を下して、徹夜をしてでもと。『とにかく一年ぐらい』なんて言うから、『そういうわけにはいかない。今国会に法案を提出しろ』と」

園田「じゃあもう新法で……」

亀井「新法で提出させます。今、検討させています。検討中です。これは、今国会に出します」

園田「そのポイントというのは? 」

亀井「これは、中にはかつてのオレンジ共済みたいな、そういう、悪意にて加入者を食い物にしてやっておったような共済もありますけれども、全部がそういうわけではないのでね。非常に小振りな、仲間内でお互いが助け合うみたいな形で健全にやっておられるところもたくさんあるわけですけれども、それを、(業務が)やれなくなっちゃうっていうことは、まことに理不尽な話ですから、そういうことをちゃんとできるように、と言っても、(共済の数は)何百だ。何百以上だろう? 」

「何百以上あります」

亀井「何百以上あるから、どこまでが健全なのか。『いい加減な』と言ったらおかしいけれども、中にはそういうの(共済)もないわけではないですよね。本当に共済として機能しているのかどうかという。だから、そこらをどこまで……、だから、『一概に1年間ぐらい時間がかかる』と言ってきたのですけれども、そんなことをやっていたらちゃんとしたところが(業務を)やれなくなるので、間に合わないですから。これは、ある程度、あとは想像力でさ、ちゃんと線引きをして、『ちゃんとした共済、共済の目的に合った構成・運営をしている者に対しては、ちゃんと(業務が)できるようにしろ』という形で、今」

園田「『「PTA共済とかも含んだ包括的な』というふうに報道に出ていたのですけれども、それもそうなのですか? 包括的な? 」

亀井「まだ、技術的にどういう法律的な整理をするのかと(いうことは)、私はまだ聞いていません。だから、私が指示したのは、『そういう形でやれ』ということを言いました。今、そういう方向でやっているので、また途中で私のほうに報告があると思いますけれどもね」

園田「はい。ありがとうございます」

高橋「フリーランスの高橋清隆と申します。このような会見の場を設けていただいて本当に感謝をしております」

亀井「いやいや、こんなの当たり前の話ですよ」

高橋「本当の保守政治家だと思って尊敬しております」

亀井「ありがとうございます」

高橋「そこで伺いますけれども、日航のCEO(最高経営責任者)の稲盛和夫氏が内閣特別顧問に任命されましたが、稲盛氏はデイヴィッド・ロックフェラー(・シニア氏)と日米財界人会議をつくって、デイヴィッド・アブシャイア(元米国のNATO大使)と日米21世紀委員会をつくって構造改革を訴えてきた人です。日本国家を始め、我が国の伝統企業が外国に手引きされる懸念というのはございませんか」

亀井「私は、稲盛さんの基本的な思想の奥の奥まで知っているわけではありませんけれども、あの人も愛国者だろうと思うしね。ただ、今の時代に、狭いナショナリストみたいな者がリードしていくわけにはいきませんから、やっぱしグローバルな視点で日本を考える、日本経済も考える、いろいろな社会問題も考えていくという視点は必要ですからね、私は別に、懸念はしていません」

高橋「大臣が、保守主義者として『守りたいもの』は何でしょうか」

亀井「これは、私は、『保守とは何か』というのが、今、非常に混乱しているというかね、おかしくなっていると思いますよ。本来、保守でもない者が、『保守』と言えば何か良いみたいな。また一方で言うとね『古臭い』みたいなね、そういう仕分けをされていますけれども、結局、私は、人間を大事にすることが保守だと思います。人間の営みを大事にすること。

そういう意味では、人間の営みというのはグローバルな視点もあれば、それぞれ、エスキモーはエスキモーでさあ、あの極寒の地で移住しないで、あそこで、あまり文明と縁がない形でも一生懸命生きて満足しているわけでしょう。日本には日本の中でのそういう人間としての生き方、それで生きがいを感じているものがあるわけでしょう。やはり、猿真似をしないで、そういうものをそれぞれ大事にしていくということが保守だと思うな」

片岡「保険銀行日報の片岡と申します。

郵政改革の件でちょっとお伺いしたいのですが、生保協会長が、『暗黙の政府保証』という(こととの関係で)『公正・公平な競争条件ができない限り、かんぽの限度額の引上げと、それから(保険の)第三分野の(商品のかんぽでの)解禁には反対する』ということを表明しているのですが、その点について、大臣はどのようにお考えですか」

亀井「この間来られて、だいぶ時間を取って意見交換をしましたけどねえ、私は、簡単に言うと、『保険のおばちゃんを泣かせて郵便局は高笑い』みたいな改革は進めるべきではないと。今、言った『保守』という意味でも同じことですから。人間の営みを大事にしていくと。その地域社会というのは、郵便局だけが守っているわけじゃないからね。これは、信金・信組もあれば保険もあるし、農協もあれば、そういうものがちゃんとしていくためにはと。

ただ、そういうことの中で、純ちゃん(小泉純一郎元総理)が郵便局を本当に荒っぽくさあズタズタにしてしまって、ある意味では、殺してしまったのですよ。それはいかん。それをちゃんとしようということであって。それ(郵政)が生き生きと生き返ったことによって、そういうほかの金融機関なり保険屋さんが『影響を受ける』と言うのは、あまりにも弱気過ぎるわな。やはり、そういうところ(弱体化した郵政が生き返ったら影響を受けるというところ)も、ノーマルな形で営業をやっている者とちゃんと対抗できるような営業をしないといけませんね。生命保険にしても何にしても。そう思います」

片岡「では具体的に限度額引上げとか、第三分野解禁とかというのは、今度の改革法案の中には具体的に書き込まれないという理解でよろしいのでしょうか」

亀井「そういうふうに『書き込む』とか『書き込まない』とか、そういうことを含めてね、私は、トータルで判断をします。今ね、皆さん方から『だらしない』と言われるかもしれないけれども、あと半月か、もう、ちょっとぐらいしか(日数が)ないかもしれないですけれども、いろいろな立場の人、いろいろな人の意見を最後の最後までね……、私はあほやから、あほなだけにさあ(笑)、いろいろな意見を聞いてね、できるだけ良いものにして、最後は、ピシッと私が決めていきます」

片岡「ありがとうございました」

田口「日本証券新聞社の田口と申します。

最近の亀井大臣の発言の中で、外国人の地方参政権と選択的夫婦別姓制度の反対をよく挙げておられますが、外国人参政権のほうは、結構、国民の中でも理解される向きは多いと思いますが、一方で、この選択的夫婦別姓(制度)につきまして、こだわっておられる理由というのはどういったところがあるのか。

逆に言いますと、一部の方々の中には、『少子化が進む中で、逆に、選択的夫婦別姓(制度)ができたほうが家を守れる』というような意見も出ていると聞きますが」

亀井「何で、そのほうが守れるのでしょう」

田口「例えば、娘さんが一人だけいて、その方がお父さんの名前を継ぎたい、あるいはお母さんの名前を継ぎたいということができると」

亀井「それはどういう意味? 」

岩上「私も娘が二人なんですけど、もうすぐ嫁ぐのですけれども、家を継いでもらう跡継ぎがいないわけです。そういう家で、さらには一人っ子の女性のところで、家をどうしても継いでほしい、家の名前を継いでほしいという中で、一人っ子の男の子と一人っ子の娘さんのカップルというのがあって、それは結婚がずっと延び延びになっているなんていうケースもあるのです」

亀井「私は、今、おっしゃったことは、夫婦別姓反対の論拠になると思いますよ、逆に。逆に言うと」

岩上「まあ、家とかお墓とか名前ですね」

亀井「やはり家とかにこだわっているということですよ。名前にもこだわっているということでしょう。夫婦別姓というのは、それをある意味でバラバラにするという話になってしまう。そうでしょう? 夫婦であっても別姓でしょう。子供も別姓という。アパートみたいになってしまうわけです。雑居ビルみたいに表札がボンボンと。(夫婦とは)肩寄せ合ってお互いに協力し合っていく社会の最小単位ですよ。何で、それがそう(別姓に)しなければならないのかという合理的な説明もできないと思いますよ。ただ『主人と別な姓が良い』というねえ。それなら結婚しなければ良いじゃん」

岩上「まあ、それは(笑) 結婚はしたいわけですから、みんな」

亀井「(結婚)したいなら、姓ぐらい一緒になったって良いんじゃない」

岩上「だけれども、『親の姓を継ぎたい』と思っている人もいるわけですけれども、それは矛盾があるからこそ、ではそのぎりぎりのところの妥協で別姓にしてとか」

亀井「だけど、逆に言うと、『親の姓を継ぎたい』と言って、そんなに姓にこだわるなら、せめて『夫婦で一つの姓になりたい』という意味でこだわってもらいたいですね、逆に言うと。そんなに姓にこだわってるんなら。姓にこだわっているなら、『そのこと(姓)で(夫婦が)一体になるのが嫌だ』と言うのが逆におかしいんじゃないの? どうでも良いことなら良いけれども」

岩上「これは選択的でも駄目なのですか? 」

亀井「だから、そこまでする必要はないと思うのですよね。今も、『通称』では通用しているのですから。職業を持っている方が『それ(姓)を変えるのは不便だ』と、それは『通称』でいっぱい通用していますよ。それで良いんじゃないの。『通称』で良いんじゃないの? 

ただそれをさあ、親子、子供で名前が違うみたいな、そういうバラバラ感を家庭内に持ち込む積極的な意味はないですよ。これはね、私はねえ、国民感情というか、共同生活に合わないと思います」

記者「仮になのですけれども、先ほどの例ですと、娘さんしかいない家庭の方が嫁いで、その次の世代で、例えば、もしも子供が成年になって、『もう一方の消えてしまいそうな姓を継ぎたい』と言ったときに、法律的にもっと弾力化して個人の希望に叶った、もちろん『成年になった』とか、いろいろな条件をつけてなのですけれども、そういった事後策というか、そういった点については……」

亀井「だからそれは、僕は別な問題だと思うよ。『今までとは違った姓を名乗りたい』と言うのは別な問題だと思いますよ。だけど、夫婦としての単位、家族という単位で考えた場合は、その単位をバラバラにする必要はないのではないかと。ただ、将来的に、その家族構成の中から出て独立するでしょう。独立した人間が、やはり特別な、『自分はおじいちゃんのところの姓を名乗りたい』というような意思を持っている場合は、それで良いのではないかと思いますけれども、一つの共同体の塊を前提としておりながら、その姓を勝手に、そんなの……。

子供だってそうでしょう。小学生や中学生のときに、そんな判断がつく? 『お父ちゃんの姓が良い』、『お母ちゃんの姓が良い』とかさあ。私は、やっぱつかないと思うよ。それは、やっぱし子供の心理的安定から言っても、一つの姓の中で育ってきて、お兄ちゃん、妹と同じ姓、お父さん、お母さんと同じ姓ということの中で、一つの家族としての一体意識というものが僕はあると思うよ。まあ、姓が一緒だから一体感が生まれる、ということにはならんかもしらんれどもね、やはり人間というのはそうじゃないですか。

そんなことを言ったら、『夫婦だって、同居しないで、ときどきラブホテルで会っていれば良いじゃないか』という論理につながる話ですよ。やはり、共同生活をして、同じところで寝泊りをして、同じご飯を食べて、同じ布団の中で寝て……、俺なんか寝たことないけれどもね(笑)。やはり、そういう、一つの共同生活をしたいというあれがあるわけですよ。そういう面と姓は別だという、私は、それはつながらないと思いますよ。

そんなこと言ったら、金融庁の職員……あっ中継してるからまずいな(笑)

とにかくさあ、そういう夫婦でも…、昔、奈良時代は通い婚みたいなものがあったとかあるけれどもね、そういう、『もともと一緒に生活なんかする必要ないのだ』と、そこまで割り切って考えれば、それは別ですけれども。やはり、動物だって同じところ(巣)で、宿でね、つがいはくらすでしょう。本能に近いものがあると思うよ、一緒に生活をしたい。

その中の感覚として、やはり、『結婚したら姓も一つになりたい』、『身も心も一緒になりたい』という、やはりそういうものの延長線上に同一姓というのはあるので、その部分だけ『便利だ』、『便利ではない』だとか、実際問題、そういうテクニカルな感覚で処理をするわけにはいかんのじゃないの? 実際問題。本当にアパートみたいになってちゃうと。表札がずーっと(沢山並んで)。兄弟で別な名前を呼び合うなんて……、下の名前は別だけど、そういう状態というのが本当に理想的なのかなあ。うーん。

やはり、それは、できる限り自然な形でまとまって、いずれ巣立っていくわけですけれどもね、巣立っていくわけだけど、集まって生活するうちは生活していくというね、本能的なものがあると思うよ。

同姓というのは、やはり一つの本能的な、そういう感情的な根拠があるので。天皇陛下が『そうしよう』と決められたわけでもないし、将軍様が決めたわけでもないので。やはり、日本は日本の中でそういう一つのあれが生まれてきているというあれがあるので、それをねえ今の時代に法律でバーッと、『そんなことぶっ壊してしまえ』というような、乱暴なことは保守には馴染まない」

中澤「不動産経済研究所(不動産経済ファンドレビュー)の中澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

沖縄の問題についてお伺いしたいのですが、県内の皆さんが基地の(県内への)移設を反対している中で、そこで『やはりもう一度沖縄へ』というような流れを感じているように思うのですが、本来、沖縄に基地を置かなければいけない理由というのは、本当はないのではないかというのがありますよね」

亀井「ないよ。(理由は)ないですよ」

中澤「一方で、嫌悪施設というふうに基地を扱っているような国民の心情もあって、皆さん受入れをしないと。例えば、新党大地の鈴木宗男(衆議院議員)さんが、かつて射撃場を北海道の自分の選挙区に移したときに、選挙に落ちてしまったという事例もあって、議員の先生方自身が、声を挙げたくない、ということを思っているので、これは国民のせいなのか、それとも政治家が責任を持ってやるべきなのか、どちらなのかを先生に教えていただきたいのですが」

亀井「これは、今の日本人ねえ……、全部ではないですよ、あなたたちはまともだと思うのですが、相当数いかれているんだよ。本当だよ。俺も含めてそうかもしらんな。いかれているんだよ。いわゆる人間らしさみたいなものが……。動物の世界でもある『共生』の感覚を失ってきているのですよ。動物の世界ではあるんだよ。みんなで群がって、みんなで助け合ってこうやって、蟻の世界、蜂の世界だって、ライオンの世界だってみんなある。

今、人間の世界というのは、その共生の感覚というのがなくなっていっているのですよ。そういう、基地みたいな厄介なものはねえノーサンキューという感覚でしょう。だから、沖縄の人が『県外に』と言うのはよく分かりますよ。『同じ日本人なのに、何で自分たちだけがこういう目に遭わなければいけないのか』というね、これはよく分かりますよ。
だからこれは、できることなら県外、国外が良いのですよ。だけれども、それが今の日本人というのは、今、言ったように、相当数がいかれているから『俺たちは嫌だ、嫌だ』と言って、現実に(は)不可能だと。

しかし、現実の騒音と安全の問題は解決しないといけないでしょう。そうなった場合、アメリカも呑みやすいというかね、アメリカに拒否されてしまうとどうしようもないのであって、その問題を解決できる現実的なことになると、今の基地の中に作るというのがね……、騒音の問題はもうちょっと改善しなければいけないけれども、安全の問題、騒音の問題を含めて、沖縄の中のほかのところに作ることに比べれば、ベストではないけれども、よりベターな選択だろうと。

国民新党の言っていることは、そういう常識的なことを言っている。だから、今の日本の政治、大体、国民新党の言っているとおりになるでしょう。だから、夫婦別姓も参政権も全部そうなりますよ。国民新党の意見は、奇妙奇天烈なことは言わない。だから保守だと。本格保守だ。ねえ。だから、沖縄の皆さん方から『えーっ、国民新党が言ったことがだんだん現実化する』ということにますよ。そこに落ちつかざるを得ないのですよ」

中澤「落ちつかざるを得ないとしても、やはり、沖縄に基地を置かなければいけないという皆さんのコンセンサスというのは崩していかなければいけないというのは……」

亀井「だから、今、言ったやつですよ。みんなで、本来、基地なんかはないのが良いに決まっているけれども、日本の安全と、またアメリカとの同盟関係があるわけですから、アメリカの極東軍事政策にも協力しているという面から、基地を日本列島に置くというのであれば、ある意味、均等にするのが一番理想的でしょうけれども、なかなかそうはいかないと」

岩上「関連してもよろしいですか。フリージャーナリストの岩上です。

この国民新党の提案に関しては、やはり下地(国会対策委員長)さんが非常に重要な役割を担っていたと思うのですけれども、前回も質問させていただきましたが、その後ですね、下地さんが政調会長の任を急に解かれて選挙対策のほうに(変わられました)。異例の人事だったので、これはまたどういうことかなと思いまして」

亀井「だから、水は低きに流れるが如く、大体、こういう案に落ち着くだろうから(笑)、そういう意味で――」

岩上「この提案とは関係があるのですか? この人事……」

亀井「もう、大体、俺たちはこれでいけるだろうと思っていますから。ほかに良い案があれば良いのですよ。最低、落ち着くのはこういう案だと思いますから。あとは官房長官や外務省が頑張って努力して、また地元の人たちの理解を得る努力をすればさあ、ある意味では、国民新党の手から離れているみたいな点もありますからね。あとは選挙に勝たなければいけないですからね。あいつは馬力がありますからな。あいつもうちょっとこれっぽけりゃあいいだけどねえ、あの顔でも馬力があるからさあ(笑)選挙にはね」

小川「記者クラブについてもう少しお伺いしたいのですけれども、環境省の小沢大臣も、亀井方式というか、金融庁方式というか、別々に(会見を)やろうというふうな検討を、今、されているようなのですけれども、亀井大臣にとってやりやすいというのは、やはり一緒のほうが良いということなのですか」

亀井「私は、もう全然何でも。大体、亀井の特徴というのは、何にもとらわれないというのが特徴ですからね(笑)。何でも構わないんだよ。それは、それなりに対応します。皆さん方にとって都合がよければ良いのですよ。皆さん方の選択で、私は自由に、どのようにもいたします」

小川「例えばの話なのですけれども、今、記者クラブの(会見の)ほうは、記者クラブ主催という形で記者クラブでルールを決めているのですけれども、例えば、一緒になったときにどういうふうな運用をされるのかというのがすごい気になるところで、例えば、第一記者クラブ(の会見)だとネット中継が不可ということになると、今日は来ていないですけれども、ニコニコ動画とか……」

亀井「カメラ置いてるじゃん、あれ。記者クラブ(の会見も)置いているでしょう」

記者「庁内の中継です」

亀井「TBSだとかカメラ全部置いてあるじゃん」

記者「テレビはオーケーという、何か独占しているそうで」

事務方 「『「(記者会見を)開放する』ということは、そういうことも含めて開放するということだと私は聞いています」

亀井「あそこ(記者クラブの会見)は中継していないのか。中継は一切していないの? 」

記者「そうです」

亀井「ここ(雑誌・フリー等記者の会見)は中継しているのですか。録画を撮っているんじゃないの? 」

岩上「録画したり、中継している場合もあります」

亀井「では、ちょっと俺、行儀ようせにゃいかんな(笑)。そんなことは、中継しようが構わないのではないじゃない。なあ。」

小川「例えば、総務省なんかだと、法人はオーケーなのですけれども、個人で撮影するのは不可という、何か訳の分からないルールがありまして」

亀井「ただ、『個人まで』と言い出したら、そこらの子供まで入ってきて『撮影させて』と言ってきたら止めるわけにいかなくなちゃうわなあ。現実的にはそういう問題が出てきますね。『この子は駄目』、『あの子は良い』というわけにはいかないしな」

小川「例えば、今、岩上さんなんかはビデオ録画されていたりするのですけれども、(総務省では)それももう駄目だと」

亀井「何、何? 」

岩上「私の、助手がカメラを撮っているのですけれども、大臣の会見はずっと撮らせていただいて、Youtubeにアップさせていただいているのですが、そういうことが総務省ではですね駄目だと言われる」

亀井「今やってるじゃん」

岩上「ここでは許していただいたんですが」

小川「金融庁はオーケーなのですけれども、総務省は記者クラブ主催で……」

亀井「俺は、他所の省のことまで知らないよ(笑)。権限がないですから」

岩上「このように、ここ(雑誌・フリー等の会見)で今まで許されたことが、そういう制約を受けるのではないかという心配です」

亀井「それが嫌なら、あなたたちは『一緒にやるのは嫌だ』と拒絶すれば良いではないですか。俺は、無理に一緒になってくれと言っているわけではない。そうでしょう?あれ(記者クラブ)が『一緒にやりたい』と言っても、あなたたちが『嫌だ』と言えば、やれないだけの話でしょう」

岩上「ありがとうございます。じゃあそれで」

亀井「俺が判断する話じゃありません」

岩上「その方向で(笑)」

亀井「なければ、無理して聞くこともないけどもね」

司会「基本的にお1人、1問ということですから」

亀井「まあ、いいですよ。そういう四角四面なことは言わない」

高橋「フリーライターの高橋清隆と申します。

ちょっと、第二会見(雑誌・フリー等の記者会見)の雲行きが怪しくなってきたので、今のうちに大胆な質問をさせていただきますが、大臣が、人生でまだやり残していることというのは何でしょうか」

亀井「やり残していること……、それは簡単じゃないの」

高橋「なんでしょうか」

亀井「だけど、小泉改革を全部ひっくり返していないから」

高橋「まだ不完全だから……」

亀井「そうです。郵政だけではないですね」

高橋「あとはどんな……」

亀井「さっき言いましたが、世の中をおかしくしているでしょう。人間ではない社会になってきているんですから。私自身がもっと人間らしくならなければいけないのだろうけれどもね(笑)。だけど、政治家の仕事はそれですよね。

そういう面では、本当にねえ……、俺の田舎でも、車一台通れば崖っぷちで落っこちるようなところだったのです。私が生まれたとき、ダムの移転地でしたから。そこに、今、まだ完全には完成していないですけれども、道路を作ったのですよ。毎年、長い道路だけども、2億円ずつ予算をつけて、もう十何年かかっているけれどもね。(予算を)つけて、良い道路が作れたのです。

だけど、通る車がなくなってきた。家は見えるけれども、全部空き家。俺の生まれた家の前ももう空き家です。俺の家も空き家になっているけれども、今、誰も住んでいません。一応、兄貴は長男ですからあれになっているけれども、兄貴は東京に住んでいますから。小ちゃな部落ですけれども、人が住まなくなっている。建物だけはぶっ壊していないから残っていますけれどもね」

高橋「それは、何が原因だとお思いですか」

亀井「それは、政治が悪いからさあ。(私の田舎は)山紫水明の良いところですよ」

高橋「農業自由化とか、そういったものは……」

亀井「とにかく、そういう意味では、やはり今の日本というのは、ちゃんとしたところに、ちゃんと住めなくなっちゃってるんですよ。この東京も良いかもしれないですけれども、そういう、一極集中してしちゃって。そこの人が、全部幸せならまだ良いよ。私の田舎をみんなのところの別荘がわりにして、日ごろ東京に住んでいて生まれ故郷を別荘にして、それも良いかもしれないですけれども、故郷を離れて東京に出てきてあなたたちは良いかもしれないですけれども、ビルの谷間で下を向いて生きている若い人は多いんですよ。といって、いまさら地元に帰ったって仕事がないから帰れないでしょう。

俺は、これでも大臣をやって、俺なりに、20年間でさあ、超優良企業のオーナーにもなってしまったのですから、大したもんだろう(笑)。威張るわけではなく、私がやったわけではないけれどもね。そういう面で、私は、極めて幸せになっているのですよ。なっているのですけれどもねえ、私の生まれたところというのは……先が見えない。子供は、今、私の部落では一人、二人しかいない。おそらく私の田舎だけではなくて、全国の田舎はそうなったと思いますよ。こんないびつな格差がグーッと生まれてしもうてるでしょう。

『1億円以上の給料を公表されては困る』みたいなあほ御託を並べている経営者もいるけれども、1億円以上(給料を)取っているのを晒されてしまったら風が悪いのならねえ、ちゃんと仕事をしろというのですよ。一方では、そういうのもいれば、そうではない……、階段を全部ぶっ壊されちゃって。みんな、あなたみたいにフリーで仕事をして、生きたい人間ばかりではありません。階段を一段ずつ、班長、係長と、地道に生きていたいというそういう人は圧倒的に多いのですよ。ベンチャーをやって社長になりたいという志を持っている人間だけじゃない。着実に生きて、それなりに小さな幸せでも、自分の一生で掴みたいという人が圧倒的に多いわけですよ。

それを『小泉改革』と称してバサッとやってしまう。今、非正規社員が3分の1ですよ。高校、大学を出たって、階段に上れないんだよ。上に上れない。最初からアルバイト、非正規社員でしょう。日本は、昔はこんな社会ではなかったよ。私なんかが大学、高校を出るころというのは、やはり就職するといったら、小っちゃな会社だろうが、大きな会社であろうと、階段が保障される形で出発したのですよ。私みたいに、自分から途中で脱走するのは勝手ですよ。二度脱走したけれども、俺はね(笑)。(脱走するのは)自由ですけれども、しかし、今、そういう社会が壊されてしまっているのですよ。これは、政治が壊してしまった。それを変えるのが鳩山政治のだと思います。

私は、鳩山総理に共鳴しているのはそこなのです。金持ちに生まれたことはねえ、彼の責任ではないんだよ。そうでしょ? 金持ちに生まれた人間がねえ、『私は生まれながら帝王で、あとは虫けらだ』みたいに思っている金持ちもいる。だけど、彼みたいに、やっぱし貧しい人とかいろいろな方、人間をちゃんとしたいというのが良いと思うんだよなあ。鳩山(総理)はそうだから、俺は手を握っているのですよ。いつも彼は、『弱肉強食のあれは駄目だ』と言っているでしょう。だから、そういう意味では、もうこの歳でいつまでも政治家をやりたくないのですけれども、しょうがないんだよ」

司会「もうご質問なければ」

一同「ありがとうございました」

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