辺野古の過剰警備を続ける海上保安庁、市民に対する強制排除は「弾圧」でも「違法行為」でもないと強弁 2014.8.29

記事公開日:2014.9.1取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

 辺野古沖で新基地建設に向けたボーリング調査が続くなか、建設に反対する市民らは連日、海上での抗議行動を展開しているが、海上保安庁による法的根拠のわからない強制排除、拘束などが相次いでいる。社民党の福島瑞穂参議院議員は8月29日、議員会館に防衛省、海上保安庁の職員を招き、緊急行政交渉「辺野古に基地はいらない!海保の過剰警備は問題だ!」を開いた。

■ハイライト

  • 出席省庁 防衛省、海上保安庁

海保の過剰警備で現場では怪我人も

 海保の過剰警備を指摘する声は後を絶たない。22日には、ある男性がカヌー上で抗議行動中、海保に取り押さえられ、全治10日の頚椎捻挫を負った。これまでに延べ19人が身柄を一時拘束されたといわれている。それも主に、工事にともなう立ち入り禁止区域外でのことだ。

 行政交渉にきた海上保安庁の警備救難部の花村幸宏氏は、「任務である海上の安全と治安の確保という観点から、所要の対策を取っている。大規模工事が始まるということで、工事の海域に誤って入ることが非常に危険。そのようなことがないように対応している」と説明する。

 しかし、その安全確保の方法が適切かどうか、福島議員が追求した。

辺野古の警備体制ついて海保「個々の事例については答えていない」

 海保は辺野古の海上警備に、どれほどの費用と人員を割いているのか、福島議員が質問した。海保の花村氏は、「個々の事例については答えていない」「警備上の秘匿事項がある」「日にちや季節によっても人員数は変わっているので、具体的な数値は挙げられない」などと言葉を濁す。福島議員が何度となく問いかけても、海保の回答は変わらない。

 会場の市民からは、「広島の土砂災害には『自衛隊が何人出動した』と発表しているじゃないか」「なぜ『辺野古の安全』の話になると言えないんだ」などと批判の声が上がった。

日米地位協定とはいえ、法的根拠は本当にあるのか?

 「通常であれば入っていい海域に『入るな』と言われているとの声を聞いている。拘束が相次ぎ、後ろ手を縛っての乱暴、その挙句に怪我をしたという市民もいると聞く。現場での警備状況への不満の声が寄せられている。報道の船も妨害されているというがどうか。法的根拠はあるのか」

 福島議員の質問に対し、防衛省の経理装備局の櫻井淳氏は、「キャンプ・シュワブ沖の水域は、民間船舶の安全、および工事の安全確保も踏まえて、『日米地位協定の2条4項※』にもとづき、米軍の安全な活動と施設区域の適切な管理を図るために、適切な管理をしている」と回答する。

 日米地位協定2条4項(共同使用)――合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。ただし、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとつて有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る。

 福島議員の「それでも法的根拠は本当にあるのか、という論争はある。防衛省が勝手に決めているわけだが、法的根拠はあるのか」との追及に、櫻井氏は「『勝手に』という表現が適切かはわからないが、我々としては必要な水域を定め、日米地位協定にもとづいて、この水域が必要だとしている」と回答した。

「あくまでも海域の安全と法令の励行」と釈明する海保

 では、防衛省の決めた地位協定にもとづく水域の「外」における海保の過剰警備は、法的に問題ではないのか。この福島議員の問いに海保の花村氏は、「制限水域でいろんな工事をしているが、特にコアの部分にはフロートがある。そこは危険なので近づかないうちに『指導』させてもらっている」と説明。「『これ以上進んだら危ない』という場合、ある程度の強い措置を取らせていただいている場合がある」と話す。

 ここでいう強い措置とは、「ゴムボートで主に対応しているが、動力船やカヌーの進路が工事海域に向けば、立ちふさがる。それが接触に至ることもある」と説明し、あくまで受け身の姿勢であると花村氏は強調。しかし、法的根拠はあるのか。

 花村氏は、「あくまでも海域の安全と法令の励行。水域外という話だが、工事海域が真に危ない海域で、ここに乗り込もうとする方、勢いがあってこのままだと水域に入る可能性がある方は、安全に制止できるところで止まっていただく、あるいは侵入しない進路をとってもらうことにしている」と弁明した。

制限水域内でシュノーケリングする米兵との差

 休暇中に制限水域内でシュノーケリングする米兵の姿も目撃されている。市民らは近づくだけで排除されるにも関わらず、である。危険だというならば、米兵も排除しなければならないのではないか、そうでなければ、ただの差別ではないのか――。

 そう声を荒らげる市民らに対し、海保の花村氏は、「米軍は、一応訓練ということでやっている。しかし、危険性の面から懸念もしているので、申し入れを行っている」と回答するにとどまった。

「報道ではけが人が出たといわれているが、私どもにそういう連絡はあがっていない」

 福島議員は、「これまで、のべ何人を指導してきたのか。なぜ、拘束できるのか。警職法でもない。何の根拠があるのか。身柄を拘束するということは、すごいことだ。憲法にも拘束できない旨の規定があるのに、なぜ海保にはそれができるのか」と述べ、追及の手を緩めない。

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「辺野古の過剰警備を続ける海上保安庁、市民に対する強制排除は「弾圧」でも「違法行為」でもないと強弁」への1件のフィードバック

  1. 宜野湾市民 より:

    海上保安庁はもう以前の「海上保安庁」ではなくなって、今は「自衛隊(軍)の憲兵隊であり特高警察に成り下がっている。

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