岡田外務大臣会見 2010.4.20

記事公開日:2010.4.20取材地: テキスト動画
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  • 外務大臣会見記録(平成22年4月20日(火曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

冒頭発言
(1)国連安全保障理事会公開討論について
【岡田大臣】私(大臣)からは、出張報告を改めて申し上げるまでもないかとは思いますが、16日、国連安 保理において「紛争の平和構築」に関する公開討論を開催いたしました。安保理メンバーであるボスニア・ヘルツェゴビナの外務大臣ほか、アフガニスタン、東 ティモール、シエラレオネといった関係国の閣僚にもご参加いただき、興味深い議論を行うことができたと思います。これを1つのきっかけに、平和構築に関す る国連の中での議論に弾みがつくことを期待したいと思います。
 それから、今日の国会でもご指摘をいただきましたが、こういう国際会議の場に政治レベルが直接参加することも、日本の存在感を示すという意味では、非常によかったのではないかと思っております。

国連安全保障理事会公開討論
【フリーランス 岩上氏】外遊の記者団には詳しい内容を既にご説明されていると思いますけれども、中継も ありますので、一般国民に向かって、今回外遊をして、向こうで行われた討論の内容等を大臣の口から少し詳しく説明していただけるとありがたいと思っていま す。よろしくお願いします。

【大臣】基本的には、既に時間も経っておりますので、余り長々と言うつもりはございませんが、紛争に陥った国が、その後、一旦平和が訪れながら、再度紛争 状態に戻るということがかなり多いという現実の中で、そうならないためにどうすべきかというのが平和構築の話であります。PKOなどで平和維持活動を行 い、そして選挙などがあって、そこで物事が終わるのではなくて、やはりその後、開発といいますか、特に若者を中心に働く場というのができる、そして、社会 全体が例えば法の支配とか、治安維持機能とかいったものがきちんとできることによって、紛争の再発を防ぐということを切れ目なく、1つのパッケージとして 考えていくべきだということであります。
 東ティモールやシエラレオネ、あるいはボスニア・ヘルツェゴビナといった国々からは、それぞれの体験に基づいてお話が伺えました。この平和構築の問題と いうのは、日本にとっても、今までさまざまな議論もリードしてまいりましたし、これからしっかりと更に取り組んでいかなければいけない、或いは日本が期待 されている分野であると思います。日本には、カンボジアという1つの成功体験もあるわけですので、単に平和を維持するだけではなくて、平和をつくり出すと いう意味での平和構築について、更に議論を重ねるとともに、日本が率先してリードしていくことを是非目指したいと考えております。
 これはPKOの話だけではありません。PKOというのはスタートであって、全体の話でありますので、若干報道の中で誤解している部分があったかと思いますが、PKOだけではありません。

米軍再編問題
【週間金曜日 伊田記者】普天間問題についてお聞きします。先日、鈴木宗男衆議院外務委員長、亀井静香国 民新党代表にお話を伺ったのですけれども、お二方とも5月末決着ということにかなり自信を持たれているようでした。鈴木外務委員長は鳩山首相並びに岡田外 相とも連絡を取り合っているとおっしゃられていたのですけれども、岡田大臣自身としては、この5月末決着ということに対して、どういうような思いでいらっ しゃるかということをお聞かせください。

【大臣】政府として5月末までに決着をするという方針で現在、努力を行っているところであります。

【共通通信 西野記者】北澤防衛大臣が参院の外交防衛委員会で、政府としての考え方は一緒だと言いつつも、交渉当事者の一人として、なかなか相手もあるこ とであり難しい、5月いっぱいというのは難しいのではないかという認識を示されていました。この件についてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)は北澤大臣の発言を聞いて、そういうふうに認識しておりません。そして、総理のご認識の下で我々は今、行動しているわけで、その内閣の中に違いはございません。

【フリーランス 小山氏】何も進んでいないではないかとオバマ大統領が鳩山首相に言ったと読売新聞は伝えております。徳之島の住民があれだけ強く反対をし ている以上、別の候補地を大至急探さなければならないのではないでしょうか。既にもう別の候補地は決まっているのでしょうか。

【大臣】まだ政府の案が何かということも明らかにしておりませんので、具体的なことについてはお答えできません。ただ、読売新聞で報道されましたが、我々はそういうふうに認識をしておりません。

【朝日新聞 鶴岡記者】今のに関連して、大統領の発言につきまして、大臣は午前中の国会答弁で、私(大臣)の確認した限りはございませんと否定をされまし たけれども、大臣は外務省の中でどういう確認をされたのかということと、そうでないならば大統領はどういう発言をしたのかをご紹介願います。

【大臣】まず大統領の発言については言わないということは、総理ご自身が述べられているところであります。それが通常の外交上のルールかと思います。私 (大臣)が確認したのは、具体的にあまり中身を言うべきではないと思いますけれども、大統領の発言を直接フォローした人間から確認を行ったところでありま す。

【時事通信 水島記者】本日、官邸の滝野官房副長官が徳之島の3町長に普天間移設に関して連絡を取られて、官房長官と会ってほしいという要請をされたそう です。一つの節目かと思うのですけれども、こういう節目を迎えて米国との交渉ですけれども、大臣としては今までのようなやり方で進んでいくということにな るのか、それとも少し交渉のやり方が変わってくるのか、先行きの見通しについてお聞かせください。

【大臣】まず、副官房長官がどういったことを今日行われたのかということは、私(大臣)は承知をしておりません。それから、我々の共通の認識に基づいて、一定の幅を持って地元と米国と同時並行的に話を進めていくという基本方針は変わりません。

【琉球新報 仲井間記者】在沖米海兵隊の定数について、1万8,000人ということで、川内博史議員が根拠に疑問があるということで、先週、武正副大臣に 要請というか申し入れをされていたと思います。その席で武正副大臣は確認しますとお答えになったということなのですが、その後、外務省として、どのように 対応されていますでしょうか。

【大臣】まだ武正副大臣から、その結果について報告を受けておりません。

【西日本新聞 齋田記者】ちょっと順番が前後するかもしれませんが、先週、徳之島で1万5,000人の住民の方が集まって、移設案と言われるものについて反対の集会がありました。それについてのご所見をお願いいたします。

【大臣】これは国会でも申し上げましたが、やはりそれだけの人数の方が集まられたということは、重く受け止めなければならないと思っております。ただ、徳 之島そのものについて、我々が具体的に政府として、徳之島に移設をするとか、そういったことを決めたわけではありませんので、それ以上のことは非常にコメ ントしにくいと思います。

【日経新聞 山内記者】先ほど大臣は委員会で地元の理解について、「地元の理解がもらえないということで済むことではない。何が何でも理解を求めないとい けない」と発言されたと記憶しています。これについては、地元の理解を得るためには5月末を過ぎても、その努力は続けるべきだと考えられていますか。

【大臣】それは5月末までにまとまらないという前提の議論ですから、そういう仮定にはお答えできません。

【沖縄タイムズ 銘苅記者】本紙の報道で先週末に世論調査を県内でやったのですけれども、「県外・国外」を求める意見が年代や支持政党を問わず9割を占め るという結果になりました。半年前に調査したときには6割にとどまっていたのですけれども、県民大会も開かれるということで、県内世論がかなり県内は反対 だというのが高まっているのですが、今後5月末に向けて、政府としてどういうことがポイントになって交渉というか、議論していくべきかとお考えになるかを お聞かせください。

【大臣】ちょっと質問の趣旨がよくわからないのですけれども、沖縄県内で「県外・国外」という考えられる方が増えたということと、後の質問の部分がよく結び付かないのですが。

【沖縄タイムズ 銘苅記者】数字の受け止めをまずお聞きしたいのと、今後どういうことがポイントになっていくか。それを踏まえて、移設先をどう決めていくかという考えをお聞かせください。

【大臣】数字は一つの調査として結果が出ているわけですから、そのことは真摯に受け止めなければいけないと思います。今後のことはいつも申し上げているとおりであります。政府として5月末までに結論を得るために最大限の努力をしていきたいと考えております。

【フリーランス 岩上氏】先日、質問させていただいた件に関連いたします。後ろの琉球新報の方からも出ました、沖縄の海兵隊の総数、1万8,000人と ずっと言われてきた件、これがどうも精査すると違うのではないかという疑問が、川内議員から提示されております。それについて、先ほどこの質問をしようと 思ったのですが、武正副大臣の報告を、まだ受けていないということで、受けていないのは了解しましたが、今の時点で大臣はこの問題について、1万 8,000人の定員に疑問がある、実質はもっと少ないのではないかというこの問題についてどのようなお考えでいるのかお聞かせいただきたいと思います。

【大臣】まず、事実関係をきちんと把握することが先だと思います。

【フリーランス 岩上氏】先日、川内議員にお会いして、詳しくお話しを伺わせていただきました。資料等も見せていただきながら、お話を伺ったのですけれど も、その際、岩国にあるヘリの部隊について外務省を通じて照会したことがあると、要するにすべての日本における部隊が、どこに何という部隊がどれだけ存在 するかというものを一つひとつ丁寧に調査して確認されているわけですけれども、そのうちの1つとして、岩国のヘリ部隊がどのくらい存在するのか、これを外 務省を通じて、藤崎大使を通じて照会をし、その答えが返ってきた。ところが、この答えが大臣を含めた政務三役のご判断で、日米関係に何らかの支障が出る可 能性があるとのことで開示しないとなった。どういうことで、岩国のヘリ部隊の実態というものが川内議員に開示できないということになったのか、その辺りを お聞かせ願いたいと思います。

【大臣】ご質問の前提になっている事実そのものが、私(大臣)には理解できません。そのように川内議員が言っているとしても、私(大臣)にはそういう記憶は全くございません。

【フリーランス 岩上氏】そのやりとりがということですか。

【大臣】政務三役が開示をしないことにしたということは、私(大臣)は全く承知しておりません。

【フリーランス 小山氏】オバマ大統領は、きちんと最後まで実現できるのかと言ったというように、読売新聞には報じられておりますけれども、これもそのようには認識されていないわけですか。

【大臣】個々の中身について申し上げるべきではないと思います。ただ、読売新聞は英文を付けて報道しました。そういう英語は使われていなかったと私(大臣)は理解をしております。

【NHK 梶原記者】先ほど大臣はまだ政府案は決まっていないという話だったのですけれども、近く政府案を決定するというような段取りになるのでしょうか、段取りでおっしゃられる範囲でご紹介願いたいのですが。

【大臣】それは決まったときには決まったということですので、あまり事前に言わない方がいいと思います。

【毎日新聞 吉永記者】先ほど滝野官房副長官の話ですけれども、官房長官に会ってくれと要請して、現地の徳之島の3町長が断わったと記者会見をしているの ですけれども、まず1点、そのことについてどのように受けとめていらっしゃるか。2つ目は、なぜこのタイミングでこういうことがあったのか。3つ目が、今 後の交渉にどのような影響を与えるかということについてお考えを聞かせていただければと思います。

【大臣】その事実について政府側から何か具体的なことを言われているのであればともかく、私(大臣)はそのことは把握しておりませんので、仮定の質問には、現時点ではお答えしかねます。

【フリーランス 上出氏】私の周りにいる人間、それから外国人から、どうしてあんなに5月末にこだわって振り回されているのだと、なぜ5月末なのだという ことが出ております。改めての質問になりますが、大臣の認識でもし国民にメッセージを分かり易くポイントを、5月末にならなければならないのはどうしてで しょうか。もう一度聞かせてください。

【大臣】私(大臣)の理解では、12月の段階で半年後ということで、5月末という数字が出てきたと思います。同時に、米国の予算ということを考えると、その辺が限界であるという理解もあったと思います。

【共同通信 西野記者】政府案はまだ明らかになっていないということなのですけれども、一方で、5月末に決着させるということになれば、やはり時間が非常 に限られてきているということ。それから、やはり物事は内容の整合性が取れているということもありますけれども、物事を出すタイミングというのは非常に重 要だと思います。まず、名護市長選があり、それから徳之島では反対集会があり、沖縄では25日には反対集会があると、タイミングを逸しているのではない か、或いはタイミングの設定の仕方が非常にまずいのではないかという見え方をしてしまう気がします。国民が何で振り回されているように見えるのかとか、そ こら辺にあると思うのですけれども、大臣のお考えはどうですか。

【大臣】総合的に判断して、そしてしっかりとしたものを政府の案としてまとめようと、このように考えた結果、こうなっているということであります。

【マガジンX 島田記者】今更の質問で申し訳ないのですけれども、地元の理解ということの定義はどういうことでしょうか。例えば自治体の長が了承したらいいのか、住民の何割が承知したらいいのかとかということをお伺いできればと思います。

【大臣】地元の理解は地元の理解、そのことを具体的に定義することは非常に難しいと思います。地元のご理解をいただけるかどうかということがポイントです。

【マガジンX 島田記者】数値的な何か目標があるというわけではないということですか。

【大臣】理解というのは何%が理解かというのは、なかなか一般論としては言えないと思います。

【NHK 別府記者】5月末は置いておいて、米国とのディールなのですが、どういうものを目指されているのかというイメージが少し分からなくなっているの ですが、合意文書なのか、大臣がコミュニケを出すのか、何をもって米国とディールができたということを目指されているのでしょうか。

【大臣】交渉の中身は申し上げないことになっておりますので、どういう聞かれ方をしても私(大臣)はお答えしませんので。

【NHK 梶原記者】政府案の決定についてですけれども、時期はさておき、どういう形態を取るのでしょうか。基本政策閣僚委員会など経て決定ということになるのか、その辺りはどうでしょうか。

【大臣】いつか私(大臣)が申し上げたと思いますが、正式な政府案というのは、閣議決定をもって政府案になるということであります。

【フリーランス 岩上氏】普天間の問題は、あくまで単独のこの問題だけで米国と交渉し解決するようになるのか、それとも他の案件と絡めて取引のようなこと が行われる可能性はあるのでしょうか。一説では牛肉の輸入の問題に絡めて、他方で、米国の牛肉の輸入の緩和の措置が行われ、その取引として普天間の問題と して、何らかのアメリカ側の譲歩を得ることができるというような、やや分野の違うものも含めた対米関係の交渉問題が絡められるという可能性があるというこ とを聞いたことがあります。略して、ふざけてなのかよくわかりませんが「ビーフテンマ」と言われているのですけれども、こういった可能性というのは実際問 題としてあり得るのでしょうか。

【大臣】今言われたことは、質問者は、そういうことがあり得るという前提で質問しておられるわけですか。

【フリーランス 岩上氏】あり得るのかどうかわからないので、そういうものが現実として本当にあり得るのでしょうかというご質問です。

【大臣】ある程度の蓋然性があって、確信を持ってから質問された方がいいと思います。無限の可能性のあることについていちいちコメントすることはできません。ただ、お答えするとしたら、それはありません。

【NHK 梶原記者】本日、北澤防衛大臣なのですけれども、閣議後の会見で、「仮に徳之島でお願いすることになれば、今の状況ではなかなか厳しいものがあ る」と述べまして、地元側の理解を得るのは厳しいという認識を示したのですけれども、これについて大臣は同様の認識をお持ちでしょうか。

【大臣】何度も言いますけれども、あれだけ多くの方が集会に集まったということは重く受けとめなければならないと思います。ただ、政府の案が提示されたわ けではありませんので、どういった形でということがわからない中で、不安が非常に強まっているという面もあるのかなと思っております。

【フリーランス 岩上氏】2か月くらい前ですけれども、社民党の阿部知子議員にお話を伺いました。この問題を社民党において担当していらっしゃいます。長 崎案を主張されておりまして、その立場で長崎案というのは非常に意味があるというご主張ではあったのですけれども、仮に長崎で反対運動が起きたら、そうし たら長崎で反対ということで、徳之島も含めていろいろなところで反対運動が起きていく可能性があるでしょう。沖縄も本島もどこも、そうすると、転々と候補 地が挙がり、そして反対運動によってつぶされていくという経緯をたどった挙げ句、結局、国内では沖縄県内であろうが、沖縄県以外の他のところであろうが、 国内では無理なのだという結論に達することになるであろうと。ですから、そのときには、必然的にグアムなり何なり、つまりは国外という案が再浮上してくる ことになるであろうという見通しを語られていました。今、非常に、国民が迷走しているとか、いろいろな言い方で言っているこのプロセスというのは、日本中 のどこも米国の海兵隊を受け入れる意思はないと、どこの自治体も、どこの地元も受け入れたくないということを明示して、それを明らかにして、やはりグアム ですね、やはり国外ですね、ということを明らかにするというプロセスなのでしょうか。最終的にはそこに行き着くということなのでしょうか。

【大臣】そういうことは全く考えておりません。在日米軍が日本自身の安全、それから、この地域の平和と安定、そういったことに果たしている役割、そのことを考えれば、日本の外にということは、私(大臣)は考えられないことだと思っております。
 これは、国民の皆さんにも是非ご理解いただきたいと思いますが、確かに米軍基地が来るということはいろいろな負担が伴うことであります。しかし、同時に 日本の現在の平和や安全というものは何によって確保されているかということも是非お考えいただきたいと思います。その根本の議論を忘れてしまっては、やは り議論は迷走してしまうと思います。

【共同通信 西野記者】民主党の鹿児島県連の川内博史代議士は、反対であるという申入れをされていますし、新聞のインタビューにも答えられています。その 中で手順の問題を言っておられるのですけれども、やはり、ああいうふうに自分のところに来るということになったら反対するということが続いてくると、今の 岩上さんの質問のようなことがあり得るということです。民主党は与党であり、ほとんどの選挙区で議員さんがいるわけです。どこに行こうと国内であれば、民 主党の国会議員の先生は説明責任を問われることになります。そういった意味で言うと、今の覚悟というのは民主党の人たち一人ひとりが持たなければいけない ということと理解してよろしいのですか。

【大臣】そのとおりだと思います。

【NHK 梶原記者】本日の参議院の外交防衛委員会で大臣が地元の理解を得るというのを何が何でもやるのだという発言がありましたけれども、これについて 改めて説明していただきたいと思います。つまり、最初に反対ということであれば、それでその候補地はあきらめるというのではなくて、粘り強く説得していく のだということなのか、その辺りを説明していただけますでしょうか。

【大臣】それは今の日米合意案も同じです。必ずしも地元が賛成したわけではありません。もろ手を挙げて受け入れたわけではありません。さまざまな経緯を経て、そして一旦は合意に至ったということであります。

【フリーランス 岩上氏】先ほどの私の質問にお答えいただいた大臣の見解に関連して、お聞きしたいと思います。先ほど大臣は明確に、日本の外にというのは 考えられないとおっしゃいました。ということは日本の国内、沖縄県、本土を含み、日本の国内どこかに移転先がつくられるということは、政府の腹案としてあ るということなのでしょうか。確認です。

【大臣】腹案という意味がよくわかりませんが、政府としてはしっかりと普天間基地の移設先を決定するということを申し上げているわけです。

【フリーランス 岩上氏】国内でですか。

【大臣】国内です。

日米安全保障政策
【フリーランス 岩上氏】村田良平元駐米大使、元次官がお亡くなりになりまして、遺書だと本人が位置づけ た本が出来上がったようです。まだ一般には売られていないようですけれども、村田氏が生前にご自身でこの人に献本したいというところにまず配布されてい て、それを読んだ方からその内容を聞かせて頂いたのですが、非常に踏み込んだ内容になっているそうで、今まで言えなかったことを主張されているということ です。その中に、米軍に対する思いやり予算というのが、駐留経費の80%を占めるような状態というのはいくらなんでもひどすぎると、ドイツだと20%だ と、この数値は若干間違いがあるかもしれませんが、いずれにしても、ドイツに比べると日本は、はるかに高い駐留経費を負担しており、米軍に対して思いやり 予算を支払っているということです。こういう状態を、同じ同盟国と言いながら、日本はあまりにも過重な負担であって、これを軽減していく、いわば不平等条 約を改正した明治の人達の苦労と同じような苦労をこれから重ねなければいけないのではないか、つまり、米国のいいなりになっている状態から、独立性を高め て自主的にやっていく外交というものが確立されなければいけないのではないか、というようなことを書かれているそうです。日本が自主防衛の比重を高めてい くことも全部含めて、それこそ対極の話ではあるのですけれども、先程の普天間の話で「国内にはなくてはならない」と仰っていましたが、そうではなくて、例 え
ば米軍が退去しても、その空隙を自分達の防衛努力で埋めるということも含めて、日本は自主的な路線を採っていくということは考えられないのかと思います。こういったことについて、大所高所の話ですが、改めてお聞きしたいと思います。

【大臣】まず今のお話の中で、思いやり予算と日本が負担する駐留軍経費というものを混同してお話になられていたので、これはきちんと分けてお話になった方 がいいと思います。そして、全体としての日本の負担が他の国と比べて多いというのは一般論としてそいういうことが言えると思います。しかし、もしそれを今 のご指摘のように、日本自身の努力でやっていく、自主防衛ということですが、ということになれば、当然、今の日本を取りまく国際環境を見たときに、かなり の軍事費が必要になります。例えば、GDPで現在1%を切る状態から、国際的に見れば2% 、3%、或いはそれ以上が必要になってくる。それだけのものを 負担する覚悟が国民にあるのかどうか、或いは、そういうことになると、今、盾と矛ということで機能を分けていますけれども、自衛隊がそういう攻撃的能力も 持つということは、日本人の中でどれだけ賛同が得られるかというと、私(大臣)はそういうことに賛同が得られるとは思いません。したがって、現在のよう に、在日米軍に一定の役割をお願いする、お互い役割分担をするということしか答えはないのだろうと、私(大臣)は思っております。

【フリーランス 岩上氏】「在日米軍に頼るしかないだろう」というのが結論であるということですが、それは、現時点、或いは近未来においての話なのか、そ れとも中長期を見渡しても、日本は米軍に依存していかなければいけないとお考えなのかということと、それからその根本的なお考えというのは、鳩山首相が首 相になられてから、一旦引っ込める、或いは先々のこととして延ばすというように仰いましたけれども、元々の持論としては、「米軍の駐留なき安保」という論 を掲げておられまして、米軍には基本的にはそのプレゼンスをどんどん下げていってもらって、日本自身が自主的にやっていく、そして、友好的な安保条約だけ が残っていくというようなことだったと思うのですが、そのお考えとかなり違うというか、真っ向から対立するようなお考えではないかなと思いました。この2 点をお尋ね申し上げたいと思います。

【大臣】「依存」という言葉は、「一方的依存」というニュアンスがありますが、「相互依存」ということで、日本にある基地に米軍がいることによって、この 地域全体、或いは米国にとってもメリットがあり、お互いが依存しながら、現在の形が出来ているというように考えるべきだと思っております。「駐留なき安 保」については、鳩山総理の従来の考え方というのは、私(大臣)も承知しておりますが、今から10年ほど前に、今の民主党になったときに、私(大臣)が責 任者になって、当時の鳩山さん、菅さん、横路さんに入ってもらって、民主党の安全保障政策というものを作りました。ご覧いただいている方も多いと思います が、そういう議論の中で、「駐留なき安保」という考え方は、完全にその時点で消えております。

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