舗装後の透水性に疑問・工事中止署名4万筆超でも、まもなく着工へ ~「平城宮跡を守る会」による国交省への申し入れ 2014.5.16

記事公開日:2014.5.16取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 奈良・平城宮跡における公園整備事業をめぐって、草原を埋め立てて舗装することに反対する市民の声があがっている。そんななか、国土交通省は2014年5月9日、第一次朝堂院跡の「土系舗装工事」を5月中旬に開始することを正式に発表した。

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 この発表を受け、5月16日18時半、市民グループ「平城宮跡を守る会」のメンバー3名と市民を合わせた計12名が、国土交通省近畿地方整備局・国営飛鳥歴史公園事務所平城分室を訪れ、工事中止を求める新たな署名5920筆を国交省側に手渡した。市民グループによる署名提出は今回が3回目で、これまでの署名総数は4万1546筆にのぼっている。  今回の工事では、土にセメントを4%混ぜて舗装する。

 すでに舗装工事の前段階として、2012年9月に第一次朝堂院跡の草原を大量の土砂で埋め立てる工事が着工され、完了している。当初より、市民グループから、舗装工事による透水性の低下で地下水位が下がれば、地下遺構として眠っている木簡の劣化が進むことへの懸念が寄せられていたことから、国交省は「透水性試験」を実施。今回、その結果に問題がなかったとして、当初予定よりも大幅に遅れている舗装工事に踏み切ることとした。

 この日の中止要請でも、市民グループ側からは透水性に関する強い疑念の声が上がった。これに対し、平城分室の山田和之副所長は、「地下水を定期的に観測し、地下遺構に影響がないように万全を期している」とし、予定通り工事に着手する方針を述べた。国交省は5月19日朝から、第一次朝堂院跡にフェンスを張りめぐらせる工事を行う方針。  市民グループの寮美千子代表は、再三の中止要請にも関わらず、予定通り工事を進める方針を国交省が明らかにしたことについて、「深くがっかりし、無力感にさいなまれている」と述べた上で、国交省が実施した透水性試験について、「信頼性がなく、地下の遺跡が守られる保証はない」と厳しく批判した。

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