熊田眞幸氏は「名勝奈良公園、特別天然記念物、世界遺産コアゾーン、奈良県風致地区にもあたる特殊な文化財で、保護されなければいけない環境」と語り、奈良女子大学名誉教授 上野邦一氏は「荒井奈良県知事の『世界遺産委員会への報告は必要ない。国内法で対処できる』との発言がひっかかる」と、行政の対応を危惧した。
2013年11月4日、奈良県文化会館で「若草山モノレール敷設計画は中止を!緊急シンポジウム」が行われた。パネラーの熊田眞幸氏(元和歌山大学教授)、上野邦一氏(奈良女子大学名誉教授)、檜垣氏(革新懇事務局長)、奈良県議会議員の山村さちほ氏らが、世界遺産であり、特別天然記念物でもある春日山原始林などの環境破壊につながるモノレール敷設に警鐘を鳴らし、計画中止を訴えた。
- パネラー 熊田眞幸氏(元和歌山大学教授)、上野邦一氏(奈良女子大学名誉教授)、山村さちほ氏(共産党奈良県議会議員団長)、檜垣氏(革新懇事務局長)他
不透明なモノレール計画と奈良県の対応
宮本次郎県会議員がコーディネーターを務め、シンポジウムが始まった。まず、山村さちほ県会議員が「奈良県は、奈良公園整備計画、平城宮跡地国営公園化、県営プール跡地のホテル誘致、そして、今回の若草山モノレール計画を打ち出している」と概要を述べて、業者への基本計画図や若草山の景観写真を映しながら、モノレール敷設計画を説明した。「荒井正吾奈良県知事は、バリアフリーにより老若男女にかかわらず、眺望を楽しんでもらい、4倍の集客を予想すると、計画推進の立場を議会で表明した」。
続けて、「しかし、県は環境調査を秘密裏に進め、中味を公表しない。さらに、計画を提案した業者が環境調査も行っている」と不透明な部分を指摘した。
世界遺産のガイドラインを軽視する奈良県の荒井知事