「農業からみた原発事故」~新潟県の汚染状況 2012.4.21

記事公開日:2012.4.21取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2012年4月21日(土)15時、新潟市中央区の勤労福祉会館において、新潟県原水爆禁止協議会主催による講演会「農業からみた原発事故~新潟県の汚染状況」が開かれた。講師は、新潟水俣病やイタイイタイ病に関連する土壌汚染や農業への影響を研究してきた、新潟大学農学部の野中昌法教授が担当した。

■全編動画
※動画データ変換時のトラブルにより、冒頭1:38頃まで音声がありません。

  • 日時 2012年4月21日(土)15時
  • 場所 勤労福祉会館(新潟県新潟市)

 野中教授は、まず、福島原発事故後の対応に関する国や行政の取り組みについて言及した。過去の公害病において、いわゆる御用学者が有害物質と健康被害との関連性を否定し、事態を放置したことが被害を拡大させたとし、福島原発事故後の対応についても、「過去の公害病の教訓が生かされていない」と批判した。また、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告の欠点として、「内部被曝を適正に考慮せず、低線量被曝を過少評価している点」を挙げ、「修正すべきだ」と指摘した。その上で、「ECRR(欧州放射線リスク委員会)の考え方を採り入れた新しい放射線防御の考え方を日本から発信すべき」と述べた。

 農業を営む上で最も大切な要素である土壌の汚染度合いについては、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の測定データを元に解説した。これによると、原発事故発生直後に新潟県にも放射性物質が降り注ぎ、土壌や森林に沈着したことにより、例えば南魚沼市(新潟県)では土壌中のセシウムの量が300~400bq/㎡となり、白河市(福島県)や北茨城市(茨城県)と同じ程度の汚染レベルであったと説明した。

 放射性物質により土壌が汚染されてしまった状況下で農業を営む際の心得として、「封じ込めて拡散させない」「内部被曝や外部被曝を抑える」「薄めて固定させる」「作物の栄養状態を良くして吸収抑制させることである」といった放射性物質低減策を列挙した。特に、「人間と同じく、農作物の栄養状態を良くして、免疫力を高めることが大切である」と述べた。

 また、農業のみならず、人々の生活についても、「きちんとしたものを食べ、きちんとした生活を営むことにより、できるだけ放射性セシウムの影響を少なくすることが大切」と述べた。そして、「放射線も悪いが、これをきっかけに自分たちの食生活を考え直すことが大事である」と話した。

 野中教授は、「本来は、原発事故以前の状況が当たり前である」と指摘し、被害をもたらした東京電力の責任の明確化を図っていく必要性も指摘した。

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