【東京都知事選】築地市場移転について各候補者が公開質問状に回答 ~舛添氏・田母神氏「賛成」、宇都宮氏「反対」、細川氏「都知事就任後に検討」 2014.2.1

記事公開日:2014.2.1取材地: テキスト
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 東京都知事選の争点の一つである築地市場の豊洲への移転について、「守ろう!築地市場パレード実行委員会」が各候補者に公開質問状を送付した。公開質問状と各候補の回答を、以下に転載する。

 主要4候補では田母神氏は全面的に「賛成」。舛添氏が「すでに決定された事項」であり、「現時点では見直すべき新たな要因は発生していない」として、「賛成」の立場。一方宇都宮氏は「土壌汚染問題について解決していない」「移転先(豊洲)の物流効率性が悪い」「豊洲新市場の液状化対策が震度5弱しかない」などの理由から「反対」の立場を示している。

 細川氏は「就任後に皆様のご意見も参考にしながら、検討し、判断」と現時点で賛成か反対かは明確にしなかった。(IWJ・佐々木隼也)

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【以下、転載】
※出典:守ろう!築地のブログ

【公開質問状】
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                     2014年1月23日
     東京都知事選挙(2014年2月9日投票日)
     立候補者 各位殿
                 守ろう!築地市場パレード実行員会

 築地市場移転問題についての公開質問状

 私たち『守ろう!築地市場パレード実行委員会』は、現在東京都によって進められている築地市場の移転計画に反対し、この問題について幅広く周知することを目的に集まった実行委員会です。今回このほど行なわれる東京都知事選挙(2月9日投票日)にあたり、当該実行委員会として立候補者各位に築地市場の移転についての政策を明らかにして戴き、これを公表して有権者による投票の判断材料を提供致したく考えております。

 築地市場の移転を進める東京都は2013年12日24日、『第16回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議』を開催し、豊洲新市場建設予定地「7街区」について「対策工事が完了した」として、建設工事に着手する発表をしました。また入札不調となっていた豊洲新市場の本体工事についても、12月27日には当初予定価格を407億円(65%)も上乗せした1035億円で入札を再公告し(本年2月13日開札)、施工業者が決まり次第順次着工するとしています。

 これらの計画について私たちは多くの問題があると考えておりますが、その中でも特に、緊急性の高いものに『地下水モニタリング』の問題があります。

 ご存じのように築地市場の移転が予定されている豊洲用地は、かつて東京ガスが石炭を原材料に都市ガスを製造しており、大規模に土壌が汚染されているだけでなく、汚染は地下水にまで拡散されています。また豊洲用地は土壌汚染対策法に定める第二溶出量基準(高濃度汚染基準)に適合しない土地に該当し、『形質変更時要届出区域』に指定されております。

 ここで問題なのは豊洲用地のような土地の場合、土壌汚染対策法に基づく『区域の指定』を解除するには「2年間の地下水モニタリングを行い、環境基準以下の状態が継続して確認」されることが必要とされていることです。土壌汚染対策法では土壌汚染の調査は「代表地点」(環境省)でこれを行うとされ、汚染の見逃しは前提としてあります。見逃した汚染物質があった場合、確認には地下水に染み出てくるのを最低でも2年間みることを要し(土壌環境センターより聞き取り)、このモタリングを経なければ「汚染の除去などの措置」が「完了」したとは言えません。現に土壌汚染対策法では、対策工事完了と、措置の完了とは厳密に区別されています。

 同じように地下水にまで汚染が拡散していた田町の東京ガス工場跡地では(小学校の建設が予定されていたが汚染問題で中止となった)、地下水モニタリングを一度でクリア出来ず、再度の対策を行い、そこからあらためて2年間の地下水モニタリングを行っています。このようなケースは決して珍しいものではありません。

 にもかかわらず、東京都は2年間の地下水モニタリングによる「汚染除去等の措置」の完了を待たずに豊洲新市場の建設をするとしており、これこそ暴挙であって私たちは大変に危惧をしております。当たり前のことですが、建物を立ててしまえば、モニタリング期間中に基準を超える汚染が検出されても追跡してボーリング調査を行えず、「汚染除去の措置」もすることができなくなる可能性があるからです。

 私たちは、そもそもこのような場所に生鮮食料品を扱う卸売市場を建設すべきではないと考えておりますが、仮に百歩譲って移転する事をよしとしても、最低限2年間のモニタリングをへて『区域の指定』が解除され、安全性が確認されてから建設工事に着手すべきではないでしょうか。

 築地市場の移転問題については土壌汚染以外にも、約5,000億円にまで膨れ上がった予算、物流計画、施設使用料、移転費用、交通アクセスなど、問題が山積しており、非常に難しい決断を迫られる時期に来ております。と同時に、私たちは築地市場の移転問題を、都政の最重要課題だと考えております。
 たいへんお忙しいことと思いますが、是非とも以下の質問事項にご回答いただけますようお願い申し上げます。

質問事項

Q1 築地市場の移転について、ご自身のお考えをお教え下さい。

Q2 築地市場の移転計画についての政策をお教え下さい。

【地下水モニタリング完了以前に着工することについて】

Q3 現在東京都は、土壌汚染対策法に基づく『区域の指定』の解除(2年間の地下水モニタリングを行い、環境基準以下の状態が継続して確認されれば指定を解除)を待たずに、モニタリングを行いながら新市場建設工事を行うとしています。私たちは、これは大変に危険であり、最低限地下水モニタリングの後に『区域の指定』が解除されてから着工するべきだと考えますが、候補者のお考えをお教え下さい。また、予定通り着工するとお答えの方は、モニタリングで汚染が検出された場合どのようになさるのか、具体的にお教え下さい。

【移転関連予算の膨張について】

Q4 豊洲新市場への移転計画に関連する予算総額は、既に執行されたものも含めて約5、000億円にまで膨れ上がっております。この問題についてのお考え、政策をお教え下さい。

【豊洲新市場の物流効率性について】

Q5 豊洲新市場の施設計画は物流効率性に大きな問題が指摘されており、仮に移転となるにしても施設設計については見直すべきだと私たちは考えております。この問題についてのお考え、政策をお教え下さい。

【液状化対策について】

Q6 今回の選挙では、東京の防災という観点からの政策が重要と考えられますが、豊洲新市場の場合、地盤改良による液状化対策は設定地震動が144ガル(レベル1)で設計されており、これは概ね震度5弱にしか対応していません。私たちは大きな問題だと思いますが、これについてのお考え、政策をお教え下さい。

【情報公開・説明責任について】

Q7 築地市場の移転問題について国は、平成19年笠井亮衆院議員の質問主意書に対する答弁書を閣議決定(福田内閣総理大臣)しています。答弁書では「中央卸売市場の運営や移転について、市場関係者や消費者の理解を得ることは重要である」としたうえで、「食の安全性や信頼が確保されるよう科学的見地に基づき万全な対策を講じるとともに、消費者等に対して対策の内容等について十分な説明を行い、その理解を得るよう求めている」としています。

① ついては、私たちはこの問題について市場関係者は当然のこと、消費者に対しても十分な情報の公開を求めたいと思いますが、実現していただけますか?
② と同時に私たちは、私たち一般消費者でも質疑応答に参加できる公開での説明会の開催を求めております。これを実現していただけますか?

【当該実行委員会への回答について】

Q8 私たちは“守ろう!築地市場パレード実行委員会”では、2013年10月28日に猪瀬直樹都知事(当時)宛に公開質問状(築地市場の移転に関する要請書)を送付いたしました。しかしながらご回答いただく前に辞任のやむなきに至り、いまだに回答を戴いておりません。候補者が当選の暁には、ご回答をいただけますか?また、私たちとの意見交換の場を設けて戴けますか?
以上


《五十嵐政一さんからのご回答》

私五十嵐は現在の築地市場を現存し将来を見越した拡張設備し、インフラを充実させ改善します。

国際化についても観光スポットとして業務に支障のない設備で近代的設備を取り入れ共存共栄を図ります。

又知事に当選した暁には意見交換の場を積極的に取り入れて推進します。

《鈴木たつおさんからのご回答》

Q1【築地市場の移転について、ご自身のお考えをお教え下さい】

移転計画自体に反対です。現移転計画を白紙撤回し、市場関係者・地域住民・消費者の方々との慎重な意見交換・検討を再開するべきです。

Q2【築地市場の移転計画についての政策をお教え下さい】

Q1で述べたとおりです。現在の敷地を活かした建て替え計画にすべきだと考えます。具体的な立て替え計画については、専門家の知見に市場関係者・地域住民・消費者のみなさんの創意を融合させて進めていくべきと考えます。

Q3【地下水モニタリング完了以前に着工することについて】

上述したように、移転計画を白紙撤回するべきとの立場です。

Q4【移転関連予算の膨張について】

これまでの公共事業の予算執行については、いったん始動するとズルズルと継続される傾向がありました。また、いったん落札されて業者選定が終わった後は、容易に予算の設計変更がなされるケースも目立ちます。豊洲移転計画予算も同様です。移転計画白紙撤回の立場からは、どれほど先行的に予算執行されていようが中止すべきです。

Q5【豊洲新市場の物流効率性について】

Q6【液状化対策について】

懸念されている事項を考慮すれば、移転計画白紙撤回しかありません。

Q7【情報公開・説明責任について】

①情報の公開

移転問題のあらゆる経過・経緯について、全面的に明らかにしていきます。

②説明会の開催実現

一般消費者こそ築地市場問題の主要メンバーの一員であると考えます。

Q8【当該実行委員会への回答について】

都政の質疑応答や意見交換など、あらゆる機会をつうじて実現したいと考えます。

《ドクター・中松さんからのご回答》

Q1【築地市場の移転について、ご自身のお考えをお教え下さい】

築地市場の移転は、反対。

Q2【築地市場の移転計画についての政策をお教え下さい】

他所に移転せず、築地市場の耐震化、及び21世紀のエネルギーを使用した世界最先端の市場としてリニューアル。オリンピックで世界から観光客がますます訪れることを前提に、観光客と仕事をする人々がそれぞれ満足する空間を作る。

Q3【地下水モニタリング完了以前に着工することについて】

地下水モニタリングを徹底して行い、その後に着工を検討する。

Q4【移転関連予算の膨張について】

ムダ使い。

Q5【豊洲新市場の物流効率性について】

道路が環状2号線と補助道路315号で分断、また物流動線がないので見直すべき。

Q6【液状化対策について】

豊洲は、3.11で液状化した地震に弱い土地である。わざわざ弱い土地を選んでお金を膨大にかけて強化するのは税金のムダ。

Q7【情報公開・説明責任について】

①情報の公開

東京都主催の「技術会議」等の情報公開が不十分。土壌汚染の専門家がいない、御用会議状態。業界団体が公開質問状(防災、無線LAN設置、バリアフリー、パッケージ施設、冷蔵庫など)の質問を出したが未回答。などの現状は問題。ドクター・中松は都知事として、市場関係者・消費者に対して十分な情報公開を行います。

②説明会の開催実現

実現します。

Q8【当該実行委員会への回答について】

ドクター・中松都知事あてに公開質問状をご送付ください。回答します。意見交換の場を設けます。

《ひめじけんじさんからのご回答》

(大原則は以下の通りです)

1. 命の源。食の流通の根本を汚染土壌の上に作るべからず
“世界の恥となる”

2.引き返せないところまで行くと“既に遅し”ということになる。(いさはや湾干拓と同)
私が知事になったら、可能なら可能な範囲で変更する。

3.私は流通業20年の経験を活かす。→よりよいもの
大田、築地、船橋、葛西、旧両国市場に仕入れ従事。

(2011年都知事選の公約)
築地市場の再検討と速やかな実施 A案 一部存続で青果のみ晴海又は豊洲移転、水産は築地で存続(移転は至近で1回のみ)B C案 青果・水産共晴海か豊洲 水産736店青果106店 場外約400店以上  移転の原則 水産卸と仲買店舗至近隣接、市場はストックよりフロー重視(高機能で最少設備) 交通の利便性。移転負担と家賃負担は最小に。

《宇都宮けんじさんからのご回答》

Q1【築地市場の移転について、ご自身のお考えをお教え下さい】

反対です。基本的にこの問題は、石原、猪瀬都政の残した負債だと考えています。

Q2【築地市場の移転計画についての政策をお教え下さい】

消費者にとって安全で安心でき、中小の業者がこれまでのように営業を続けられるよう、築地市場を守り、豊洲移転を見直します。

・現行の施設設計、建設工事の入札・着工は凍結します。

・現在の築地市場については、直ちに予算を取り、補修の必要を感じます。東京都は築地市場の事業者の方々から施設使用料をいただいているのですから移転の問題とは別枠で「大家」としての責任を果たしたいとおもいます。

・その上で現場に足を運んで関係者・消費者の意見を聞き、移転計画の中止も視野に、早期に決断をいたします。先日参加した対話集会では、再整備について「昭和モダニズムの意匠を全面的に再現する」というアイデアも伺いました。弱肉強食の世の中がいつまでも続くとはおもいません。50年後、100年後に感謝されるような卸売市場として再整備をしたいとおもいます。

・中小企業は東京の地域経済を支える重要な存在です。築地市場は築地市場だけで独立しているわけではなく、東京中の商店街とのつながりの中にあります。中小企業、自営業が元気になり、商店街が元気になる都政を行うことが築地市場の活性化につながるとおもいます。

Q3【地下水モニタリング完了以前に着工することについて】

言語道断だと思います。そもそも私は、土壌汚染問題については解決していないと思います。

Q4【移転関連予算の膨張について】

早い時期に決断が必要だと思います。既に執行されてしまった予算もありますが、無理やり強行するより結果的に安上がりになる、ということもあります。

Q5【豊洲新市場の物流効率性について】

「効率的な物流」を言いながら、移転先の物流効率性が悪いというのは大きな問題だと思います。移転にしても、現在地にしても、関係者の意見を十分に聞くことが大切だと思います。

Q6【液状化対策について】

首都直下型地震への対策の必要性が言われる中、豊洲新市場の液状化対策が震度5弱というのは、本気で移転するつもりがあるのか疑問に思ってしまいます。防災上明らかに問題です。

Q7【情報公開・説明責任について】

①情報の公開

実現します。十分な情報公開をお約束します。

②説明会の開催実現

はい、一般消費者でも参加できる説明会の開催の実現をお約束します。

Q8【当該実行委員会への回答について】

貴会よりの質問については、責任を持ってお答えいたします。また、貴会にかかわらず、あらゆる機会に意見交換を設けていきたいと思います。

《ますぞえ要一さんからのご回答》

「築地市場の移転については、関係者との合意を踏まえたうえで、すでに決定された事項であり、現時点では、それを見直すべき新たな要因は発生していないと考えています」

《田母神としおさんからのご回答》

築地市場は、都民や業者の安全を確保しながら移転を推進します。

《細川護煕さんからのご回答》

前略
ご質問につきましては確かに拝受いたしました。
ご質問の諸点は、就任後に皆様のご意見も参考にしながら、検討し、判断してまいりたいと存じます。会員の皆様によろしくお伝えください。 草々

《マック赤坂さんからのご回答》

Q1【築地市場の移転について、ご自身のお考えをお教え下さい】

決議で決まった以上移転はしなければならない。

Q2【築地市場の移転計画についての政策をお教え下さい】

安全性はしっかりと調査する。

Q3【地下水モニタリング完了以前に着工することについて】

解除されて、安全性が確保された上で着工すべき。

Q4【移転関連予算の膨張について】

1/2にカットするか、都のコスト(都議報酬のなど)のカットからまかなう。

Q5【豊洲新市場の物流効率性について】

移設計画はプロの意見をよく聞いた上で見直しする。

Q6【液状化対策について】

問題アリ。

Q7【情報公開・説明責任について】
①情報の公開

する。情報公開は民主主義の原則。

②説明会の開催実現

消費者参加型の都政にする。

Q8【当該実行委員会への回答について】

約束します。

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