2013年11月28日17時30分、東京電力本店にて、東電臨時会見「中長期ロードマップの進捗について」が開催された。福島第一原発2、3号機の炉心注水量を各々毎時1トン減少、注水循環ループを現在の3kmから0.8kmに短縮し、設備の負荷軽減等をはかることがわかった。
2013年11月28日17時30分、東京電力本店にて、東電臨時会見「中長期ロードマップの進捗について」が開催された。福島第一原発2、3号機の炉心注水量を各々毎時1トン減少、注水循環ループを現在の3kmから0.8kmに短縮し、設備の負荷軽減等をはかることがわかった。
■全編動画
汚染水の増加量を抑えるため、炉心への注水量を減らす計画について発表があった。福島第一原発1~3号機は、震災時に原子炉の圧力容器の中に核燃料が入っていた。臨界は起こっていないが、燃料の崩壊熱の影響があるため、流水で冷やしている。それが炉心から漏れだし、汚染水増加の原因の一つになっている。炉心の崩壊熱は時間が経つと減少してくるので、注水量も当初に比べ少しずつ減らし、現在1号機は毎時4.5トン、2号機と3号機は各々毎時5.5トンを注水している。
注水量は安全のため多めに余裕を持った量であることや、温度監視方法を整理した結果、2014年1月以降の2、3号機への注水量は毎時4.5トンに減らすことが発表された。これにより、汚染水増加を1日あたり合計48トン分抑えられる。
更に、炉心へ注水した水は汚染水として、セシウム除去、塩分除去などの水処理を行い、再度、炉へ注水し、余剰分はタンクへ貯蔵している。それら施設の負荷も減少し、貯蔵タンクの余裕が増えるなどの利点がある。
炉心冷却のための注水は、原子炉建屋から水処理施設、CSTタンク(一時的に貯蔵しているタンク)、再び原子炉へ、という経路を経ている。各施設間を水を移送するため、約3kmに渡り発電所内を循環する配管(パイプライン)が設置され、循環ループと呼んでいる。これら配管の途中や、継ぎ目などから汚染水の漏洩が発生し、環境を汚染するリスクとなっていた。
水を移送する循環ループ(配管のルート)を検討した結果、設備の構成を見直し、現在約3kmある配管を、約0.8kmに短縮できることがわかった。2014年始めから設備の制作、工事を始め、2014年末に短い循環ループの運用を開始する予定。
各号機のタービン建屋から海まで、海水配管トレンチと呼ぶ配管が設置されている。建屋から汚染水が流入し、高濃度汚染水がトレンチ内に滞留し大きな課題となっている。滞留汚染水を除去するため、東京電力はタービン建屋と接続している箇所を冷却凍結法により閉止することを検討している。
実証試験として、実物トレンチの2分の1サイズのモックアップ装置を用い、凍結止水試験を行なった結果が発表された。条件を変えて様々な試験を行ない、氷の壁を十分成長させることができた。東電は氷による止水を行う事に、一定の目処が立ったと考えていると発表した。
12月から2号機で先行の準備工事を始め、凍結止水の後、水抜き、トレンチの埋め戻しを行う予定。完了は来年度末ごろを見込んでいる。
福島第一原発3号機で、4号機に続いての使用済燃料プールから燃料の取出しが検討されている。そのために、先ずプール内の大型瓦礫の撤去作業を開始することが発表された。現在監視カメラを3台設置しているが、さらに5台増やし、計8台の監視カメラで監視を強化するとともに、落下リスクの高いものを吊り上げる時は、大型クローラクレーンを2台使用するということだ。
現在撤去作業の準備中だが、本日、監視用カメラの固定ケーブルが切れ、重さ約5.5kgのカメラ本体がプール内に落下したことが発表された。燃料の損傷等はないと考えているということだ。カメラ落下の原因究明、再発防止策を図るため、3号機燃料プール内瓦礫撤去作業は工程を遅らせるということだ。
炉心に残存する燃料デブリを流水で冷却しているが、空冷の可能性を試算、検討した結果が発表された。
現在1、2、3号機の燃料デブリの崩壊熱は、それぞれ約0.2MW(=200KW)、6年後の2019年10月には半分以下の0.08MWになると試算している。6年後にはおよそ毎時3500立法メートルの風を燃料デブリに吹き付けられば空冷で対応できるということが示された。
ただし、炉心(圧力容器内)に風を送り込む方法や、燃料デブリの状態が分からないことから、燃料デブリに充分に風を吹き付けられるか、など課題が多く残っており、実現までまだ遠い。
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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示
廃炉措置等に向けた取り組みの進捗状況 2013年11月28日(第10回事務局会議)
2013年11月28日