柏崎刈羽原発の適合審査申請 「規制委はもう一度説明を」 泉田知事が東電と規制委に注文 2013.10.29

記事公開日:2013.10.30取材地: テキスト動画
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(取材協力:山田朋洋、記事構成:安斎さや香)

 原子力規制委員会による新規制基準適合性審査が予定されている柏崎刈羽原発に関し、29日の定例会見で泉田裕彦新潟県知事は、東京電力の安全対策の脆弱性や、規制委員会の対応、国の関与などを改めて批判した。

■全編動画

  • 日時 2013年10月29日(火)

規制基準適合審査をめぐる意識のズレ

 規制委員会がまだ審査に入っていないことについて、泉田知事は「規制委員会と東電の意識のずれがあるのではないか」との見解を示し、「規制委員会は、原発を安全に運転できるかどうかという観点で審査したいのではないか。(審査について)規制委員会はもう一度説明すべき」と語った。

 この審査について、泉田知事は「安全審査ではない」との認識を改めて強調し、報道機関が「安全審査」と報じることで、「(原発)近くの住民は『安全審査を受けないの?』ということになるリスクがある」と、規制委から充分な説明がないままで、「安全審査」という報道がなされることによって、住民の誤解や、不安を生む可能性があることに懸念を示した。

 東電の審査申請に際し、新潟県が付与した条件にある「地元避難計画」に関しては、「住民が健康に影響のある被曝を避けられるしくみが必要」であるとし、「実際、どの程度準備しなければならないのか、技術委員会で検討し、シミュレーションしていくことになる」と報告した。

原発事故対策・対応のあり方

 福島原発事故に関する東電の対応については、「原発を安全に運転できるような、社長・トップが判断できるような体制になっているのかどうか、極めて疑問である」と、従来の主張を踏襲。政府の公費投入についても、「これまで棚上げされていた貸付責任、株主責任をどうするのだ、という話が出てこないで公費投入だけで済むのか」と、東電の状況が変わらない中で、公費をつぎ込んでいくことに疑問を呈した。

 さらに、福島の原発事故で相当なコストがかかることを指摘した上で、「もう一回同じことをやったらどうなるのか、日本が輸出した原発で事故が起きたら、今度は国にかかってくるのかを考えると、しっかり安全対策を講じる必要がある」と主張。ヨーロッパの最新型の原発が『メルトダウンが起きる』前提で設計されていることや、アメリカでは『メルトダウンが起きる』前提で軍が動くことになっている例を提示し、「日本だけ『メルトダウンが起きない』仮定で体制を組んでいくことは、いざトラブルが起きた時に対処ができない訳で、文明国として恥ずかしい対応ではないか」と、日本における事故対策の脆弱性を厳しく批判した。

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