猪瀬直樹東京都知事は18日(金)、定例の記者会見で、今週大島町を襲った台風26号に続き、来週新たに台風27号が上陸する可能性があることから二次災害防止として、大型土のうの設置などを緊急対策として講じることを発表した。
また、災害発生から2日目に現地入りしたことが人命救助に影響しなかったのか、と問われた猪瀬知事は、「人命救助に邪魔にならないようにするのは当たり前の事。だからお出迎えもいらない」と述べ、続けて「どっかの首相が大事なときに邪魔したとかいう話でしょ?意味が違う」と、念押しで正当性を説いた。
- 日時 2013年10月18日(金)
- 場所 東京都庁(東京都新宿区)
反対派の主張は「ツイッターでボーっと広がったもの」
2020年の東京五輪で、カヌーの競技会場候補地になっている葛西臨海公園。野鳥の飛来地として知られ、競技場建設により自然破壊に繋がると危惧する声があがっている。
10月16日、同公園のカヌー競技場案の中止を求め、市民らが賛同者約1万6000人分の署名を猪瀬知事宛に提出した。この件について受け止めを問われた猪瀬知事は、「それほどの自然破壊にならない。観客席は海に仮設で作るだけで公園には作らない」と発言し、反対派の主張を「詳しい情報を検索せずツイッターでボーっと広がってしまった」と反論した。
東京でオリンピックを開催することは反対ではないが、葛西臨海公園にカヌー競技場を現在の計画のまま作ることはやめてほしい。定例記者会見の映像を見て、猪瀬知事はカヌー競技場の建設計画の内容を理解していないとしか思えなかった。競技場は300mの人口の川だけではなくそこに流す毎秒何トンもの水をためる巨大な水溜が付属する。これが天然の川との違いである。公園のごく一部ではなく、公園西側の森のゾーンのほぼすべて、観覧車から海までとその西側のほとんどを競技場とその付帯物が埋めることになる、というのが計画図に示されたものだ。面積的にも知事のジェスチャーで示したように小さいものではない。これだけコンクリートで固めたら、川と森が再生できるわけがない。人口のコンクリートで作った水路がイワナやヤマメが住み、カワガラスやミソサザイがさえずるところにできるとでもいうのだろうか?
架設の観覧席にしてもここの海に作るのは、ここが、貴重な東京湾最奥の多くの生き物をはぐくんできた干潟の最後に残ったところで、葛西の公園はここをまもり、復活させようとしてきた都の先人たちの知恵と汗の結晶であるという歴史的な経緯をも軽んじたものだ。猪瀬知事にこそ詳しい情報を理解し、カヌー競技場推進を再考していただきたい。