2011年3月11日(金)13時、東京都港区の名城大学コンプライアンス研究センターにおいて、総務省コンプライアンス室長を務める郷原信郎弁護士による定例記者レクが行われた。この日の記者レクで、郷原弁護士は、「年金3号問題」と、「検察の在り方検討会議で行われた議論の内容」について記者に説明した。
(IWJテキストスタッフ・久保元)
2011年3月11日(金)13時、東京都港区の名城大学コンプライアンス研究センターにおいて、総務省コンプライアンス室長を務める郷原信郎弁護士による定例記者レクが行われた。この日の記者レクで、郷原弁護士は、「年金3号問題」と、「検察の在り方検討会議で行われた議論の内容」について記者に説明した。
■ハイライト
年金3号問題(第3号被保険者記録不整合問題)とは、会社員(第2号被保険者)が退職した場合は第1号被保険者に切り替える手続きが必要だが、その配偶者(第3号被保険者)についても第1号被保険者に切り替える手続きをしなければならないのに、手続きが必要であるということの周知不足等によって、切り替え手続きがなされていない「不整合」の状態にある人が約100万人にのぼることが問題視されているもので、受給資格要件を満たさなくなる恐れや、年金支給額の過払いなど、問題点が次々と浮き彫りになり、国会でも混乱が続いている。
この問題に関連し、厚生労働省は、配偶者が本来は第1号被保険者として保険料を納付しなければならなかった期間についても、全て第3号被保険者とみなすなどとする救済措置(運用3号)を発表した。この対応をめぐっては、本来は第1号被保険者として保険料を納付しなければならなかった期間を第3号被保険者とみなすことにより、保険料未納なのに加入期間に算入されることから、適正に手続きをした人から見れば「きちんと納めたのは損だった」と映りかねない不公平な取り扱いであるとの意見が出ていた。
郷原弁護士は、この問題に関し、自身が委員長を務める総務省年金業務監視委員会が総務大臣に提出した意見書について、その内容を記者レクの冒頭に述べた。運用3号自体が「課長通知」という法的根拠のない形で発表されたものであることや、法的根拠のない通知によって、支給要件を欠いている人に対しても年金を支給するという点などが国民年金法に違反することを詳細に説明した。
そして、運用3号が発表されるに至った厚生労働省の判断について、「正しくない記録を正しくしようとすると混乱するので、正しくない記録をそのまま尊重する、という理屈は、法律論としては成り立たない。正しくない記録が存在していた場合には、正しくない記録をまず正しい方向に改めるべきであって、正しくない記録を尊重するのはありえない対応」と述べた。
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