石巻からの手紙 311を忘れない―震災被害の現場報告・震災のその後のお話会 君にとどけ~FLY TO YOU~ 2013.4.11

記事公開日:2013.4.11取材地: テキスト動画
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 2013年4月11日(木)19時から、長野県茅野市かんてんぐらにて「石巻からの手紙 311を忘れない―震災被害の現場報告・震災のその後のお話会 君にとどけ~FLY TO YOU~」が開催された。石巻に住んでいた植松千枝子氏による震災当日の体験談と、震災直後から石巻に入り、支援を続けている、め組ジャパンの橋之口みゆき氏による詳細な現場報告が行なわれた。

■全編動画

  • お話 橋之口みゆき氏、植松千枝子氏
  • 日時 2013年4月11日(木)19:00~
  • 場所 かんてんぐら(長野県茅野市)
  • 詳細 美咲-創世記-
  • 主催 東日本大震災の復興を考える会

 まず、2011年3月11日、石巻市川口町で被災した植松氏が、その日の体験を語った。植松氏は、買い物先で地震に遭遇、急いで家に向かった。途中、車のラジオで「6メートルの津波が来る」と放送があったが、大丈夫だろうとそのまま海にほど近い自宅への道を急いだという。「家に着き、息子の『津波が来た!』の声で、急いで2階に上がりベランダに出た。水が押し寄せ、あっという間に周り一面が真黒な海になってしまった」と、植松氏はその時の光景を振り返った。ひと晩、2階で過ごした植松氏の一家は、その後、湊小学校に避難して、今は長野県に移住している。

 続いて、NPO法人 MAKE THE HEAVENの東北復興支援チーム、め組ジャパンの橋之口氏が、石巻市での支援活動の様子を報告した。

 橋之口氏が被災地に入ったのは、3月19日。石巻市の湊小学校を中心に活動を始めたという。「毎日毎日、朝から晩まで、被災した家の泥出しに明け暮れた。泥水を吸った重い畳を何十枚も出し、床下にまで入って泥出しをした。なかなかなか進まない、終わるのだろうか、と思ったが、どんな状況でも、私たちはあきらめることはなかった」と橋之口氏は語った。そして、橋之口氏や全国から集まったボランティアが、そのように頑張れたのは、「地元の人たちが、何度も何度も頭を下げ、抱きしめて言ってくれた『ありがとう』が、明日への活力になったからだ」と話した。

 被災地の状況が、ある程度落ち着いたあとも、橋之口氏らは、多様な支援を続けた。重機を扱えるボランティアによる車などの撤去、子どもたちの学習支援や本の読み聞かせ、2000世帯が家を失い住めなくなった南浜町に、ひまわりの花を植える、南浜ひまわりプロジェクトなどである。

 その中には、地域の女性の起業に結びついた例もあるという。橋之口氏は「家族や仕事、家を失った女性たちが集まって、市の倉庫に眠っていた支援品のタオルを使ってタオルドレスを作り始めた。数カ月かけて商品開発を行い、実際に洗濯をしてみて問題点を探し、どこに出しても恥ずかしくないものを作り上げた。メンバーの最高齢の女性から『め組ジャパンの人が来なかったらさぁ、私ここにいないっぺ。今日か明日か、裏に行って死のうかって、いっつもそのことばかり考えていた。でも、あなたたちが来て、こんなに楽しい時間と、こんなにたくさんの仲間を作ってくれた』と言われた」と語った。この女性グループは、東北弁で「ふざけてばかり」という意味の「おだってばりぃで」という名前を付けて、この4月、め組ジャパンから独立した。

 め組ジャパンが、新たに始めている活動に、森の防潮堤作りがある。被災地の沿岸には、津波対策として7メートル~11メートル(以下m)高さのコンクリート製の防潮堤が作られることになっている。「想像してみてほしい」と橋之口氏は言う。「1mの高さでも威圧感がある。2mだと、私たちの背を超えて何も見えない。それが、7m~11mの高さにするという。海と共に生活してきた人たちから、海を奪ってしまう。漁師も反対している。私たちが残すべきは、コンクリートの高い高い壁ではなく、緑の森ではないだろうか」と訴えた。め組ジャパンのプロジェクトでは、横浜国立大学の宮脇昭名誉教授が提唱する方法で、震災がれきを活かし、広葉樹林を植えて防潮堤にする計画を進めている。3年後の植林を目指して、地元の住民と一緒に、去年は1万株、今年、来年は4万株の木を育てる予定だという。

 橋之口氏は、MAKE THE HEAVEN代表のてんつくマン氏から、「動けば変わる。あきらめるなよ。あきらめずにやれよ。ひとりでできなかったら、2人。2人でも無理なら3人。3人でも無理なら、助けてくれ、と手を挙げろ。仲間を募れ。そうしたら、動かなかったものも動く。必ず動けば変わる。一人ひとりの力は微力だけれど、決して無力ではない」と言われ、励まされてきたという。橋之口氏は「皆さん、何ができるか(考えてほしい)。風化させないこと、思いやってあげること、気づいてあげること。もし、時間があったら、ぜひ東北に来てほしい」と呼び掛けた。

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IWJテキストスタッフ・齊藤/奥松

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