2013年1月12日(土)15時30分から、福島県郡山市のミューカルがくと館で、「『原発のない社会へ 私たちができること』 ―地域経済と自然エネルギーのいい関係―」が行われた。講演者の田中優氏は、原子力の発電効率が悪い点、高コストである点を指摘した上で、節電の具体的な方法や自然エネルギーに切り替える事によって、地域経済を活性化させることができることをスライドを使って解説した。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2013年1月12日(土)15時30分から、福島県郡山市のミューカルがくと館で、「『原発のない社会へ 私たちができること』 ―地域経済と自然エネルギーのいい関係―」が行われた。講演者の田中優氏は、原子力の発電効率が悪い点、高コストである点を指摘した上で、節電の具体的な方法や自然エネルギーに切り替える事によって、地域経済を活性化させることができることをスライドを使って解説した。
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田中氏は、まず、総括原価方式を解説し、必要な費用を大きくすればするほど、利益を生むこの仕組みを利用して儲けようと考えた電力会社が、架空のニーズによって、無駄な施設を国内にどんどん作っていた経緯を説明した。その上で、発電効率33%の原子力に対して、天然ガスの発電効率が60%である利点を挙げ、「発電効率の良い方を選ぶのであれば、天然ガスのコンバインドサイクルを利用するべき。日本は効率の悪い原子力発電所を作り続けたことによって、電力会社の利益は大きくなったが、電気料金は世界一高くなった」と指摘した。
続けて、電力会社の有価証券報告書のデータから、原子力発電が高コストであることが証明できることを解説した田中氏は、「資源エネルギー庁のデータは嘘ばかり。嘘を見極める力が必要である」と述べ、「原子力発電は安い」という嘘を信じてきた結果、高コストな原子力発電によって、国際競争力が妨げられている点を問題視した。また、「これは、戦時中の大本営発表とそっくりに見える。日本は、メディアリテラシーと同時に、電力リテラシーが必要である」と訴えた。
次に、昨夏、原発が一基も稼働していないにもかかわらず、余剰電力があったことを図で示し、ピーク時であっても電力不足には陥らず、再稼働は必要ないことを証明した。田中氏は「嘘のデータで、電力不足が皆さんのライフスタイルのせいにされ、再稼働が強行された。非常に悪質である」と指摘した。
節電と自然エネルギーによる発電への切り替えを訴える田中氏は、ドイツの自然エネルギー政策を例に挙げ、「ドイツの素晴らしい点は、自然エネルギーを導入したと同時に、電気の消費量を増やさなかったことである。日本が抱える問題は、電気の使用量が増え続けていること。国内の電気の半分を消費しているのは、わずか200社の大企業である。最初にするべきことは、次の電源を考えること以前に節電である」と述べ、ガスエアコンやLEDによる節電の有効性を解説した。続けて田中氏は、日本には自然エネルギー発電の余地がたくさんあることをスライドで示し、「現在の電気消費を半分にすれば、自動的に原発は必要なくなる。日本はわずか4%しかエネルギーを自給しておらず、96%を輸入に頼っている。貿易赤字を減らし、国内で経済を回すことが必要であり、自ら社会を創ることでそれが可能である。私は日本の未来にわくわくしている」と述べた。