東京都下の水道水が危ない! 米軍と自衛隊の基地による汚染か!? 横田基地周辺でPFAS(有機フッ素化合物)が検出! 長年にわたる地下水汚染が明らかに! 市民団体が血液検査を自主開催~12.3「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」によるPFAS濃度を調べる血液検査 2022.12.3

記事公開日:2022.12.23取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・文、山内美穂)

 東京の多摩地域は地下水が豊富なことで知られている。水道水にはその地下水がふんだんに汲み上げられ、とても美味しいと評判だ。多摩地域の住民は、長年その恩恵に恵まれてきたが、今、それが仇となる事態に見舞われている――。

 2022年12月3日(土)、国分寺市のひかり診療所で、「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」の呼びかけによる、住民のPFAS(有機フッ素化合物)血中濃度を調べる血液検査が行われた。

 きっかけは、横田基地周辺の井戸水から、高濃度のPFASが検出されたことだ。市民有志は専門家を呼び、2016年頃から報じられている沖縄の基地周辺でのPFAS汚染状況などに関する勉強会を重ねてきた。そして、2022年8月に「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」が発足した。

 会の中で、各地域の住民たちが、地域ごとの実行委員会を結成。沖縄の住民の血中PFAS汚染の調査分析を行っている京都大学の原田浩二准教授と、地域の診療所の協力を得て、汚染の実態を明らかにしようと自主的な検査に踏み切った。

 国立市のクリニックでの実施を経て、今回は2回目。あと2回を予定しており、計4回実施する。
 IWJ記者は、会の呼びかけに応じた周辺住民の採血検査の様子を取材した。

※PFAS(ピーファス):
 PFAS(ピーファス)は、有機フッ素化合物とは難解性の化学物質の総称で4700種以上あるといわれている。
 1940年代からだんだんに普及し、撥水・撥油性の食品包装材や、テフロン加工のフライパン、泡消火剤などに使われてきたが、近年になって毒性が強い有害物質であることがわかってきた。
 欧州環境庁(EEA)の資料によると、PFASの人体への影響は、腎臓がん、前立腺がんなどのがんのリスク増加、肝疾患、甲状腺疾患、血中コレストロール値の上昇(心疾患の原因)、低出生体重、乳腺発達の遅れ、ワクチン反応の低下などが疑われている。
 これらは、体内で分解されにくく、溜まりやすいという特性を持ち、英語で「Forever Chemicals(永久の化学物質)」と呼ばれている。その中で特に毒性が強いといわれているのがPFOS(ピーフォス)(正式名称はペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ピーフォア)(正式名称はペルフルオロオクタン酸)だ。
 沖縄の基地周辺や東京・横田基地周辺の多摩地域で検出された物質は、PFOSだった。
 ストックホルム条約で、2009年にPFOS、2019年にはPFOAの、製造と使用が原則禁止となった。
 世界的に規制が進む中、日本は2020年に、ようやくこれらを要監視項目に指定した。暫定目標基準値は、諸外国の基準値などを参考に、PFOSとPFOAを合わせて、水道水1リットル当たり50ナノグラム以下としている。
参照:
※ストックホルム条約第9回締約国会議(COP9)が開催されました(経済産業省、2019年5月14日)
https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190514003/20190514003.html
※令和元年度第2回水質基準逐次改正検討会議事録(厚生労働省、2020年2月19日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000613322.pdf

記事目次

■全編動画

  • 日時 2022年12月3日(土)14:00~16:00
  • 場所 ひかり診療所(東京都国分寺市)
  • 主催 多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会

健康への不安、子どもへの影響、基地との関連性…心配を口にする住民たち

 採血検査には、30代~90代までの58人(女性35人・男性23人)が参加した。国分寺市民のほか、小平市、武蔵野市、小金井市、立川市の市民も参加。採血が終わった方々に、検査を受けようと思った経緯や、多摩地域のPFAS汚染についての話をうかがった。

<78歳・女性/国分寺市在住45年>

 「ひかり診療所からのニュースで知りました。

 原因が米軍基地か何か、軍事の目的で使われて流されて来ているとしたら、原発の汚水と同じでね、私たちの見えないところで、本当は扱っている人は当然知っているはず。それをやるんだからやっぱり犯罪だと思う。許しがたいです。

 息子も近くに住んでいるので、孫とかにも影響あったら…と思う」

<40代・女性/国分寺市在住15年>

「2年くらい前から水質汚染がニュースになって、心配だなと思って暮らしていました。

 長く住んでいますし、健康にも不安があります。ここら辺にも基地があるので、汚染水が来ているとしたら調査をしてほしいし、国分寺だけではなく周辺の地域にもこの問題はあると思う。

 沖縄のこともあるし、全国的に広がって監視していってほしい。小学生の子どもがいて、飲料水として飲んでいるので小さい体にも影響があったら心配だなと思っています」

<74歳・北彰さん(男性)/小金井市在住20年>

 「沖縄で大変問題になっているけれども、防衛省の方ではきちんと対応していないようだということを報道で知っていました。横田基地でも、泡消火剤を使っている、と。

 因果関係は推測だけれども、(横田基地が汚染源であることは)可能性としてはあるだろうと。血液検査をしないとわからないというので、ひとつのサンプルとして役立てればと申し込みをしました。人体への影響を心配しています」

<40代・岡部宏章さん(国分寺市議会議員)/国分寺市在住17年>

 「今回の集団での血液検査は、画期的なことだと思います。(汚染源が)はっきりしないというのはあるが、一つには米軍基地が近いということ、発生源の可能性が高いことは言われていますよね。そういうことがあれば、見過ごせないな、ということはあります。

 市議として、一般質問もしてきました。水道水を供給しているのが東京都なので、国分寺市としても都の動きを待つしかないという面がありますが、そうはいっても市民の健康、命にも関わることなので、そこは東京都任せというのはなく、市も率先して解決に向けて取り組んでいってほしい。場合によっては都や国にも強く要望するなど、やっていただきたいと思っています」

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページより御覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です