2021年3月8日(月)、午前9時30分より、福島原発刑事訴訟支援団、福島原発告訴団、そして、福島原発告訴団弁護団の3団体の主催により、「東電福島原発刑事訴訟 東京高等裁判所裁判官に現場検証を求める要請行動」が行なわれた。
この要請行動は、9時30分からの東京高裁前でのアピール行動、10時からの要請書の提出、そして、10時30分からの記者会見で構成されており、IWJは、その内の、「アピール行動」と「記者会見」を録画取材した。
アピール行動では、福島原発刑事訴訟支援団・副団長の武藤類子氏が次のようにスピーチをした。
武藤氏「原発事故の10年というのは、たったの10年。まだ何も、事故は終わっていない。福島原発の中で行なわれているのは、廃炉作業ではなく、終息作業。事故が終息していない。今、福島県の中は、まだ、原発事故は何も終わっていないという状況だ。
汚染水の問題、除染・汚染された土が、再生資材と名を変えて拡散されている問題。子どもたちの甲状腺の検査が縮小されようとしている問題。様々な問題が山積している中、オリンピックだ、復興だ、ということだけが浮き上がり、『もう原発事故は終わった』という雰囲気になっている」
10時30分。定刻どおりに開催された記者会見では、武藤類子氏、福島原発告訴団弁護団の海渡雄一弁護士、そして、福島原発刑事訴訟支援団事務局長の地脇美和氏の3名が登壇し、武藤氏と海渡氏より、「東京高裁の裁判官に現場検証を求める」ことの意義について、それぞれ説明があった。
武藤氏は、「2019年に出された東京地裁での東電福島原発刑事訴訟の判決には、非常にがっかりしたし、被害にあった方々の誰一人、その判決に納得した人はいなかったのではないか。東京高裁は、本当に、正確な判断、正しい判断をして欲しいと、心から願っている。そして、そのためにはやはり『現場を見てもらう』ということは、とても重要なことだと思う」と述べた。
武藤氏の発言を受け、海渡氏は、会見参加者に向けて次のように語りかけた。
「現場検証をするかどうかということは、地裁の段階から問題であり、重要視していたが、結局、現場検証は実施されなかった。
しかし、我々がこの件(裁判官の現場検証)にこだわるのは、福島原発の現状、そして、福島原発周辺の帰還困難区域の現状、こういうものを見ないで、この事故が一体、日本の社会にどういうものをもたらしたのか、ということを判断できないと思う。
この間、福島原発の損害賠償の判決がいくつか出ている。その中で、原告側の主張を入れて、国の責任をはっきり認めた判決を行ったのは、仙台の生業訴訟における上田裁判長、それから、千葉の避難者訴訟での白井裁判長だが、この2人とも現地に行っている。
やはり、『現地に行った』ことが、まさに、判決に反映されていると考える」
アピール行動、そして、記者会見での登壇者の発言、および各社記者との質疑応答の一部始終は、全編動画にてご確認ください。