2020年7月1日、東京千代田区の東京電力本社前で、反原発自治体議員・市民連盟や市民が、東電福島第一原子力発電所の放射能汚染水の取り扱いなどについて、抗議の街頭宣伝と、東電に対する申し入れを行った。
街頭宣伝では、たんぽぽ舎の山崎久隆氏が、東電株主総会で質問してきたことを報告した。
日本原子力発電の東海第二原子力発電所を「低廉でCO2の少ない電力」だとして東電が支援していることについて、山崎氏がその根拠を問い質すと、東電は低廉であるとの根拠について「日本原電が提案してきた発電単価を東電が解析した結果、東電の方が高いことがわかった」と、回答したとのこと。
これに対して山崎氏は「東電側の最も高い火力発電の単価と比較すれば、(東海第二原発の発電単価が)安いとすることは簡単だ」と批判した。
また、CO2の排出が少ないとする根拠について、東電は「東海第二と一般の自家発電や石炭火力と比較して(CO2排出量が)低い」と回答したとのこと。
これについて山崎氏は「そもそも比較対象が、前出と違う」と指摘。「東電は水力や再エネでも発電しているので、それと比較すると東海第二の方が高くなる」「比較対象が単価の場合と違うのはインチキだ」と批判した。
安倍晋三総理が「復興のシンボル」と位置づけ、東京五輪の聖火スタート地点に指名した福島のJヴィレッジ周辺では、2018年に東電から福島県に返還された後、毎時1.7マイクロシーベルトの汚染が見つかった。これは事故前の一般的な空間線量と比べ、40倍以上の高い数値だ。
その後東電は、1キログラム当たり103万ベクレルという高レベル汚染土をJヴィレッジ周辺で除去したが、その除染作業を国に報告しておらず、法令違反だった可能性がある。
さらに東電は、Jヴィレッジの原状回復工事で発生した汚染土壌のうち、1キログラム当たり8000ベクレルを下回る汚染土壌を、土地造成に再利用したことが明らかになっている。これについて東電は、8000ベクレル以上の高濃度廃棄物の保管場所や、8000ベクレル以下の汚染土壌を再利用した場所を開示していない。
株主総会でこの問題を質した山崎氏は、街宣で「東電は原状回復工事と称し、勝手に除染をして廃棄物を場所は言わないがどこかに使ってしまった」とスピーチした。
集会では東電に対して、反原発自治体議員・市民連盟の共同代表等が「原発過酷事故の責任をとり、放射能汚染水は全て、タンク等で保管して」との申し入れを行った。
また、原子力民間規制委員会・東京が、東海第二原発に対する資金援助や青森県六ケ所村の原子力燃料再処理工場への出資など、見通しの立たない事業からの撤退勧告と、原発事故の収束作業に当っての新型コロナウィルス対策や労働者の被ばく防止対策についての質問書を、東電担当者に手渡した。