「高度な専門知識を持ち、一定の年収がある働き手」を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」を盛り込んだ働き方改革関連法案が、2018年6月29日午前、参議院本会議で可決され、成立した。
午後には、可決成立を受け「全国過労死を考える家族の会」(以下「家族の会」)会員、「過労死弁護団全国連絡会議」の弁護士らによる記者会見が開かれた。2015年12月、広告大手企業・電通の社員で過労自死をした高橋まつりさんの母、幸美氏の姿も見られた。この日、本会議を傍聴した「家族の会」と初めて行動を共にし、記者会見に臨んだという。
過労死の遺族・当事者は、口々に「納得できない」と失意と怒りの意をあらわにし、過労死は間違いなく増えると警鐘を鳴らした。夫を過労自死で亡くした中原のり子氏は「4年前、同じ参議院本会議で『過労死防止法』の可決成立を傍聴し、『これで過労死をなくせる!』と希望を持った。それが今日は、労働者の希望を失わせるような、まったく真逆の法案が通ってしまった」と語った。
「家族の会」代表の寺西笑子氏は「賛成した国会議員の方は、重大な問題ということをわかってらっしゃるのか問いたい」と訴えた。また安倍総理の答弁に対し、「私たち一同、無関心さ、冷たい返答にショックを受けている。遺族の話を聴く耳持たず、向き合っていただけなかったことは残念で悔しくてならない」と憤り、「間違いなく過労死は増える。国は責任を取るのでしょうか。おそらく、自己責任という扱いになるかと思う」と問いかけた。
寺西氏は、今後について、「身を持って経験してきたからこそ、あきらめることなく、犠牲者が出ないよう健全な働き方ができる社会にしていきたい」と、過労死を防ぐ観点で活動をしていく決意を新たにした。
IWJは、働き方改革関連法案について、2017年から継続的にとりあげ、危険性を伝えてきた。「緊急特集」として、岩上安身による有識者へのインタビューや、取材記事をまとめているので、ぜひ改めてご一読いただきたい。
「4年前成立の『過労死防止法』と真逆の法案が可決するとは!」~「高プロ」参院本会議成立後、過労死弁護団、遺族らが失意と抗議の6.29記者会見!「間違いなく過労死は増える!国は責任を取れるのか!?」 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/426055 … @iwakamiyasumi
責任を取らないための「法改悪」。なんという国だ。
https://twitter.com/55kurosuke/status/1014082495732543488