ネット党首討論会 2012.11.29

記事公開日:2012.11.29取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

特集 TPP問題

 2012年11月29日(木)、東京都港区のニコファーレで、ドワンゴが主催する「ネット党首討論会」が開催された。

 参加者は安倍晋三総裁(自民党)、野田佳彦首相(民主党代表)、嘉田由紀子代表(日本未来の党)、山口那津男代表(公明党)、渡辺喜美代表(みんなの党)、福島みずほ代表(社民党)、志位和夫委員長(共産党)、自見庄三郎代表(国民新党)、鈴木宗男代表(新党大地)、田中康夫代表(新党日本)の計10人。日本維新の会の石原慎太郎代表と、新党改革の外添要一代表は不参加だった。

 TPP、消費税増税、原発の3つのテーマごとに論戦が繰り広げられ、その様子はインターネットで中継された。主催者発表によると、ニコニコ生放送では約116万人、IWJの中継では約2600人が視聴した。衆院解散後では初の党首対決となり、ネット中継になじみの薄い人々からも注目を集めた。

■ハイライト

  • 日時 2012年11月29日(木)
  • 場所 ニコファーレ(東京都港区)
  • 主催 ドワンゴ

 討論に入る前に、各党首が手短にスピーチを行った。その際、多くの国民が次期政権に切望する「経済対策」に触れる発言が目立った。

 みんなの党の渡辺代表は「小さな政府を実現させるなど、名目4%の成長、10年後には給料が1.5倍になる、そういう社会を作る」と力説した。社民党の福島代表は「最低賃金を時給1000円以上にし、年収200万円以下のワーキングプアをなくしていく」と、現在の活動状況を報告した。

 公明党の山口代表は「国民のコンセンサスを得られるのは、防災、減災の面で雇用を作り出すこと。こういう具体策を含め、10兆円規模の補正予算を、選挙後、速やかに実行すべきだ」との考えを示した。

 自民党の安倍総裁と民主党の野田首相はともに、「日銀との連携によるデフレからの脱却」を明言。安倍総裁は「やるべき公共投資を行い、企業の投資と個人の消費を引き出す」と、積極財政の意義を訴えた。野田首相は「政府としてやるべきは、グリーン、ライフ、中小企業、農林水産業といった成長分野に投資をし、雇用を作っていくこと」と強調した。

 その後、討論が開始された。最初のテーマは「TPP(環太平洋経済連携協定)」について。

 口火を切った野田首相は「オバマ大統領とは交渉参加に向けて協議を加速させることで合意した。その際、農業など守るべきものは守る。大統領選挙などもあり、少し止まっていたが、課題を乗り越えることができるのなら、交渉参加の道が開ける」と、参加に前向きな姿勢を改めて表明した。

 これに対し、共産党の志位委員長は「『守るべきものは守る』といったが、TPPは2国間FTA(自由貿易協定)などと異なり、『守るべきものは守れない』仕掛けになっている。例外なき関税ゼロが大原則になっている」と反論した。

 さらに、福島代表が「例外なき関税ゼロになって国益が守れるわけがない。ISD条項(投資家と国家間の紛争解決条項)でもって、外国の大手企業が日本国を訴えて、日本のいろんな障壁に損害賠償を請求すれば、日本はほとんど負けてしまうだろう」と野田首相に迫ると、野田首相は「ISD条項は相互主義だから、日本だけがマイナスというのは暴論だ」とけん制した。

 安倍総裁は「われわれは『聖域なき関税撤廃』を前提条件とする限り、参加には反対だ。菅さんがダボス会議で開国を宣言し、交渉が始まってしまったが、開国していなくても開国していると言い張るぐらいの交渉力が必要なのだ」とし、交渉力では自分たちは民主党に勝っていると主張。山口代表も「今、TPP参加を決めるのは拙速だ。交渉力なき参加は危険だ」と訴えた。

 これに対し野田首相は「では、交渉力を持ったら前へ進めるのか。アクセルを踏むのかブレーキを踏むのか、よくわからない議論が多い」と返した。

(…会員ページにつづく)

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