「(対戦相手のスアキム・シットソートーテーウ選手の)パンチは見えましたね。ほぼ、もらってないんで。攻撃はほぼ全部見えたんですけど、プレッシャーというか、レパートリーが多かったんで、よけづらかった」
2018年2月12日(月)に大田区総合体育館で行われた、キックボクシングのイベント「KNOCK OUT」でのスアキム選手との対戦を振り返って、那須川天心選手(TARGET/Cygamese)はIWJの質問にそう答えた。
2018年2月17日(土)、那須川選手の父、那須川弘幸さんが代表をつとめるキックボクシングジム「TEPPEN GYM」がリニューアルオープン。そのオープニングパーティーが行われ、「KNOCK OUT」のプロデューサーである小野寺力氏をはじめ、多くの関係者が集まった。
パーティー終了後にマスコミによる囲み取材が用意されていたが、普段から深い付き合いを続けている、関係者たちとも顔なじみの他社は、パーティーの合間に立ち話で取材を終え、終了前に引き上げていた。このため、囲み取材とはいえ参加したのはIWJとテレビ東京のみとなり、IWJはほぼ独占的に時間をかけて質問をすることが可能となった。
当初、那須川選手とボクシングの元WBC世界スーパーフェザー級王者・「ボンバーレフト」三浦隆司さんとのスパーリングが披露される予定だったが、那須川選手がスアキム戦で左足首を痛めたため、代わりに「TEPPEN GYM」所属で、2月4日にRISEでキックボクシングにデビューした、元A級プロボクサー篠塚辰樹選手が2Rのスパーリングを行った。
しかし、この日の主役はやはり5日前の試合で、スアキム選手に完勝した19歳の「神童」那須川天心選手だった。
前出の小野寺氏も「キックボクシングが始まって50数年、最高傑作がこの那須川天心だ」と手放しでほめたたえた。
パーティー終了後、IWJは那須川選手にインタビューを行った。
「KNOCK OUT」はとんでもなくハードで冒険的なマッチメイクを行うが、那須川選手としては辛くないか、との質問に、那須川選手は次のように答えた。
「(勝ち星を上げるために格下の選手との試合を重ねて)作られた選手、作られたスターはスターじゃないと思う。そういう選手と戦って勝っても意味はないんで。『KNOCK OUT』は本当の強さを求める舞台なんで、僕はそういう選手と常に戦っていきたいなと思っています」
幼さの残るあどけない表情の中に、「本物の強さ」へこだわる格闘家の鋭い眼差しを見せた一瞬だった。
また今回、法事で直接来ることができなかった岩上安身に代わっての、代読によるインタビューだったにもかかわらず、質問に真剣に答えてくれた天心選手には、心より感謝と応援を送りたい。
※ 2018年2月19日追加取材
2月12日の「KNOCK OUT」スアキム戦で古傷の左足首を再び負傷した那須川天心選手は、2月19日に精密検査を受けた。
IWJの取材に父・那須川弘幸氏は、「精密検査の結果は木曜日(2月22)に出る予定。3月24日の『RISE』後楽園大会への出場は検査の結果を見て判断する。折れているかもしれないし、折れていなくても、天心の精神的なケアのこともあるので、可能性は今のところ五分五分です」と答えた。
※2018年2月25日追記
那須川天心選手は精密検査の結果、左足中指を骨折していることが判明した。
- 那須川天心が左足中指骨折「全治6週間と言われた」(日刊スポーツ2018年2月24日)
那須川選手の骨折は全治6週間。「3週間ほど様子を見て本格的な練習を始めるか判断する。5月6日のRIZIN福岡大会には出場する」とのこと。