「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」
異常な長時間労働を強いられていた、広告大手・電通の新入社員、高橋まつりさんはそうつぶやき、2015年12月25日に社員寮から投身自殺した。彼女の自殺は、2016年9月30日、三田労働基準監督署に過労死と認められた。
電通で過労死が問題になったのは、これが初めてではない。1991年には入社2年目の大嶋一郎さんが過労自殺し、2000年に最高裁が電通側の責任を認める判決をくだした。その後2013年にも30代の男性社員の病死が過労死と認められた。
電通の過労死については、IWJ代表の岩上安身が、元博報堂の営業マンで、『電通と原発報道』『原発プロパガンダ』著者の本間龍氏にインタビューを行っている。本間氏は、会社のプレゼンの直前には、3日間の徹夜を強いられるような労働環境だったことを明かした。
社員の過労死を繰り返しても、電通の労務実態は改善しないのか――。2016年11月7日、東京・汐留の電通本社ビルと3支社に厚生労働省の労働局と各地の労働基準監督署が強制捜査に入った。
電通という巨大な「ブラック企業」に、ついに捜査のメスが入った。このタイミングで、岩上安身が11月11日に、本間氏へインタビューの後編を行う。今回の捜査の件についても、くわしくお聞きする予定である。
★岩上安身による「電通と原発報道――巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ」著者 本間龍氏インタビュー 続編
[日時]2016年11月11日(金)14:30~
過重労働の問題は、広告業界だけの問題ではない。東電では、社員の一井唯史さんが、福島第一原発事故の損害賠償業務を担当する中でうつ病を発症し、労災申請をした。睡眠時間が毎日3~4時間になることもあったという。
一井唯史さんには、岩上安身が11月14日にインタビューを行う予定である。こちらのインタビューにもぜひ、ご注目いただきたい。
過労で心や身体を壊す人が跡を絶たない中、今回の電通への強制捜査はどのような効果をもたらすだろうか? IWJは、元東京地検検事の落合洋司弁護士に操作の見通しについて話をうかがった。