メリットばかりが強調されながら、その交渉内容は秘密ばかりのTPP。安倍政権は十分な情報公開や議論がないまま、この秋の臨時国会で批准を強行しようしている。
「本当は国民の安全や命、健康な暮らしを守るための色々な仕組みを根底から覆すような取り返しのつかないものなのではないのか?」と言う懸念から、2016年8月20日、御茶の水にある明治大学リバティータワーで「TPPを批准させない!全国共同行動8.20キックオフ集会」が開かれ、会場には全国から約300人の市民が集まった。
登壇した山田正彦・元農水大臣は、医療、食の安全、移民、水道民営化、ネット規制など、「農業・貿易だけではない」TPPに仕掛けられた様々な「罠」を指摘していった。
▲集会には約300人の市民が集まった
- 呼びかけ人挨拶 住江憲勇氏(全国保険医団体連合会会長)
- 報告 山田正彦氏(弁護士、元農林水産大臣、TPP交渉差止・違憲訴訟の会幹事長、TPP阻止国民会議副代表世話人)「TPP協定で日本はどう変わるか」
- 連帯挨拶 宮崎岳志氏(衆議院議員、民進党)/紙智子氏(参議院議員、日本共産党)/福島みずほ氏(参議院議員、社会民主党副党首)/野沢哲夫氏(生活の党と山本太郎となかまたち東京都第1区総支部長)
- 問題提起 坂口正明氏(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会〔全国食健連〕事務局長)
- 発言 醍醐聰氏(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会呼びかけ人)/飯田秀男氏(ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク事務局)/九村信吾氏(北海道農協労連書記長)/魚住ちえこ氏(ママデモ代表)
- 全体討論
- まとめ 坂口正明氏/アピール提案・採択
- タイトル TPPを批准させない!全国共同行動8.20キックオフ集会
- 日時 2016年8月20日(土)10:30〜15:00
- 場所 明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区)
- 主催 TPPを批准させない!全国共同行動
- 告知 STOP TPP!!官邸前アクション サイト
TPPは農業・貿易・経済成長の問題だけじゃない!医薬品の価格が3倍に!?
「政府は『TPPは心配いらない。牛肉とか食料が安くなって、暮らし向きは良くなる』と言っている。そのため、『TPPは農業と貿易・経済成長の問題』としか思っていない人がまだまだほとんどなのです。しかし実際は医療の問題から政府調達、国有事業の問題、金融の問題、知的財産権の問題、インターネットの自由の問題、いっぱいあるわけです」
元農林水産大臣、TPP交渉差止・違憲訴訟の会幹事長、TPP阻止国民会議副代表の山田正彦氏は、そう言って講演を始めた。
「今まで日本の薬価は、厚生労働大臣が中央医療審議会の方針を受けて日本で独自にできるだけ安く決めてきた。ところがTPP協定では、第2章の付属書に、『独立機関を設けて外資の製薬会社が価格決定に参加することができ、不服であれば異議申し立てができる』とする記述がある」
驚くべきことに、日本における薬の価格設定の場に、外国企業が参加でき、さらに異議申し立てを行って、事実上介入することができるようになるというのだ。薬を高く売りたい製薬企業にとって、日本の「薬価をできるだけ安く抑える」というシステムは「邪魔」でしかない。TPPによって、今後、薬価が吊り上げられる可能性は高い。
さらに山田氏は、日本の庶民にとって、また高価な薬に手を出せない発展途上国にとって、「頼みの綱」となっているジェネリック医薬品をめぐる問題にも言及した。