「アメリカを踏襲することだけが使命になった自民党」激しさを増す日本の対米追随を徹底解説~岩上安身によるインタビュー第2回 ゲスト 孫崎享氏 2010.1.14

記事公開日:2010.1.14取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)

※2015年3月3日テキストを更新しました。

 「自民党は1993年、湾岸戦争からアメリカを踏襲することだけが使命になった」――。

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏自宅にて、2010年1月14日(木)、岩上安身がインタビューを行った。インタビューは、90年代の思い出話から始まり、孫崎氏は、1993年からウズベキスタン大使を歴任、その頃のマフィア全盛だった不穏な時代のエピソードを語ると、ロシア取材を経験した岩上安身と共感するところも多く、インタビューは盛り上がった。

■ハイライト

  • 日時 2010年1月14日(木)
  • 場所 孫崎邸

日米安保、日米安全保障条約、日米同盟の違い

 岩上安身は、孫崎享氏の著書『日米同盟の正体』(2009年3月、講談社)について聞いた。

 岩上安身が「巷は、日米安保と日米同盟を混同している」と切り出し、以前、当時の岡田克也外務大臣に「安保と日米同盟の違いは何か?」と記者会見で質問したエピソードを語った。

 「岡田大臣は、『日米安保、日米安全保障条約、日米同盟の3つがある』と答えたので、自分はそれに対して、『それらを基礎づける条約は何か?』と聞き返した。すると岡田大臣は、橋本首相が取り交わしたのが、日米安全保障条約。安保条約は共通認識(日米安保条約)で、日米同盟は国家全体を含むものと理解している、と答えた」と話し、孫崎氏に同様の日米安保と日米同盟の違いを質問した。

日本語で審議はできない2005年の安全保障条約

 これについて孫崎氏は、解説をまじえながら次のように答えた。

 「多くの日本人は、日米関係の基礎は日米安保にあり、その基礎は日米安保条約が基本的に決めている、と思っている。ところで、1996年、橋本首相の交わした日米安全保障条約と、新たに取り交わされた2005年の安全保障条約は違う。橋本首相の時には、世界戦略的意図はなかった。

 2003年、イラク戦争の時、世界戦略の基礎ができ、文書として出てきたのが2005年(外務大臣、防衛大臣、アメリカの国務長官、国防長官が署名した2プラス2文書の「日米同盟:未来のための転換と再編」)だ。これは大きな変革だ。成文が英語で、それを日本語に訳している。つまり、日本語の文書で審議はできないことになっている」

 岩上安身が「一方的な要求だ」と言葉を返すと、孫崎氏が「その通り。ここに合意はない。意味もわからずに日本政府は調印していると思う。たとえば、国際的な安全保障の改善と書いてある。それは、北朝鮮がミサイルを打つ準備をしている、それを防ぐために武力を行使するが、それよりももっと前に武力行使ができる、という意味にも受け取れる」。

日米関係が壊れるならアメリカに従う方が得をする、という方向に進む日本

 孫崎氏は、「日本国憲法や安保条約、国連憲章も、その範囲を超えている。対米追随がさらに激しくなっている証明だ。日米関係が壊れるのなら、アメリカに従う方が得する、という方向に日本は進んでいる。恐るべきことが起こってしまった」と将来を危惧する。

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